128話 疫病から人々を救って名声を稼ごう![1/2]
西暦80年の8月。
ちょうどローマの上流階級が、湿地帯であるローマから離れ快適なイタリア半島各地の保養地に逃げ出す頃、疫病は平等に人々を襲い始めた。
7月頭から既に気配を見せていたマラリアは中旬には爆発的な流行を見せ、更にそれにかぶせるように下旬には赤痢の感染爆発が発生。
上流階級の面々は我先に逃げ出そうとするものの、今年はフラウィウス円形闘技場の式典の関係で保養スケジュールを後ろ倒しにしている者が多かったことから、多くの上流階級も逃げ遅れ、身分の区別なく平等に疫病は襲い掛かった。
ローマ史上最悪の災害であるヴェスヴィウス山の噴火から一年。
大災害の混乱から落ち着きを取り戻しかけていたローマは、再び阿鼻叫喚、混沌の悪夢へと叩き落された。
そして、それこそがルシアが言う『腹をくくれば名声を得られる機会』だった。
◇
はい脳内リスナー皆さんおはこんばんちわ。
やってることだけ考えれば聖人、目的を考えればぐう畜な美少女配信者となし崩し的にコラボすることになったルシウスです。
はいそれでは早速ですが今回の企画はこちら!
【検証!】チャンネル登録者数(?)が増えたら知識チート増えるってマ?
そもそも古代ローマでチャンネル登録者数ってなんだよとか、脳内リスナーと登録者ってちがうの? とか色々ツッコミどころはありますがそれはそれ。
どうやら俺及び新規コラボ相手であるルシアの知識チートはこの時代に生きる人がどれだけ俺を信奉しているかでPOPしてくる疑惑が発生したので今回は検証していこうと思います!
具体的な検証方法としては~~ドン!
『疫病から人々を救って名声を稼ごう!』
現在ローマを襲っている疫病。マラリアと赤痢。
ルシア情報によると西暦80年はローマで大火災が起きてその後に疫病が流行ったそうで、たぶん蒸気消防車の活躍で大火災はキャンセルできたけど疫病は回避できなかったっぽい。
史実通りに起こったこの疫病を駆除する事でルシアの名声を稼ぎ、それによってルシアに新しい知識がPOPしてくるのか!?
というのを検証するのが今回の検証の流れとなっております!
ちなみに今回の検証、タイムリミットが1か月以内(日刊死体の山を防ぐリミットがそれ位)なものの、ルシアに医療知識があるのでサクっと終わる……と思ったら大間違い。
ノリと勢いで押し通したものの過去一綱渡りな検証となりました。
そんなわけで検証結果を発表する前にどういう手順で状況を作り上げていったかを説明していこうとぉ~思います!
◇
まず検証の始まりはルシアと一緒に黄金宮殿大学に戻ったところからスタート。
「あー……お父ちゃ……お父様、ただいま……」
「ルシァァァァァァアアアアアア!! 無事でよかった! 本当に良かった!!」
目と鼻と汗線から滝のように液体を撒き散らかしながら見つかったルシアに縋りつくデキムスさん。
「それで、少年ルシウスよ。ルシア嬢の身に何が起こったのか、わかったのか?」
そんなデキムスさんは一旦ルシアに任せておいて、俺に疑問を投げかけてきたディオスコリデス様に、俺はルシアの身に起こったことを捏造する。
「多分……僕がかつてポンペイでミネルヴァ様からの英知を授かったのと同じように……ルシアも何らの神から啓示を受けたようです」
具体的には『なんか神様っぽい存在から疫病の流行を示唆する啓示を受けた』という形に。
「啓示、だと」
「なんでも、これからローマで起こる疫病から民を救え、と」
「疫病……やはりマラリアやローマ熱は今年ローマを襲うか……」
既に流行の気配を察知していたディオスコリデス様は俺の言葉にあっさりと納得する。
「しかしルシウスよ。お前の時はミネルヴァ様だったのだろう? 今回は違うのか? いや……ミネルヴァ様が疫病の対策を啓示してくるのであれば、この私、ドミティアヌスでなければおかしいのだが」
「……ルシアが見たのはぼやけた存在で、男性か女性かもわからなかったようです……僕の時と同じであればミネルヴァ様の使いであるフクロウが伝えに来るはず……」
「なるほど、それで知恵の女神ミネルヴァではない、と」
「おそらくは……」
ドミさんの疑問に対し俺は確証は持てないが、と言った形で知恵の女神ミネルヴァからの啓示の可能性を否定する。
ちなみにミネルヴァの啓示にしなかったのは、以前のドミさん初対面の時にも説明が若干苦しい場面もあったので、今回の様にドミさんに加えてディオスコリデス様などのそうそうたるローマの一流の知識人の前で即興で神に関する嘘啓示を言おうものなら今度こそ嘘がバレそうだなって思ったから。
「ルシウスはかつて知恵の女神ミネルヴァからの啓示を受け麦の蜜を始めとした英知を授かった。しかし同じ神がそう頻繁にローマに救いの手を差し伸べてくれる訳ではない……か」
そんなルシアが啓示を受けたという嘘は、俺という前例があったこともあり、その場にいたディオスコリデス様を始めとした関係者はあっさりと納得した。
「知恵の女神ミネルヴァでもないし、そもそも何の神かもわからぬのか……しかしなぜ私の所ではないのだ」
納得する面々をよそに、一人不満げなドミさん。
こうしてみるとやはり空気の読めなさがちょいちょいあるなドミさん。
ドミさんの不満はどうにもならないのでここは一旦置いておいて、疫病が起こる可能性についての共通認識が取れたことにより、俺は次の一手を打つことにする。
「そんなわけで、この啓示が神からのものによった場合でも、そうでない場合でも疫病には備えなければいけません」
「うむ、そこには同意しよう少年ルシウス。実際に具体的な数字として疫病の気配は出ているからな」
「なので、ルシアには俺の補助という形で治療に参加してもらおうと思うのですが、いかがですか?」
具体的にはフット・イン・ザ・ドア形式でルシアをねじ込んで行く!




