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奴隷スタートの古代ローマ転生で成り上がりRTA(実質強制)  作者: 九束
3章 黄金の指輪獲得RTA 外付けアクセルを添えて

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120/126

120話 ローマ都市鉄道マッドマックス阻止

西暦80年6月。


フラウィウス円形闘技場の落成記念式典は何とまだ続いていた。

というか正確にはようやく折り返し地点といった様相。


なんでもローマでも有数の巨大公共施設の落成記念式典だけあって、最終的には百日間に及ぶらしい。


ローマってちょいちょい加減を知らないよね。


そういう経緯がある関係で多少印象が薄れてこそいるが……いやあ、ドミさん企画の落成記念式典初日はひどかった。


何がひどかったって生贄狙撃からのパイプオルガンでラスボス出現みたいな音楽が流れてからの花火弾幕である。



どう見てもサバト的な絵面ですありがとうございます。



まあ俺の現代人基準のやばさだけなら『やばー(笑)』で済むのだが、実はこのドミさんのやりたい放題企画、政治的に色々とあかんことをやっていたらしく、初日の(つまりドミさん企画のイベントの)式典の後に宮殿裏テラスに呼び出されてドミさんがウェスパシアヌス帝とティトゥス殿下にマジ説教されるレベルでヤバかった。


どうやら生贄の処理には宗教的なしきたりがあるらしく、しかも軍事的に現状まだ極秘兵器である銃を使ったのがだいぶまずかったらしい。


元老院にはまだ隠す必要がある関係で、そこら辺の折衝をお願いしているピソ様がウェスパシアヌス帝に同時に呼び出されていたのだが、明らかに顔面蒼白になっていた。


偉い人は大変だ。あぁはなりたくない。


ちなみに花火そのものはウェスパシアヌス帝も事前に情報を聞いたうえで度肝を抜かれたらしく、そこはドミさんを絶賛していた。


まあその花火も式典期間中にひと悶着を起こしているのだが。


どういう悶着かというと、ドミさんが『ユーピテルの雷』と称したことが原因でローマの上流階級の自尊心に引火し、見世物としての花火の魔力に取り憑かれた貴族たちが、「今年の流行は花火で決まり! ウチも上げる!」「うちもうちも!」とデキムス商会やデキムス商会に伝手のある商会経由で花火を入手し始め、あちこちで式典に連動した花火が上がった結果……。


『やばいぞ! 不発花火がスブッラの南に落ちた!』


『またかよ! さっき黄金宮殿のボヤ消したばっかだぞ!?』


『消防車が無かったらとっくにローマは火の海だな』


消防隊員の叫びがローマのそこらで響き渡る、十数年前のネロ帝統治時代最大の悪夢『ローマ大火』未遂があっちこっちで発生した。


『ドミティアヌス、ちょうどよい。対策を考えよ』


そして、ローマ大火の再来を避けるために次期皇帝の政務のための練習がてらウェスパシアヌス帝に対策を投げた結果、


『では無許可で打ち上げを行った者は火あぶりで』


『そういうのは対策とは言わん! 馬鹿者!』


雑な厳罰化を強行しようとしたドミさんがまたもやウェスパシアヌス帝に怒られるなどし。


『ルシウス、なんかいい案を出せ』


『うーん……川の中央で船などで打ち上げするなら不発弾の落下地点も川にできるのでそういう方法ではどうですか?』


『父上、ルシウスの案はどうですかな?』


『いいな、それ採用』


何故かそんな場にデキムスさんと共に呼び出されてウェスパシアヌス帝とドミさんと缶詰めになって対策を考えることを強要された俺が出した案に落ち着くなどした。


ちなみにこの過程で、デキムスさんが(主に黄金宮殿移転前にテスタッチョ地区の研究棟の火災対策のために)消防隊に寄贈していた消防車が大活躍した結果、『デキムス商会の寄付した消防車なる機械がローマを救った!』『さすがはローマの英知、南北ポンペイ二人官にして陛下肝入りの学術機関の学長』などともてはやされ、元老院階級からの嫉妬に怯えるなどしていたが、まあすでにデキムスさんの名声はローマ市内において極まっているので些細なことである。


そんな感じで、ドミさんの自尊心が十分に満たされるイベントをした結果として各所の胃が粉砕してたりする落成記念式典の折り返し時期。


本日の俺は、またなんか余計なことを思いついた様子のドミさんの呼び出しを受け、ローマ最大の戦車競技場であるところのキルクス・マクシムスへと足を運んでいた。

デキムスさんと一緒に。


「……で、殿下。アリーナに並んでいるあれは、一体?」


貴賓席から見下ろし、引き攣った顔で尋ねるデキムスさん。


クアドリガと呼ばれる四頭立ての戦車が走るはずの広大なトラックには、見るも無残に改造されためっちゃトゲトゲのついた蒸気機関消防車の姿。


車体にはおびただしい数の鋭いトゲトゲが溶接され、車輪の横からは敵の車輪を破壊するためと思われれる回転刃まで飛び出している。


消防ポンプを改造したと思われるパイプからは定期的に炎が噴き出している。


そしてそんな珍走車に乗っているのは、いかにも血の気の多そうな屈強な剣闘士(グラディエーター)たち。


……絵面が、絵面がうるさい。


「せっかくの蒸気で動く馬車を消防車だけに利用するのはもったいないだろう? なので戦車競技にもと思ってな! 炎のほかにもお前の大学の学者を使い、様々な武器を実装しているぞ!」


「ちょっとなにいってるかわからないですね」


「まあとりあえずは見るが良い!」


あんまりにも斜め上の返答に虚無顔になりながらマジレスするデキムスさんを気にもせず、一方的に試合を開始するドミさん。


ドミさんの号令と共に、蒸気機関戦車たちが凄まじい黒煙を上げて一斉に走り出す。


それと同時に各戦車の無惨に改造された炎が噴き出す放水ポンプから液体が噴き出した。


地面に撒かれた液体はすぐに引火し、戦車の通った道が炎に染まる。


「うおおおっ!!」


「燃やせ燃やせえええっ!!」


「死ねやおらぁぁぁ!!」


戦車に乗り込んだ剣闘士たちからの血の気の多い掛け声とともに物理的に熱気に染まるキルクス・マクシムス。


そこから先は、レースというよりも世紀末な死闘だった。


攻撃担当と思われる剣闘士が敵の戦車にアンフォラを機関部へ投げつけたかと思うと『ボガァアン!』という爆発音とともにピストンが破壊され横転しながら壁に激突しボイラーが爆発する戦車A。


前方を走る敵戦車に向けて推定ロケット花火を乱射して攻撃する戦車B。


そんなことをしているとU字の折り返し地点で曲がり切れずにそのまま横転し、攻撃用と思われる燃料に引火して炎上する戦車B。


そして生き残った戦車がドリフトをしながらU字を折り返し俺たちのいるスタート地点兼ゴールへと戻ってくる戦車C。


無事に戻ってきた戦車Cとそれに乗り込んでいた剣闘士が『うぉぉぉぉ!!』という雄たけびを上げながら残った攻撃用燃料をポンプから散布し、炎を派手にゴールにまき散らす。


「絵面が完全に世紀末だぁ……」


ローマもあと二十年ほどで西暦基準世紀末だけど、ちょっと時代が早くない?


「どうだ、ルシウス!?」


そんな感想を小声でつぶやいていると、レースの結果に満足した様子のドミさんが、目をキラキラと輝かせながら俺の肩をバンバンと叩いてきた。


「素晴らしい迫力だろう! 祭典の後半はこれまでの馬を使った戦車競技をやめ、これをメインの見世物にしようと父上に提案しようと思うのだが!」


そんな自信満々のドミさんに対し、


「うん、却下ですね」


俺は真顔で即答した。


「な、何故だ!?」


むしろなんでこれヨシって言うと思ったんですか?


「いや普通に事故多発で観客に死傷者出ますよこれ」


そう言って横転した複数の戦車を指さす俺。


そこには観客席にまで爆発炎上の炎が及んでいる戦車A、機関部から漏れた蒸気の煙が今まさに観客席の方に流れている戦車B。


「……さすがにこれは……蒸気機関が危険と誤解されかねないと言いますか……」


「……」


俺の言葉を元に苦言を呈するデキムスさんの言葉に目をそらすドミさん。


絶対そこ考えてなかったでしょ。


「何とかならんか?」


「無理なものは無理ですね」


「むぅ……」


「蒸気機関のアピールをしたいなら……式典期間中に間に合うかは怪しいですが、このキルクス・マクシムスからフラウィウス円形闘技場を経由して市外に伸びる鉄道を敷設するとかの方が現実的だと思いますよ」


「それはつまらんではないか……」


渾身の企画が速攻でボツになったことに不満たらたらなドミさん。


しかし結局は観客への危険性の前にはどうすることもできず、俺の提言通り急遽式典期間中に市内に鉄道を敷設するということで妥協することにしたようだった。


ちなみに妥協の結果生まれた鉄道、北ポンペイの実験鉄道を除けばローマ初の鉄道だったことから式典期間に間に合った数百メートルだけの鉄道に見物客が殺到。


その後、キルクス・マクシムス~黄金宮殿大学~プラエネスティーナ街道の始点という総距離約二キロメートルほどの本共用路線は都市中心部へのアクセスという面で単純に便利だったこともあり鉄道の便利さが認知され、各地への鉄道敷設企画が急速に立ち上がることになる。

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― 新着の感想 ―
ドミさん、叱ってくれる父と兄がいるから将来的にマシになるかもね。 誰も叱らずに矯正出来なかったら、暗殺されるしかない皇帝が出来てしまう。
汚物は消毒だ~って生涯で一度は言ってみたいセリフの一つではあるな
まーたデキムスさんの知らない所で株が上がってる(笑) そしてガンギマリどもの後始末仲間として、帝がポップアップしているような……?ドミさんを止められる立場の人が少ないから仕方ない
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