↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/66

第13話:周辺十キロの大浄化~サラサラと消えていく毒の山~

拠点が完成し、生活基盤が整ったところで、ロイドは次なるステップへと踏み出した。


「よし、ルシア。今日はちょっと範囲を広げて、谷全体を掃除してみるか」

「了解いたしました、マスター。本機の広域索敵ソナーを展開します」


 ログハウスのバルコニーに立ったルシアの背中から、純白のミスリル翼が大きく広がった。

 キィィィン……と透明な魔力波が谷全体へと放射され、谷の立体地形図と廃棄物の分布が、ロイドの脳内へとリアルタイムで転送されていく。


『索敵完了。周辺十キロ圏内に、重金属廃棄物四万トン、魔導汚染灰二万トン、腐食ガスの滞留スポットが三十八箇所存在します』

「よし、まとめて片付けよう」


 ロイドは両手を前方に突き出し、廃棄谷の広大なゴミの海を見下ろした。

 全身の魔導回路を全開にし、胸の奥底にある《神話の解体核》を力強く鼓動させる。


「――《原質超広域解体(エリア・ディスアセンブル)》!!」


 ドォォォォォォォォンッッ!!


 轟音とともに、エメラルドグリーンの光の津波が、谷底を怒涛の勢いで駆け抜けていった。

 光に呑み込まれたゴミ山が、端からサラサラと音を立てて解けていく。

 猛毒のガスが清らかな春風へと変わり、錆びた鉄骨の山が純度百パーセントの鉄材と銅材のインゴットへと整然と変換されていく。

 地中深くまで染み込んでいた黒い汚泥が、生命力に満ち溢れた肥沃な黒土へと生まれ変わる。


 光の波が十キロの彼方まで達した瞬間――。


 パァァァァァァ……ッ!


 黒土の中から、瑞々しい緑の新芽が一斉に芽吹いた。

 みるみるうちに背を伸ばし、瑞々しいエメラルドグリーンの草原が広がり、色とりどりの高山植物が花を咲かせる。

 谷の割れ目からは、幾筋もの清らかな滝が流れ落ち、透き通る川となって草原を蛇行し始めた。


「……信じられません」


 ルシアが瑠璃色の瞳を見開き、呆然と呟いた。


「毒素濃度、完全にゼロ。……半径十キロ圏内が、帝立植物園を遥かに凌駕する超自然オアシスへと転換されました」

「ふう……一気にやると、さすがに腹が減るな」


 ロイドが笑って肩を回す。

 かつて大陸中の人々が恐れ、忌み嫌った『終末の廃棄谷』は、いまやこの世で最も美しく豊かな『奇跡の楽園』へとその姿を変えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。