011 木漏れ日の工房
ーーーーギコギコ。ここは小さな町工場。木材加工を専門としたその工房は老舗というくらいの趣を感じさせる。
粒子は飛び散るその場所で一人に男が懸命にノコギリを動かす。
「はっはっ、今日も疲れるなぁ」
やはり硬いものを切るのは男にとっても重労働で、時間もかかるものだから日々ひーひー言いながらも、必死にノコギリを動かす。
そんな重労働でもやめないのは、きっとこれが男にとっても一番やりがいのあることで、その証拠に男の顔には笑みが張り付いている。
「ふぅ、一旦休憩するか。」
男は歩き出す。休憩室はやけに冷たいが、朝の時間帯ということもあるのだろう。誰もいない休憩所に併設されたドリンクバー。
二つしか無い安物のものだけれど、男は紙コップを置いて、ボタンを押した。
ドロリと粘着質な赤い液体が紙コップに入っていく。ドロドロ、サラサラと矛盾を含みながら注がれていくのをただ男はじっと見つめている。
果汁何%なのだろうか。トマトジュース色のドリンクを手に、男は椅子に座り込んだ。
「うまい」
ごくりと喉を鳴らす。赤い液体が男の喉を通って、喉を胃を満たしていく。
それと同時に心まで満たされているようで、男は満面の笑みを浮かべると、くしゃりと紙コップを潰して、ゴミ箱に投げ入れた。
「よし、解体解体」
休憩室を出た男は解体作業に戻った。ノコギリをギコギコ動かす。硬い棒を切るのは苦労するけれど、それでも男は手を止めない。
飛び散る破片はカスのようだけど、それでも男はそのカスでさえもにこやかに笑っている。
それも仕事、それも趣味。重労働で疲れるとは言え、それは男にとっても楽しいことだから。
「ふぅ」
男は額を拭う。汗の代わりに布に染みていた水分が額に付着してしまうけれど、男は気にした様子はなく、ノコギリを動かす。
ーーーーコンコン。ガララララ。扉が急に開いた。
「すみませ〜ん。テレビきょ……ぎゃああああああああ!?」
「んあ?めんどくさいなぁ」
テレビ局員は絶叫をあげる。あまりに惨たらしい世界を見てしまったから!
そこは一面赤一色。ブルーシートで囲まれた部屋でなされているのは、人間の解体。
「ひぃいいい。助けてください。助けてください。助けてください。」
「ほぇ?見逃す理由ないよね?」
テレビ局員の目線にノコギリが近づく。真っ暗になる視線の中でテレビ局員は理不尽を恨んでいった。
きょと〜ん。男は呆気なく欠けてしまった男を見つめて、先ほどの解体に戻って行った。
女の腕を切り落とす。硬い骨は切りづらく、白い粉が舞う。血が飛び散り、額にもベタリと血がついている。
それでも男は解体する。仕事で、趣味だから。
ーーーーギコギコ。




