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グロウ・ソウル  作者: PIERO
修学旅行編
38/57

憤りと怒り(修正完了)

 上空三十メートルの青い空の中で俊龍は今の戦局を見て、思った以上に結果が出ずに不満を感じていた。充分に引き寄せた後に投擲攻撃を仕掛けたのはよかったが、あっさりと敵が引いた為予定よりも敵の戦力を削ることができなかった。


「いや、相手もやると考えればいっか。だが問題は()()だな」


 俊龍の視線は海魔族を上陸させないようにと奮闘している敵の遠距離部隊に目を向けていた。戦闘族には効果がないとされる砲弾も海魔族にしたら充分に殺傷力が高い兵器となる。こちらも投擲武器で迎撃しようと構えてもその間に銃弾の雨が海魔族の体に突き刺さる。


「いずれ敵の弾薬は尽きるにしても、こっちの被害は尋常じゃない。かといって肉壁を作ってもあの砲弾によって吹き飛ばされる。さて、どうするか…」


 俊龍は何かいい戦術がないか考え始める。しかし、俊龍は大きなため息を吐き、頭をぼりぼりと掻く。


「面倒だ。こいつらに任せるよりも自分でつぶしたほうがいいな!」


 俊龍は自身の腕に生えている朱色の鱗を一枚抜き、自身の手の平から放出した紅色の炎でその鱗を炙る。すると、鱗は形状を変化させ、一本の曲刀を作り出した。


「頭で考えるのもいいが、やっぱり暴れるのが一番だな!」


 俊龍はそう言い切った後、敵の遠距離部隊が集っている場所へと向かっていった。




 戦場で戦っている唯一の学生、霧和は敵の侵略にうんざりしていた。敵は大分倒した筈なのに未だに進行はやめない。それどころか勢いを増している。このままではここも危険ではないかと考えをよぎるが、ここを引いてしまったら守る場所がどこにもない。それを理解し未だに戦い続けていた。


「はあ、もう面倒ですね。一体何体倒せばいいのでしょうか…」


 能力で弾丸を生み出し、シリンダーに詰め、敵に標準を定め、引き金を引く。作業ともいえる行為に霧和は疲労を感じられずにはいられなかった。この均衡がそのまま続けばいい。そう思ってた矢先、空から紅色の飛行物体が降ってきた。


 飛行物体は砲台に着弾すると、黒い煙とともに爆発する。霧和は海魔族が砲台に向かって岩を投げつけたのかと思った。だが、砲台に炎上する爆炎の中で一つの影を見たと同時にその認識を改めた。


「やっぱり奇襲はいいな。驚く敵の表情が見れて満足だ。さて、悪いな人間ども。悪いが…」


 始末する。その一言を言い終わったとき、その影はこちらに向かって飛翔する。その姿は紅色の鱗に守られ、背中から生えている赤い翼。それだけで霧和は目の前の敵が龍神族であることを理解した。


 軍人はそれでも銃弾をその紅色の飛翔体に向けて銃弾を放つが、左手に持っている独特の曲刀によりはじかれ、当たったとしても堅牢な鱗に守られ、銃弾は紅色の龍神族に傷を負わせることができなかった。


「だめだな。俺を止めたきゃ、対物ライフルでも持って来い!最も、当たるかどうかは別だがな」


 紅色の龍神族は発砲した軍人の首を掴み、地面に叩き付けた。そして骨が折れる音がこの戦場に響くと紅色の龍神族は掴んだ手を放した。不自然な動作もなくダンスのように流れで一人殺した事実をこの場にいる軍人達が理解したのは紅色の龍神族が二人目のターゲットを定めたときであった。


 再び、軍人を一人仕留めようと紅色の龍神族は飛翔して軍人の首を掴もうとした。しかし、手元に向かって放たれた弾丸によって首を掴むことはなかった。


「あん?誰だ俺の作業を邪魔した奴は?」


 紅色の龍神族は攻撃の妨害をした人物、霧和を睨んだ。霧和は二丁のマグナムを紅色の龍神族に銃口を定めいつでも引き金を引く準備をしていた。


「私です龍神族さん。流石に仲間を殺されるのは心痛みますので」


「ならどうするっていうんだ?代わりに死ぬか?それとも命乞いでもするか?アマ餓鬼」


「倒します。出なければ活路は開けませんので」


 霧和は引き金を引き、紅色の龍神族と交戦を始める。その態度に気に入ったのか、紅色の龍神族は歓喜して霧和の弾丸を全て避け接近する。


「アマ餓鬼は撤回してやる。俺は俊龍!龍神族の軍師兼大将だ!名は何という!」


「霧和です。とりあえず当たってください」


 躱された弾丸は床や尖った岩にぶつかり跳弾する。跳弾は俊龍の背後をとっていた。俊龍は弾丸に背後を取られたことを理解したが迷わず霧和の首に手を伸ばす。あと少しで霧和の首が掴まれそうになったとき、俊龍の脇腹に痛みを感じた。


「あん?…痛ぇ…。たかがマグナムに俺の皮膚が貫通させられたのか?」


 俊龍は立ち止まり、自身の脇腹を触る。すると、銃弾によって当たった場所から血が流れていた。俊龍は激情のままに突撃しようとした精神を抑え、冷静に分析を始めた。


「俺の鱗を砕いた?…いや、対物ライフルでもなければありえねぇ。…となると銃弾が特別なわけか…」


「タフですね。次も躱してみてください」


 霧和は再び弾丸の雨を俊龍に向けて放った。俊龍は手に持っていた曲刀を地面に突き刺し、自身の鱗を引き抜き、紅色の炎で焼いた。すると俊龍の右手に巨大な鱗の盾が現れた。その盾によって銃弾は阻まれる。


 だが、弾丸は再び跳弾を繰り返し、俊龍へと向かっていく。俊龍はこれを予測していたため容易に跳弾した弾丸を回避する。完全に回避したと確信した俊龍だったが、その確信も裏切られた。弾丸は一発だけ俊龍の右腕に被弾していた。


「回避しても当たるか…。なんとなくだが、てめえの能力のからくりが見えてきた」


「そうですか。じゃあ何とかしてみてください」


 霧和は一秒で弾丸をリロードすると銃口を俊龍に向け発砲する。しかし、俊龍は回避することはせず、そのまま弾丸を受けながら霧和に突撃をした。


「てめえの能力は()()()()()()()()()だな!なら簡単だ。結果が確定する前に勝負を決めればいいだけの話だ!」


 霧和は自身の能力を看破されたことに少し驚きながらも俊龍の攻撃を回避しようとする。俊龍はそれを見越していたのか、近くに倒れていた軍人を蹴り上げ、霧和にぶつけようとする。


 予想外の行動に霧和はとっさに回避するがそれが俊龍の罠だった。回避した先には俊龍の手が霧和の首元を掴んでいた。救い上げるようにがっしりと掴んだ俊龍の右手は霧和の力では絶対に開放することができなかった。霧和は窒息しないよう必死に抵抗するのが精一杯であった。


「さて、強敵(とも)よ。俺に手傷を負わせたことは褒めてやる。もし獲物が対物ライフルなら俺は今頃死んでいただろうな。だからこそお前は危険すぎる。だから…」


 俊龍は霧和を持ち上げたまま、地面に突き刺さっている曲刀のところまで歩く。手に取る位置まで着くと、その曲刀を左手で抜き、無情にも霧和の両目を眼鏡ごと切り裂いた。


「能力は封じる。だが、向かってきたお前に敬意を表して命だけは奪わん。それが最大限の譲歩だ。」


 霧和は痛みのあまり絶叫する。俊龍は霧和を投げ捨て、未だこの場にいる軍人に標的を定めた。


「さて、次はお前らだ。とっとと仕留めてなきゃ、ばれたとき怒られちまうからな」


 俊龍は曲刀を構え、生き残っている軍人に突撃する。一人、また一人と切り裂き、蹂躙を始めようとした。だが、そんな中でも俊龍の頬に銃弾を掠めた人物がいた。


「…一体何度言わせる。いや、これは失礼だったな。敬意を通り越して感服しちまうよ。強敵よ」


「まだ終わってません。目がなくなったからって、私はまだ戦えます」


 霧和は立ち上がり銃口を向けていた。しかし、視力は見えていないのか、銃口は俊龍の方向ではなく俊龍がいる位置よりもやや左のほうに向けていた。


「やっぱり、()()。貴様は危険だ。生かすという選択肢そのものが俺の間違いだった。今度こそ、息の根を止める」


 俊龍は霧和に向かって曲刀で突き刺そうとした。視覚を奪われた霧和は俊龍がどこに向かってくるのかわからないまま、銃口を構える。曲刀の刃は霧和の腹に突き刺さり、絶命する。誰もがそう思った矢先、突如強烈な衝撃波が俊龍の左腕に襲い掛かった。


 強烈な衝撃波は頑丈な鱗を破壊し、俊龍の肩の関節を外した。とっさの出来事に俊龍は空を飛び距離を置いた俊龍の視線は自身の肩を外した人物を怒りの形相で見つめていた。


「てめえ…。やりやがったな」


「やりやがったはこっちのセリフだ。おい赤蜥蜴。人の女をここまで傷つけたんだ。片腕程度で帰れると思うなよ?」


 代償石が砕ける音など聞こえないほど静かに激怒していた男、神崎有樹は俊龍を睨み殺す視線で見つめていた。しかし、対象的に俊龍は表情は怒りに満ちていたが、その心は笑いに満ちていた。




 武器がようやく完成した有樹は急いで霧和のところに合流しようと走っていた。廊下ですれ違った軍人の焦りとしゃべり声を聞き、今が相当押されている状況であることは理解していた。だからこそ有樹は早く駆けつけ、海魔族を倒さなければならないと思っていた。


――前線は崩壊し、後衛の援護射撃で何とか防いでいる状況だ。俺の能力で敵に大きな綻びを作らなければこの基地は終わる!――


 最悪の事態を想定し、有樹はより速く駆ける。ようやく砲台まで到着したとき、有樹の耳に聞き覚えのある声が聞こえた。しかし、聞こえたのは悲鳴であった。


 有樹は背中に悪寒を感じながらもいつでも能力を発動できるように代償石を新しい武器『エンド・ワールド・マークⅡ』のストックとボルトに装填する。有樹は全ての準備を走りながら整え、屋上に到達する。だが、そこに広がっていたのは地獄だった。


 砲台は破壊され、火薬が引火したのか黒い煙が上がっている。周囲には軍人の屍が這いつくばり、至るところに血の池ができている。軍人は恐怖に溺れ、動くことすら困難であった。しかし、そんな地獄の中、たった一人の敵に向かって勇敢に立ち向かう少女、霧和千尋がいた。そしてその霧和に対して今処刑しようと近寄ってくる紅の悪魔、龍神族がいる。


 有樹は引き金を引いた。このとき有樹は周りの被害や代償石の破壊音など、何も考えなかった。ただ憤りに任せ、能力を使った。透明の弾丸は龍神族の左腕に当たり、骨が砕ける音が聞こえてきた。すると龍神族は額に血管を浮かべ有樹を見る。


「てめぇ…。やりやがったな」


「やりやがったはこっちのセリフだ。おい赤蜥蜴。人の女をここまで傷つけたんだ。片腕程度で帰れると思うなよ?」


 有樹は砕けた代償石を全て取り外し、新たな代償石をはめ込む。一方で紅色の龍神族、俊龍は先ほどの言葉を聞き、大笑いしていた。


「なるほどな!お前、霧和の連れか!そりゃあそんなに怒るわけだ!ハハハ!…じゃあ、殺さないとな」


 先ほどの笑いから一変し、怒りに満ちた俊龍有樹に襲い掛かる。既に代償石の交換を終えた有樹は再び銃口を俊龍に向ける。俊龍は銃口を向けられたことを確認すると、盾を前に出し、そのまま有樹に突撃する。


 しかし、相性が悪かった。有樹はそのまま銃弾を発射し、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。無論、俊龍もただでは済まなかった。盾を持っていた右腕は左腕以上に骨が粉々になり、戦える状態ではなくなった。


 俊龍は舌打ちをして有樹から距離をとった。有樹は冷静にただ一歩歩みだす。


「どうした赤蜥蜴?これで終わりか?口ほどでもないな」


「ああそうだ。これで終わりだ。どうやらお前の能力は俺の鱗に相性が悪いらしい。バハムートならともかく、俺の鱗は衝撃波にはかなり弱いんでな。撤退させてもらおう」


 俊龍は翼を広げ、即座に離脱した。有樹は逃がすつもりはなく、飛んで行った俊龍に弾丸を飛ばすが、すでに射程距離から離れていた。


「おい!逃げるな!まだ決着がついてないだろう!」


『ああそうだな!この決着はまた今度つけてやる。覚えておけ!俺の名は俊龍!龍神族の軍師兼大将だ!』


 空に俊龍の声が響きわたると同時に海魔族が撤退を始めていた。駐屯上の防衛は成功したが、有樹の頭の中にはそんなことなど考えていなかった。有樹は武器を投げ捨て、霧和のところに駆け寄る。


「霧和!しっかり…!!」


 有樹は霧和の受けた傷を見て驚愕する。脈はある。血も傷以上に流れていない。だが問題なのは切り裂かれた眼であった。


「有樹君?どこにいるのですか?よく暗くて見えないです…」


「ここにいる!心配するな!ほら、今手を握っているだろ?」


「ははは…全くいつもと違って心配症ですね。今どんな状況ですか?」


「紅色の龍神族、俊龍は撤退した。海魔族も撤退した。とりあえず防衛には成功した。だから頼む…目を開けてくれ…」


「そうですか…大丈夫ですよ。ほら、ちゃんと目を開けてます。だから…泣かないでください」


 地獄から救った少年少女は軍人から様々勲章をもらえてもおかしくない活躍だった。だが、それでも少年はたった一人の大切な少女を守ることができず、静かに降り注ぐ雨と共に泣いていた。




「霧和ちゃんの容態はどうですか…」


 戦場から帰還した霧和と有樹を知った和貴達は霧和の容態を知るべく、雪花は主治医に問いかける。主治医は首を横に振り、容態を説明した。


「命自体には別状はありません。数日にはよくなります。ただ、目の組織は完全に破壊されました。どういう原理なのか我々にも理解できませんが、傷を中心として内部から破壊したような痕跡が残っています。残念ですが…霧和さんは二度と光を見ることができないでしょう」


 その言葉を聞き、有樹は膝を屈した。皆が有樹に対してなんて声をかければいいのかわからないこの空気で理雄は一人この場から去ろうとしていた。


「…一人にしよう。今はそれが一番だと思う。馬鹿な俺でもそれはわかる」


「理雄…わかった。倉沢さんからも命令が出ている今日の見張りは軍人がやるから。学生は今のうちに寝とけって。俺たちは指示に従おう」


 凍原の意見に有樹に何も声をかけずにただ皆が去っていった。最後に残った和貴は去り際に有樹に一言残す。


「みんなは空気を読んで何も言わなかったが、ライバルであり、親友でもあるからあえて言うよ。この状況は誰のせいでもない。みんなそうなる可能性があったんだ」


「じゃあなんだ?霧和は運が悪かったとでも言いたいのか劣等生?」


「そうだ。ただ間が悪かった。霧和も俺達も有樹もみんなだ。だから、あまり自分を責めないでくれ」


 和貴はその場から立ち去ると有樹はその場で座り込んだ。

 

 夜になり、電気が消えた廊下の中、有樹は大切な人を守れなかった自身の無力感と何もできなかった虚脱感で気力すらなかった。そんな状態の中、一人有樹のところに現れた人物がいた。


「あ?なにそんなところで突っ立ってんだ?消灯だろ?さっさと寝ろ」


「なんだ…草部先生か」


「事情は聴いてるが、霧和の自業自得だな。自分すら守れないのに勝手にでしゃばったからこうなった」


 その一言で有樹は草部の胸倉をつかんだ。自身が罵倒されるのはいい。無力だったのは事実であったから。お荷物と言われても今の有樹なら耐えられただろう。だが、霧和が馬鹿にされることだけは我慢できなかった。有樹は溜まった怒りを草部にぶつける。


「ふざけるな!霧和のおかげで海魔族が撤退したんだ!」


「ああ、そうだな。だがおかげで目を失った。あほ以外になんて表現するんだ?」


 有樹の堪忍袋の緒が切れ、草部を殴った。しかし草部は躱すどころか正面から受け取った。しかし、それで有樹の怒りは収まらず、草部を殴り続ける。


 しばらく殴り続けた有樹は息を切らし、その場にへたり込んでしまう。その様子にあきれた草部は煙草を取り出し、憐れむ目で有樹を見る。


「もう終わりか?ならさっさと寝ろ。お前にはやるべきことがあるんじゃないのか?」


「なんだよ…やるべきこと?ハハハ、なんだよそれ…」


「おい、何現実逃避してるんだ?いい加減目ぇ覚ませ!」


 草部は有樹の胸倉をつかみ、有樹を殴った。本気で殴られた有樹は気絶一歩手前になり平行感覚を失いかけるが、かまわず草部は有樹の胸倉を掴み大声で有樹に話す。


「てめえ、女に手を出されて何もしないってのはどういう了見だ?ああ?だったら、やることは一つだろ!倍返しにして倒せ!それがお前の義務なんだよ!」


 その言葉を聞き、有樹は目の光をようやく取り戻す。その様子を見た草部は胸倉を放した。有樹の表情を見た草部は正気に戻ったことを確認すると歩みを続けた。


「それじゃあ、さっさと寝とけ。そして勝つんだよ」


「…ありがとうございます。おかげで折れずに済みました」


「お礼なんて気持ち悪い。鳥肌立つだろ。それから、一つ頼み事お願いしてもいいか?」


 有樹は草部を見て頼み事を聞こうとしたとき、一瞬だけ廊下の蛍光灯が光った。すると草部の体中の至るところから出血していた。


「悪いが、俺の気力が限界なんだ。もう一歩も歩けねぇ。だから、医者を呼んでくれ…」


 草部は立ったまま気絶し、有樹は急いで医者を呼んだ。草部は一命こそ取り戻したが、しばらくは安静にしろと言われた。





「くっそ!!あのおっさんめぇ!超重症じゃあねぇ~か!」


 暗闇で悶絶している黒い影、シャドウは切り落とされた己の四肢を影で繋げようと能力を使っていた。だが、回復向きの能力でないためか中々成功しなかった。


「ハハハ!お前も大分重症だなおい!大丈夫か!」


「うるせぇ蜥蜴野郎!ぶっ殺すぞ!」


「言ってろ言ってろ!どうせ殺せないんだからな!」


 シャドウを馬鹿にする俊龍は怒るシャドウを見て大笑いする。いっそのこと本当に殺してやろうかと思った矢先、上空から一人の龍神族が現れた。


「おう、バハムート!会議は終わったのか?」


「ああ、たいしたことは話していない。だが、お前ほどの鱗が砕かれるとはな。天災の英雄でも現れたか?」


「いや、俺にとって最悪の相性の敵が出てきちまってな。ほら、俺の鱗は衝撃波にはかなり弱いだろ?それを突かれちまったんだよ…おかげで両腕粉砕骨折だ!」


「そうか、治療は必要か?」


 その一言を聞いた途端、俊龍は紅の炎を周りに燃え広がらせ、怒りに満ちた表情でバハムートの提案を断った。


「いらねえよ!この傷は俺の怒りだ!そしてその敵に対する敬意だ。この戦いで絶対にぶっ殺す!」


「そこまで怒るとは珍しいな。それほどの相手だったのか?」


「無論だ。一人は結果を確定させるやつ。確か霧和だったな名前は。それで俺の体をぼろぼろにした強敵(とも)は俺の鱗の弱点の衝撃波を使ってくるやつだったな」


「そうか。なら、その二人はお前に譲ろう。残りは俺が片付ける。ではそれを基準として作戦を立てよう」


 俊龍が出した紅の炎をバハムートの黒炎により消火される。暗闇の中で彼らは新しい作戦を考え始めたのであった。


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