表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
103/113

第96話 秘策

 第1ラウンドが終わった。

 インターバル。

 赤コーナーに戻ると、父がすぐにペットボトルに入った水を差し出した。

 それを少し含み、もう一人のセコンドが用意したバケツに吐き出す。

 吐き出された水は真っ赤だった。

 

 マウスピースも吐き出し、父の言葉に耳を傾ける。

「よく耐えた! 1ラウンドはどっちにつくかわからない! ただ後半の巻き返しでヒナにポイントがつく可能性が高い! あと二ラウンド! ここから獲りに行け!」

 私の胸中に怒りが芽生えたけれど、体力を温存したくて返事はしなかった。

 父は褒めるよりダメ出しが多い人だ。

 その父が「よく耐えた」と言っている。

 自分の計画した作戦が失敗したことに、後ろめたさを感じている証拠だ。

「一旦、アルティメットフォースのことは忘れる! ヒナの強さを見誤った私のミスだ!」

 でもここで親子喧嘩をしても仕方ない。

 父を信じるしかない。

 それに、私もヒナとの試合だけに集中したいと言えばよかった。

 たとえ言い争いになったとしても。

 いままでどおり父に従っていればいいと受け身になりすぎていた。

 私の意志の弱さも悪い。

「どうしたら、ヒナに勝てる?」


 気持ちを切りかえる。

 ヒナは、強い。意識を変えないといけない。

 迎え撃つというより、倒しに行かなければ。


 私の問いかけに、父は強い口調で言い放った。

「あれを使え! まだ一度も試合て見せていないあれだ!」


 何のことがすぐに見当がついた。

 麗艶との闘いに備えて練習してきた技で、出稽古に来たヒナにも見せなかった技。

 精度がまだまだ低かったせいで、結局使えずじまいだった。


 父は念を押した。

「勝ちたいなら、やれ!」

 ここは戦場。

 多くの選手がふるいにかけられ、脱落していく。

 最後に残るのはたった一人。

 だったら私はその一人になりたい。

「押忍! やります。あの技を使います!」

 ヒナ、ごめん。

 今日であなたの選手生命は終わるかもしれない。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ