第03章 誰にだって、人に見られたくない傷はあるものです
第03章 誰にだって、人に見られたくない傷はあるものです
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食事を終えてリビングで一休みしている時、その派手な内装を眺めて、瑠美奈は不思議そうな表情を浮かべた。
黒田は笑って尋ねた。「少し、うるさいでしょう?」
「いいえ、ただ、黒田さんのスタイルではないような気がして。」瑠美奈は部屋の隅にある仏壇に気づき、ハッとした。「あの、それは?」
「亡くなった元彼と……流産した子供。名前もまだなかったので、位牌は無字のものなの。」
瑠美奈は驚きを隠せず、すぐに立ち上がって言った。「お参りさせてください。」
「いいえ、いいのよ。」黒田は慌てて彼女を引き止めた。「その……彼は、とても内気な人だったから。」
「あ、分かりました。」
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午後の日差しの熱が次第に和らいでいった。
瑠美奈は紫陽花の色彩を写し取ることに没頭していた。黒田は彼女の邪魔をしないよう、少し離れた場所に座って本を読み、時折顔を上げて彼女を見守った。
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「綺麗ね。」鮮やかな画面を見て、黒田は思わず感嘆の声を上げた。
瑠美奈は微笑んで言った。「本当はこの時間帯は光の変化が大きすぎて、写生には向かないんです。でも、これは学校の夏祭りの展示作品なので、そこまで厳格ではないんですよ。」
「夏祭り、懐かしいわね。」
「黒田さんもいらっしゃいませんか? 私、演奏会でバイオリンを弾くんです。」
「私が行ってもいいのかしら?」
「招待券を申請しておきますわ。『親戚のお姉さん』という名目で。」
「じゃあ、お願いするわね!」
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期末試験が終わった後の夏祭り。学習のプレッシャーから解放され、青春のエネルギーがこれ以上なく奔放に溢れ出していた。
黒田はかき氷を買い、食べながら散策した。
午後六時過ぎ、道の両側に吊るされた金魚の紙提灯が次々と灯った。形は様々で、どれも生き生きとしている。聞けば、学校が多額の費用をかけて有名なデザイナーを招き、生徒たちを指導して完成させた作品だという。
本当に美しかった。
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講堂に入ると、そこはプロのコンサートホールにも劣らない豪華さで、さすがは名門校だと思わされた。前方は指定席の来賓席で、黒田は少し後ろの席に座った。
開演に先立ち、校長が今回の夏祭りに協賛した来賓を厳かに紹介した。その中には瑠美奈の兄、桐原凛空の名もあったが、彼の姿はなかった。
黒田は、瑠美奈が自分を誘ったのは寂しさからだったのかもしれないと気づいた。このような場では、通常、両親が正装して出席するのが、子供のためだけでなく上流社会の礼儀でもある。しかし、瑠美奈の父・桐原雅臣の放蕩ぶりは有名で、璃子夫人が亡くなってからはさらに輪をかけていた。祖父は高齢で、兄の凛空が一族の実質的な当主となっていたが、資金援助はしても顔は出さない。兄妹の仲はあまり親密ではないのだろう。
無理もない。二人は異母兄妹で、年齢も十二歳離れているのだ。
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ミュージカルの後、白いドレスに身を包んだ瑠美奈が正装で登場した。彼女は優雅に一礼し、客席に黒田の姿を探した。黒田が素早く手を挙げて合図を送ると、視線が交差した瞬間、彼女の顔に控えめな微笑みが浮かんだ。それだけで黒田の心は喜びで満たされた。
曲名は『海辺の白い家』。幼い頃、海辺の白い家で両親と一緒に暮らした楽しい記憶を綴った曲だという。
天使のように完璧な瑠美奈を見つめながら、黒田の思考は軽快で優雅な旋律に完全に溶け込んでいった。青い空と海、岸辺で鳴きながら飛び交うカモメ、そして海辺の白い家から駆け出してくる二人の子供。サーフボードを抱え、はしゃぎながら青い波の中へと飛び込んでいく光景が見えるようだった。
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夏休みの最初の二週間、瑠美奈は家族と軽井沢の別荘へ避暑に出かけた。戻ってからも様々な予定があったが、それでも彼女は週末に一日を空けて、黒田と一緒に買い物に行ったり、遊園地へ行ったりした。八月の第三日曜日、彼女はいつものように墓地を訪れ、母にマンゴーを供えた。
あまりの暑さに、黒田は彼女が墓地で日光に晒されるのを忍びなく思い、促した。「行きましょう。鈴木さんが流しそうめんに誘ってくれているわ。」
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冷やした流しそうめんは夏の風物詩だ。さっぱりとした柚子醤油の味が飽きさせず、食後の冷えたスイカは格別に甘くてシャリシャリしており、夏の暑さを一気に拭い去ってくれた。
黒田はロッキングチェアに座り、首振り扇風機の風を浴びながらスイカを食べ、庭で瑠美奈がノズルを持って御影と銀牙に水をかけて冷やしてやっているのを眺めていた。その光景はあまりに美しかった。
瑠美奈が黒田の方を向き、いたずらっぽく笑うと、突然ノズルをこちらに向けて水を吹きかけてきた。
黒田は飛び起きて水を手で払いながら、「このいたずらっ子!」と叫び、別のノズルを見つけて瑠美奈に水をかけ返した。
「もう、二人ともやめなさい!」鈴木夫人が止めに入った。
しかし、鈴木氏は傍らで言った。「夏は水遊びをするもんだろう。」
庭に笑い声が響き渡った。
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帰り道、瑠美奈がスカートの裾をパタパタさせると、水滴が二三粒路面に飛んで落ちた。彼女は楽しそうに笑って言った。「本当に涼しいわ。」
「でも濡れたままだと気持ち悪いでしょう。別荘に着いたら服を貸してあげるから、スカートを履き替えて干しておきなさい。三十分もあれば乾くわ。」
「いいですよ。お庭で体を何周か回ったら乾きますから。」瑠美奈は着替えることに少し抵抗があるようだった。
「あら、恥ずかしがっているのね。」黒田はわざと大げさに言った。
「違いますわ。黒田さんだって女の子じゃないですか。恥ずかしがることなんて何もありません。」
「いいえ、私は女の子じゃないわ。」黒田はわざと真面目な顔をした。「私は女なのよ、ハハハ。」
「もう、嫌だわ。同級生とは子供っぽくて友達になりたくないと思っていたけれど、黒田さん、あなたも……バカみたい。」
「ごめんなさいね、いい年してバカみたいで……。」
「いいわ、許してあげる。」
「瑠美奈ちゃんは優しいわね。」
「もちろんですわ!」
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午後の最も暑い時間帯。庭で体を回ってスカートを乾かそうとすれば、熱中症になりかねない。黒田は扇風機を縁側に運び、二人は軒下でスカートの裾を持ち上げて風に当てた。
青い空と白い雲、蝉の声が騒がしい。
「あ、蕎麦茶を冷蔵庫に入れるのを忘れてたわ。」
黒田はキッチンに戻って茶を片付け、紙風車を手に持って戻ってきた。リビングに入った瞬間、涼しい風が吹き込み、紙風車が勢いよく回った。だが同時に目に飛び込んできたのは、瑠美奈のめくれ上がったスカートの裾の下、太ももの内側にある、見るも無惨な青紫のアザだった。
「嫌な風。」瑠美奈は文句を言いながら素早くスカートを押さえた。しかし、振り返って呆然としている黒田を見た瞬間、彼女は激しく動揺した。
「そのアザ、どうしたの?」黒田は見逃すことなどできなかった。
瑠美奈はうつむき、小さな声で言った。「何でもありません。乗馬の練習で擦れただけですわ。」
「違うわ、摩擦でできる傷はあんな風じゃない。」黒田は紙風車を傍らに置き、足早に歩み寄って瑠美奈の両手を掴んだ。「怖がらないで、教えて。」
瑠美奈は顔を上げられなかったが、涙が今にもこぼれ落ちそうだった。彼女は哀願するように言った。「お願いです、聞かないでください。」
「見てしまったのに、見なかったふりなんてできないわ!」
「黒田さんの元彼や子供のこと、私も一度も問い詰めませんでした。あなたは本当に、彼らを愛していたのですか?」
黒田は絶句した。瑠美奈がこれほど鋭く、自分の作り上げたすべてが虚像であることを見抜いていたとは思わなかったのだ。
瑠美奈は黒田の手を振り切り、数歩後ずさりした。「誰にだって、人に見られたくない傷はあるものです。さようなら、黒田さん。」
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