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7.とある記録と落下 (6)

6.猿なのか?

 

 俺は大鍋の近くに戻ると手頃な松明になりそうな木の棒を一本抜き取った。

 原始的だが、野生動物にはこれが一番効く。

 あと、クチルからあるものを受け取る。

 一応養生してあるが、麻痺毒の吹き矢、約20個ほど貰い受ける。

 細い竹の針に溝がついてて後ろには薄い皮が巻き付いてる。

 吹き矢の筒は遠慮しておいた、あれはあれで訓練がいる。

 

 リストバンドにタンクを改めて装着し直すと、火の点いた松明を片手に、まだ興奮冷めやらぬ猿の群れが蠢く森へと突入を始める。

 パシュッという射出音とともに身体が一気に引き上げられる。

 周囲で見守っていた現地人たちから「おぉ」と感嘆の声が上がった。

 松明を手にリストバンドのワイヤーで高速移動する姿は、暗闇の中で火の玉が飛んでいるように見えるのだろう。

 子どもたちが大はしゃぎで歓声を上げていた。

 

 木から木に移動しながら麻痺針をナイフ投げの要領で投げ、行く手を塞ごうとするチンパンジーを無力化していく。

 即効性の高い麻痺毒は1つ持ち帰って商品化しようと考えるくらいによく猿どもに効いた。


 それでも猿の数が多く手に余る。

 いよいよ手持ちの麻痺針が底をつくと俺はたいまつを投げ捨て、グロックを抜く。

 そして追いすがってくる猿より飛びかかってくる猿を狙う。

 そしてコイツらも俺は奴らの1.5倍ほど遅いのだ。

 

 おれは焦りを感じ始めリストバンドの巻き上げ速度を最大まであげたところで、リストバンドからバッテリー残量がなくなりそうな合図。

 俺は諦めて地上を走ることにした。

 途中でバッテリーが切れたらと思うとそれをあてにはできない。

 流石にぬかるんだ地面の全力疾走は俺の息を上がらせる。

 

 右手にグロックを構え、次々襲いかかってくるチンパンジーの眉間を容赦なく撃ち抜く。

 また、別の方向から飛びかかってくるやつは顎を狙って思いっきり殴りつけた。

 麻痺針ではないため急所に当てない限り無力化は難しい。

 そしてそのチンパンジーの狂気よ。

 その目は瞳孔が開きその口からだらしなくよだれが飛び散るのがわかる。

 弾丸が腕や手にあたったところで、お構いなしに飛びかかってくるのだ。

 何か麻薬でもやっているのかと思うくらいに。

 

 そしてスマートリンガーから聞こえる微かな意味のある言葉。

 こいつら、人語に近い言語知能を持ってることに驚く。

 「来ないで」「怖いよお母さん」それは猿どもの間で交される言葉じゃない。

 部族の女子供を誘い出すための言葉だと気がつく。


<続>


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