#4 此処は何処?
ロリータファッション好きですか
沢山の人々が踊っている。
彩とりどりの衣装を身にまとった老若男女が思い思いに、音楽に乗って身体を揺らしている。
今日は何かの祭りなのだろうか。
菫青は独り、この踊りの輪を外側から眺めていた。
「ここはどこなのかしら?」
仮面を着け装飾華美なフリルやレースがふんだんに使われたゴージャスなドレスに身を包んだ貴婦人や、アニメや漫画のキャラのようなファンタジー的な魔法使いの衣装をまとった人物も見受けられた。
「まるでコスプレ大会のようなお祭りね」
その中で、とある人物に目を奪われる。
その人物は菫青が最も愛して止まないファッションに袖を通していた。
【ロリータファッション】
「珍しい。ロリータちゃんがいるなんて思わなかった。それも白ロリだなんて。全身白色なんて、なんてステキなのかしら」
その人物は頭のてっぺんから爪先まで、全身白の衣装をまとっている。
白いボンネットにはフリルとレースとリボンが施され、銀色の頭髪はウィッグなのかほぼ同化している。
白いセーラーカラーのワンピースの下にはパニエとドロワーズを仕込んでふんわりと裾が広がるようにしていると見てとれた。
白いオーバーニーハイソックスに厚底エナメルのシューズも白だ。
まるで武器のようなパラソルとハンドバッグは矛と楯のようにも思える。
全身を白で統一された姿は、まるで花嫁衣装のようであった。
菫青が余りにもガン見していたせいか、その人物も自分に向けられている視線に気が付いた。
自分を見ている少女の姿に驚く。
菫青は全身白色を身にまとった自分とは真逆の全身夜の帳をまとっているような、黒を基調としたゴシック調の衣服だったからである。
『まるで夜闇から現れた悪魔か、精霊か、堕天使か。それにしても目を惹く子だわ。面白い』
菫青も菫青で全身白色の人物を見詰めつつボンヤリと思考を巡らせていたせいで、本人が目の前に移動していたことを認識するのが遅れた。
「こんにちは、お嬢さん。私にとても興味があるようだけど?違っていたらごめんなさいね」
ずばり図星を刺されて即答に困る。
「・・・ええ、不躾にごめんなさい。その全身白ロリがステキすぎて魅入ってしまったわ」
なんとか言葉を紡ぎ出す。
「あっはっは。正直にありがとう。お嬢さんこそ、その全身ゴシック衣装がとても似合ってるわ。私にもし娘が出来たら是非着せたいスタイルだわ」
可憐な少女の外見とは裏腹に、白ロリ女性はとても豪快な性格のようだ。
どことなく自分の母親を彷彿とさせられる。
菫青の母親もまた、見た目少女と見紛う出で立ちの可憐さを持ち合わせているのだ。
菫青の服の趣味は母親の影響も大きい。
母親は完全にエルダーゴスを貫いている。
菫青のリスペクトは全て母親が対象なのである。
この世で一番愛する存在が母親なのだ。
「それに、アナタはアタシのママにとても似ているの。傍で見てそっくりなのでとても驚いたわ」
実際の母親と、この目の前にいる少女との年齢差はあるのだが、姿そのものがとてもよく似ているので菫青は心中かなり動揺していた。
「へぇ、あたなのママに私が?それは光栄ね。あなたみたいなステキな娘がいるなんて、あなたのママは幸福な人だわ。あなた名前はなんと云うの?私は宝生菊花。 ホウショウキクカがフルネームなの「キッカ」とよんでちょうだい」
「はい。あ、あの、アタシはキンセイです。フルネームは「夜天菫青」ヤテンキンセイ。菫に青と書いて「キンセイ」と読みます。鉱物の菫青石のことでもあるの。それより驚きなのは、名前までママと同名だわ。ママの旧姓も宝生菊花って云うの。もうホントにビックリだわ」
こんなシンクロニシティなことも有り得るのだろうか。
自分の母親似の女性は名前まで同じであったとは、偶然なのか、必然なのか、摩訶不思議なこともあるものだと菫青は少なからず、動揺しながら感動もしていた。
「これは最早、運命なのかも知れないわ。キンセイ。私達は出逢うべくして出逢ったとしか思えないわ」
菊花の興奮気味の感情の高ぶりを見せられて、逆に菫青は冷静さを取り戻し始めていた。
next soon →5
私はすきです 着ませんけどね(エルダーゴスだけど)




