#23 男嫌い
マザコン上等
「それじゃあ、話の流れで恋愛対象が異性のキンセイのタイプはどんな女の子なの?」
やはり、興味を惹かれる矛先は好みのタイプに行き着くようだ。
時代や次元が違っても人の感情、特に恋愛感情は興味の対象としては外せない。
「好みのタイプねぇ。そうねぇ、可愛い系も好きだし。綺麗系も好きだし。年下でも年上でも同年代でもOKだわ」
次から次へと見境なく出て来る菫青の好みの範疇の広さに菊花は半ば呆れた。
「キンセイ。それじゃあ、あなたは無類の女好きでしかないわ」
「あら失礼ね。女性なら誰でもよいって訳ではないわ。可愛くて綺麗な女性が好きなだけよ。顔だけじゃなく心もね」
失礼なのはどっちだろう。益々、菊花は開いた口が塞がらない。
「まぁ、いいわ。男の子のあなたにとっての恋愛対象は普通に異性なのね。それで、同性を嫌う理由はどうしてなの?」
誰かに何かされたのだろうか。
「ふふ、何もされてないわよ。ただ、うちの野郎共が優秀すぎて他者がバカに見えるだけの話よ」
不意に思ったことが顔に出たのか、菫青が菊花の心を見透かすような返答をする。
「それもなんだか失礼な話じゃない。余程、あなたの兄弟はすばらしいのね」
菫青にそこまで云わせるとは、どんな兄弟達なのだろうか。
益々、菊花の好奇心を刺激する夜天家の兄弟達に興味津々となる。
「兄弟もだけど、やっぱりダントツナンバーワンはパパだわ。頼りになるし、ユーモアもあるし、家族想いだし、見た目も男前だし、なんと云ってもママを世界で一番愛しているわ。あっ違うか、ママを一番愛しているのはアタシだから、一番はアタシだわ」
なるほど、これは跳んだマザコンだ。
「それじゃあ、キンセイの理想の女性はあなたのママなのかしら?」
話の内容からして菫青の様子を見れば一目瞭然だ。
「もちろん、世界、いえ、宇宙一ママを愛しているわ。アタシの理想そのものだもの」
満面の笑顔で応える菫青のなんと幸福そうな表情に菊花は観念する。
「その物怖じせずに云い切るキンセイのマザコン度合いを天晴れと思うわ」
「ええ、マザコン上等。それはアタシにとっての最高の褒め言葉だわ」
啖呵を切る勢いの菫青の漢前具合に感嘆する。
「ブラボーだわ。キンセイ」
元々が男子なのだから漢前も何もないのだが、菫青の潔い性格は元来のもののようだ。
「ありがとう。キッカに云われるとママに褒められているみたいで嬉しい」
何度も思うが、見た目も名前も同じ菊花を他人とは思えなくなっている。
「そう?それならよかった。そろそろ水晶庭園に到着するわ。ほら、そこよ」
歩きながら前方を指差す菊花に釣られてそちらに視線を移した。
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漢前な男の娘はすきですか




