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「シーラカンスは太古で現世の夢を視る」  作者: トリササ


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24/24

#24 水晶庭園での出逢い

鉱物コレクションは水晶に始まり

「わぁ、すごいわ。キラキラしててステキ!これみんな水晶なの?本物?」

菫青が感嘆した先には大小様々なサイズの本物の結晶化した水晶の数々が整然と並べられていた。

「ここは庭園と云うくらいだから、自然の群晶ではないけれど設置してある水晶達は本物よ」

「へぇ、円形に並べられた水晶達のお蔭でとっても場の気が清浄だわ。ここは常に浄化されているのね。なんだかとても癒される」

サークル状の水晶達に囲まれるように中心に立つと、ひとつ深呼吸をする。

「クリスタルサークルはここだけではないのよ。この先にもいくつかあってね。サークルによって色付きの水晶達も様々あるの」

「色付き。紫水晶だったり黄水晶だったりってこと?」

水晶は無色透明なものから紫や黄色などの色付きのものやルチルやトルマリンと云った針状結晶が内包されたインクルージョンまで多岐に渡る。

「そうそう。内包物によって少しずつパワーやヒーリング効果も若干異なってくるわ。試してみるといいわ」

まるで水晶のテーマパークのような庭園は、空気が浄化されているのか菫青は心身共に癒やされてゆくのを感じた。

「うん。それもたのしみね」

透明水晶のサークルを抜けて次のサークルへと向かう。

菊花と菫青が並んで歩いていると、背後からパタパタと小走りに駆けて来る足音が近付くのに気付いた。

菫青が振り向こうとした瞬間だった。

「お願い助けて!」

菊花と菫青の間を割るように菫青の腕にしがみ付く少女の姿があった。

「えっナニ?」

いきなり腕にしがみ付かれた菫青が驚き、訳分からずに菊花に救いを求める視線を向けた。

「ハクレン?」

菫青は元より菊花自身も知り得た人物だったことに驚きを隠せない。

「えっあっ、キッカ?よかった。キッカだったんだ。よかった」

見知った顔だったことに「白蘭」ハクレンと呼ばれた少女は安堵の表情を見せた。

「よくないわよ。何がなんだか訳分からず私は半ばパニックに陥り掛けてるわよ。キンセイなんてフリーズしてるじゃないの」

思考も身体も完全に停止してしまった菫青が身動ぎひとつ出来ずに固まっている。

「キンセイ?あっ、ご、ごめんなさい。私ったらいきなり、それも見ず知らずの方になんて失礼なことをしてしました」

自分が何をしていたのか理解した白蘭は、慌ててしがみ付いていた菫青の腕を解放した。

「ええ、アタシは全然構わないのだけど、そんなに慌ててどうしたの?まさか、誰かに追われてるの?」

白蘭の切羽詰まった様子に只事ではないと察知する。

「えっそうなの?ハクレン。あなた追われているの?一体、誰に追われているの」

想像していなかった事態に菊花も驚きを隠せず思わず後方を振り返る。

視界に捉えたのは少女を追って来たらしい人影だった。

それも半獣半人の姿をしている。

「あの人、私のファンだと云ってくれていたのだけれど、付きまといがしつこくて最近とても困っていたの。特に待ち伏せが多くてヒドイの」

後方には菫青が見たこともない姿をした人物が自分達に気付いてか、かなり動揺している様子が覗えた。

「あれは音子族じゃない。ハクレンの追っ掛けなの?」

「ネコゾク?確かに顔が猫っぽいわね。初めてお目に掛かるわ」

まさに二次元の世界観でしかお目に掛かれない存在がリアルとなって現れている。

「そっちの猫じゃなくて、音の子と書いて「音子族」その名の通り音楽や楽器に長けた部族なのよ。彼は姫巫女達の舞踊の演奏者なのかしら?」

「キッカの云う通り、そうなの。彼は私達の背後で舞踊の演奏をしてくれている一族の一人なのだけど。私のファンだと云ってくれていたのだけれど、最近はファンの域を超えてきているようなので怖い。なるべく、関わらないように避けていたわ。でも、今日は運悪く私がひとりでいるところを見付けられちゃったみたいで逃げてたの。キッカ達がいてくれて助かったわ。ありがとう」

二人に礼を述べる白蘭は、その名のイメージ通りの白いワンピースを着ている。

衿元のフランスレースとマトンスリーブの長袖に、裾は三段切り替えのティアードがとても清楚さを演出している。

本人はと云うと、首筋辺りまでのショートカットボブで中心から分けられた前髪の短い部分が額に掛かっているせいか、目元がはっきりと見え、大きなくっきりとした黒目はやや茶褐色に彩付いていた。

「可愛い」

思わず声に出てしまった本音である。

「え?あ、ありがとう?」

何を以て可愛いと云われたのか理解出来ず、とりあえず礼を云う。

「アナタのことはアタシが守ってあげる。だから、アタシと友達になって?こっちの世界にはキッカ達しか知り合いがいないの」

勢いのまま白蘭の両手を取り、思いの丈を熱弁する。

「え?あの、えっと、わ、た、し、でよければ、あの、えっと、キッカ?」

突然の菫青の暴挙に状況が呑み込めない白蘭が思わず菊花に助ける求める。

「うーん。ここで立ち話もなんだから、もっと落ち着いて話せるところに移動しましょうか。キンセイも落ち着いてね」


nextsoon →#25



水晶に終わると云われている


私の一推しはフローライト「蛍石」です

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