第二章 20 トイレ休憩
20 トイレ休憩
しばらく山の中を進んだが、魔物の気配は感じられなかった。いつも都合のいいタイミングで遭遇出来るわけではない。そろそろ昼なので、三人は休憩することにした。
山を下り、公衆トイレの所まで戻る。山の浅いところを回っていたので戻るのは簡単だ。
「先にトイレ行ってくるね」
「オレも」
トイレから離れた、開けた場所に座って食事にするが、ミーヤとマアチはまずトイレに向かった。
「ご飯の前にトイレに行って、ご飯の後にもトイレに行くと、お金かかっちゃうけど、血が漏れてたら嫌だから、こまめに行かなきゃなって思うよね」
ミーヤがぼやく。
「飯の後でトイレ行くかーって後回しにすると、トイレ行ったときにズボンまで染みてることあるもんな。飯の前にナプキン替えとけば良かったのにってなるからな。マジで生理うぜー。オレはほぼ終わりかけだけど、緊張したせいか普通にトイレ行きたい」
マアチがうなずく。
「魔物と戦うの、緊張するよね。ボウ兄さんは山に来てからまだトイレ行ってないし、行きたそうにもしないけど、やっぱり慣れてるからかな」
「いつも昼飯の後で一回行く程度だもんな。オレらも、せめて生理じゃないときはそのぐらいになりたいぜ」
そんな話をしながら二人はトイレに着いた。それぞれ20テニエルを支払い、ドアを開ける。
トイレに入ったミーヤは、リュックとベルトポーチを壁のフックにかける。さっきと同じく、弁当と魔法水筒はリュックから出してボウに預けている。
ズボンを下げて確認すると、出血は20フィンクほどあった。
今は、30フィンクのホルダーに、26フィンクのプレーン布を折りたたんで載せている。さっきのトイレではプレーン布を折り返すだけで済んだが、もう取り替えなければならない。
リュックから替えのナプキンと、防水加工の布袋を取り出す。ホルダーから血の付いたプレーン布を外し、布袋に入れてしっかり口を閉じる。
ホルダーにも指先ほどの血が付いていたが、その程度でホルダーごと取り替えるのは面倒くさい。それに、ここは出先なのだから、こまめにホルダーまで取り替えていたら、替えが無くなる可能性がある。ミーヤは我慢し、血の付いたホルダーの上に新しい26フィンクのプレーン布をたたんで載せる。
リュックは複数ポケットがある物を選んだので、使用前ナプキン、使用済みナプキン、弁当、水筒、どれも入れる場所は別に出来る。
リュックの一番下にあるポケットを、ミーヤは汚れ物入れにしていた。布袋をそこに入れる。
後は普通に用を足し、ミーヤはトイレを出た。
マアチはすでにトイレを終え、外で待っていた。二人でボウの所へ戻ろうとすると、山から他の魔物狩り屋が歩いてきた。
筋肉質な戦士タイプの女性と、細身の魔法使い風の男性の二人組。
ミーヤとマアチは、すれ違うときに軽く会釈して通り過ぎた。
「時々、私達がトイレ休憩してるときに他の人も来るよね」
「ああ。でも、パーティ全員で来るのってオレ達ぐらいなんだよな」
あの男女は街道で見かけた気がする。だが、何人かのパーティだったはずだ。
「中級者ぐらいになると、朝から晩までトイレ行かなくても平気な人多いよ、ってボウ兄さん言ってたよね。山の奥まで行って、そこでお弁当食べて、夕方まで魔物狩りを頑張るって」
「我慢出来ない奴だけトイレ休憩するのかもな。一人は危険だから二人で山を下りて。中級者なら二人いれば魔物が出てもなんとかなりそうだし」
今の人達、どっちがトイレに行きたかったんだろう、両方かな、でも男女で来るってことはカップルかもね、そんな会話をしながら二人はボウの所へ戻った。




