表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/29

17

『ウドゥン皇太子殿下、私はとうに覚悟しておりました。

 否やはございません。謝られることでもございません。

 皇太子殿下となられた日から、この日が来ることはわかっていたように思います。白い結婚を貫いたのは結果として、好都合となりましたね。

 貴方は独身となりました。私との結婚は存在しなかったことになりました。そのことに文句などはありません。政治的に意味のない婚姻だったのですから。ただひとつだけ、言わせてください。

 各国の王女や皇女、名家の娘の肖像画をずらりと並べて、どの娘がいいと思うか、などと訊ねてこられるのは少々意地悪ではないでしょうか。

 私のことを憎んでおられるのですね。でも認めていただいてもよろしいではないですか。私は自ら自分の首を絞めたのです。貴方のために。

 恥も外聞もなく、ソヴァ殿下との秘め事のことを裁判で明らかにしました。ソヴァ殿下にとって不利になる証言もしました。貴方が有利になるような嘘もつきました。引き返せない道を進みました。ソヴァ殿下よりもウドゥン殿下のほうが、世継ぎに相応しいと信じたからです。

 今ごろになってソヴァ殿下の共犯者としてふたたび囚われることになろうとは。思い及ばなかったのは、うぬぼれのせいでしょう。私はウドゥン殿下に愛されているのだと、調子にのっておりました。

「何もしていないのに、なぜ異母兄に疎まれているのか、理解できない」とおっしゃっていましたが、今でも同じ思いでいらっしゃいますか。それこそ嘘でございましょう。

 ソヴァ殿下は愚かな間違いを犯しましたが、ここに至って、ようやく私はソヴァ殿下のご心情を理解できました。ソヴァ殿下は出来のいいウドゥン殿下に嫉妬していらしたのでしょう。

 平民の母を持つ異母弟を見下して蔑むことは簡単でしたが、その理不尽さにも気づいておられた。だからいつか貴方が仕返しに来るのではないかと妄想を抱いてしまったのです。 無理からぬことだと思います。貴方の善良さがますますソヴァ殿下を狂わせたのではないでしょうか。もちろん、咎めているわけではございません。誤解などなさいませんよう。

 ソヴァ殿下は、いえ、私も同じです、ずっとうしろめたい気持ちを抱えていたのです。

 ソヴァ殿下は今やっと平穏にお暮らしになれたのかもしれません。できましたら私も監獄島に流刑にしてください。罪人のソーキより』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ここを読んでから15と16を読み返すと運命の悲哀を感じずにはいられませんね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ