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大坂城再建。オタクの敵はオタク

大坂・堂島。


堂島川には荷船が行き交い、各藩の蔵屋敷には人足たちが忙しなく出入りしていた。


堂島の松平忠明邸に、幕命で集結したのは、加藤清正、藤堂高虎、池田輝政、そして黒田長政。


忠明は錚々たる武将たちの前に、思わず背筋が伸びる。


「遠路はるばるよくぞ―」


そう言いかけたが……。


「どのぐらい焼けたんや?」


「全焼と聞いたぞ。」


「石垣残っとるやろか?」


「堀もやな。」


オタクたちは勝手に話し始めた。


「……挨拶しろや、おっさんども。」


忠明は、思わず素でツッコんだ。


挨拶もそこそこに、忠明は説明をした。


「高台院様と淀の方様より、縄張りの変更について、既に承諾を得ております。」


「縄張りを変えられるのですか?」


清正の質問に、忠明は静かに頷く。


「今のままの縄張りでは、金が幾らあっても足りませぬ。

それから……高台院様と淀の方様はこうも仰られたそうです。」


忠明は、自然と姿勢を正した。


「これからは、新しき世の城として、皆で良い城を造ってほしい、と。」


四人の目がギラッと光った。


再建の予算について説明しようとしたが……。


「縄張りを変えるんやったら、実際見てこな。」


「せやな!」


「どのぐらい焼けて、どのぐらい残ってるか、確認せんと!」


「んじゃ、早速!」


四人は立ち上がる。


「……聞いて。」


聞いちゃいなかった。


そして、現場に到着。


四人は神妙な面持ちで、焼け落ちた大坂城を眺めていた。


「二の丸と三の丸の石垣が、爆発の影響で崩れかけております。

今は、その付近一帯は、人の出入りは制限しております。」


清正は三の丸の方角を見る。


「火薬庫は……三の丸付近でございましたか。」


「はい。あと、山里丸の火薬庫にも落雷しまして……。

玉造の屋敷も落雷しました。あちらは屋敷が密集しておりましたので。当日は風が強く、一気に燃え広がりました。」


めっちゃ、ピンポイントで落雷した模様。


「なるほど……。」


それっきり、黙ってしまった。


忠明は四人の背中を見つめる。


(やはり……無念がおありなのであろうな。)


四人にとって……特に清正にとって、大坂城は『実家』と呼んでも過言ではないだろう。


そう思っていたのに……。


「二の丸と三の丸は埋め立てるか?」


「無理に残す必要もないやろ。」


「寧々様と茶々様も、任せる言うてんのやし。」


「西の丸は比較的残ってるな。」


「後は本丸や玉造の方も見て回って……。」


「縄張り考えな。」


頭の中は、城の再建で埋め尽くされているようだ。


おっさんどもに引き摺り回され、広大な大坂城を一周した忠明は、疲れ切っていた。


視察を終えて、堂島の屋敷に戻った忠明はグッタリ、オタクどもは生き生きしていた。


「二の丸と三の丸は埋めてええやろ。」


清正がそう告げると、輝政と長政は頷いたが、高虎だけが首を横に振る。


「いや、残す。」


「なんで?」


「防御や。」


高虎はキビキビと語り始める。


「大坂は南都や。

今後、ますます人も増えますやろ。

城下も今より広がることを考えると、今の規模じゃ足りん。」


忠明は思わず聞き入ってしまった。


「それから……。今は戦が無いというても、百年後も平和とは限らんやろ。

城は今だけ見るもんやないで。」


その一言に、忠明は納得しかけたが……。


「やけど、金が限られとるんや。」


「上様から厳命やって、言われとる。」


輝政と長政の言葉に、高虎は唸る。


「百年後も平穏にすんのが、儂等の役目やろ。」


清正の言葉に、一同は息を飲む。


「限られた金で城を造る……。幕命や。

それに……それこそ儂等の腕の見せ所やろ?」


暫く黙っていた高虎はゆっくりと顔を上げる。


「それもそうやな。」


あっさり引き下がった。


忠明は遠い目をする。


(再建まで……何年掛かるだろうか。)

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