大坂城再建。桁が違う
終わったと見せかけて……(笑)
本編に入りきらなかった後日談です。
お付き合いくだされば幸いです(笑)
元和元年に燃えた大坂城を再建すべく、大坂城代である松平忠明は、早急に見積もりを作成したのだが……。
「……。」
提出された見積もりを見て、固まった。
見間違いか?と思い、一度閉じて、もう一度見る。
紙を遠ざけてみたり、または近付けてみたり……。
はたまた、逆さまにもして見たのだが、結果は同じだ。
「……桁が違う。」
ポツリと呟いた。
江戸城 本丸 表。
徳川秀忠の元にも、大坂城再建に関する見積もりが届いた。
見積もりを見た瞬間、秀忠は固まった。
「……正信、儂の見間違いか?」
「上様、申し上げたい事は分かりますが、合ってます。」
秀忠はそのまま、土井利勝を見る。
「上様。正信殿が申される通りです。合ってます。」
秀忠は再び手にしている見積もりを見る。
「……桁が違い過ぎるだろ。」
「大坂城です。」
「……大坂城なれば……。」
そして、遠い目をした。
「淀の姉上が、幕府に押し付けた理由がようやっと理解できたわ……。」
大坂城は、維持だけでも金が掛かるのだ。
大坂城再建の評定の為、江戸に戻って来た忠明を交え、秀忠は評定を始めた。
「予算はこれで。これ以上は出せません。」
利勝はキッパリと言った。
「誠ならば、戦支度にと思うておった金であるが……。
ここで使うとは思わなんだ。」
秀忠は若干遠い目になる。
「戦しておったらと思うと、気が遠くなります。」
忠明も同じく遠い目。
「大坂城は広大にございまする。縄張りを変えれば、予算内には収まるかと。」
「うむ。……城の再建となれば……。やはり、加藤清正と藤堂高虎を呼ぶべきか?」
「池田輝政殿と黒田長政殿も適任かと。」
秀忠は腕を組む。
「……正信、使いを送れ。大坂城の再建じゃと。」
「はっ。」
「指揮は大坂城代たる忠明に。」
「かしこまりました。」
「利勝、高台院様と淀の姉上にお伺いを。
今は幕府の城じゃと申せど、元は豊臣家の城。勝手にする事もできるが……。
お二人も想う所あろうて。」
「はっ。」
こうして、大坂城再建に向けて、本格的に動き出した。
『元和元年の火災で消失した大坂城の再建を行う。
大坂まで来るように。』
知らせを受けた清正、高虎、輝政、そして長政は目を輝かせていた。
「支度せよ。」
「大坂へ参る。」
「大坂城……。」
「腕がなるわ。」
城オタク軍団は燃えていた。
一方で、幕府より大坂城再建の為のお伺いが届いた高台院と茶々は……。
「ええんやない?」
高台院はあっさりと言った。
「元は豊臣家の城と言うても、今は幕府の城ですし。」
茶々も同意し、すぐ近くに控える高台院側近の孝蔵主と、大蔵卿局も頷く。
「広過ぎるんのよねぇ。」
「金も掛かりますしね。」
「そうやね。……新しい時代の象徴や。」
そして、さっそく返事を出した。
『これからの新しき世の城にございます。』
『徳川の采配に任せます。』
『皆で良き城を築いてください。』
秀忠はポカンとした。
「……あっさりじゃ。」
「あっさりですね。」
「あっさりしておりますな。」
二人とも、思い出はあれど、未練はなかったようだ。




