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元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば


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9/55

EP9. 拾った少年は元暗殺者でした

「皇女様 ごきげんよう」

「先生ごきげんよう」


今日は歌の授業。

黄緑色の淡い髪に、金色の羽の髪飾りをしたレイチェル先生。

先生の周りには、小さい妖精達がフワフワ飛んでいた。

妖精の一人が私を見つめたかと思うと、他の妖精を呼び出した。


「この子、前と光の色が違うね?」

「ねー?何でだろう? 」

「不思議―! 」


―妖精の声が聞こえる……!―

色が違うという言葉を聞いた私は、瞳が少し揺らぐ。

妖精達をあまり見ないように、視線を天井に向けた。


~~♪

ピアノの優しい音色と先生の甘い優しい声が部屋に響く。


「お歌始まった!」

「このお歌、好き!一緒に歌っちゃおう」

「私も~レイチェルの声、好き」


妖精達は、先生と一緒に歌いながら嬉しそうにピアノの上を飛んでいる。

曲の途中で、キラキラとした粒子が妖精の羽から出て先生を包んでいた。


―綺麗……。先生の歌も癒される~―

先生と妖精達の歌声に、そっと目を閉じ聞き入っていた。


「では、皇女様。今私が歌った通りにお願いします」

「はい……」


あ“~~~♪~~~

歌詞の書かれた紙を両手で持ちながら必死に歌った。

ピアノに乗った妖精達は、顔をしかめ小さな手で耳をふさいでいる。


「きゃぁあー!」

「な、なにこのお歌」

「やめてぇー」


―ごめん……。私の歌、下手で……―

私は気まずくなり、どんどん声が小さくなっていった。


「……歌詞の通り歌えてますわ!ただ、音程をもう少し……」


苦笑いしている先生と、ぐったりしている妖精達。

それから音程などを、丁寧に指導されながら授業は終わった。


「痛い……」

椅子に座ったまま寝ていたようだ。

真っ暗な部屋に、優しい月明りが差し込む。


「……あれ、今何時!?」

タブレットを見ると深夜0時を過ぎている


「今日も、お願いね」

「うん、いってら! おやすみ~」


影武者を城に置いてワープをすると、家の電気が消えていた。


―何かあった? いや寝ているだけ?-


バンッ!

ドアが勢いよく開くと、私のお腹に向かって少年は突進してきた。


「おせえぞ!!」

「ごめんね、遅くなっちゃって。今料理作るから」

「……もう来ないのかと思った」


小さく少年が呟いた。


「え?」

「な、なんでもねぇ!」

「さっ、お家に入ろう?夜は冷えるよ」


「チッ……坊やじゃねぇし」

頬を膨らませた少年と一緒に家に入る。

テーブルや棚にあった食材は、綺麗に食べ終わっていた。


「破棄」

ビニール袋を振ると、サラサラと透明になり消えた。


―便利すぎる! 今日は何を作ろうか―


テーブルに、煮込みうどん。ほうれん草の胡麻和え。卵焼き。

が並んだ。


「うまい……!」

「不思議だ、この草は甘いんだな!」


初めて見る料理に少年は驚きながらも、美味しそうに食べてくれる。

食後のオレンジをテーブルに置いた時、少年が話しかけてきた。


「ここに居ない間は、どうしているんだ?」


―困ったな……城で授業を受けてるって言えないし―


「働いてるよ」

「まぁ、そうだよな。いつも遅いからさ……」

「坊やも前は働いてたの?」

「ん?あぁ」

「そっか、大変だったのね」

私は椅子に深く腰を掛けた。


「何の仕事していたのか聞かないのか?」

「前に言ったでしょ?坊やが話すまで、私は何も聞かないよ」

「……」


少年は食べる手を止め、腕を組み難しそうな顔をしている。


「そんなに悩むなら言わなくていいよ? 」

「お前は、仕事の種類で偏見とかあるか? 」


「無いよ。どの仕事も大変だと思うから」

少年は深呼吸をした後 小さい声で


「あ……暗殺……」

「……暗殺?それって、人を殺すってことで合ってる?」

「あぁ」

「大人を殺すには体格差があるじゃない?」


「直接手を下すのは、別の大人がやるんだ。

俺は、毒殺系とか潜入調査の方」


「あの夜、俺は相棒に裏切られたんだ。任務失敗をなすりられてな」


「そうだったの…。」

「その……嫌いになったか…?」


「いや、嫌いになってない。大変だったね」

私は首を大きく振った。


「その組織は今も坊やを探してるって事よね?」

「殺したと思ってるだろうが、死体が出てこない限り

‥‥‥諦めないだろうな」


少年が淡々と話している姿を見て、

子どもらしい環境で、過ごせていなかったのだと胸が締め付けられた。


「話してくれて、ありがとう」

私は微笑んだが、少年はうつむいてしまった。

重たい空気が部屋を包む。


―私が少年に出来ることは……―


「事情は分かった。少し調べものしてくる」

私は席を立つと別の部屋に行き、タブレットで調べ始めた。


「……あった」


【自分以外を永久に変化する方法】


※ 推奨年齢10歳以上 

(必要素材:あまゆいの実)

『あまゆいの実』を対象者が摂取し、

3時間以内に光魔法で『変化の魔法』をかける事。


「あまゆいの実?後で図書館へ行って調べなきゃ」


少年が居るキッチンへ戻り


「ねぇ、因みに坊やって何歳なの?」

「ん?俺はたぶん、今年で9歳かな」


―あと一年か―


「なんでだ?」

「いや、特に意味はないよ」


タブレットを見始め 大きめの冷蔵庫と電子レンジ、テレビを買った。


【配送完了】

届いた冷蔵庫に食材を詰めて、壁にテレビを取り付けた。


「ちょっと来て―!」

「なんだよ、この箱! 」

驚いている少年に使い方を説明した。


―これで私が居ない時も食べれるね―



テレビは、前の世界のアニメが見れるようになっているらしい

試しにテレビをつけてヒーロー系のアニメを流した。


「明日はもしかしたら、ここに来れないかもしれない」

「うん……」


―あら、テレビに夢中ね―


少年は眠そうな目で、頭も少し揺れ始めていた。

こう見ると年相応に見える。

本来こういう姿で生きていくのが普通なのだろう。

しばらく、小さい背中を私は複雑な気持ちで見つめていた。


「もう寝る」

少年はベッドに入った。

音楽の授業で下手くそだった私の声で、前世で聞いた子守歌を歌う。


「よいこ~だ~~♪」

「ふっ……へたく……そ」

軽く笑みを浮かべながら、すぐ少年は眠った。


「ふふ。おやすみ」

小さく私は呟き、少年の小さな手をゆっくり布団にしまうと

城へ帰ることにした。


家を出ると、少し冷たいが心地よい風が吹く

歌を口ずさみながら、空の三日月を見た。


~~~♪ 


ふと視線を感じて振り返ると、二人の妖精がフワフワと浮いていた。

昼間、城で見た妖精の色とは違う。紫色の服と銀色の羽をしている。


『やめてぇー』

音楽の授業で妖精が叫んだ声を思い出し、すぐ歌うのをやめた。


「歌が下手でごめんね……」


「ううん、あなたのお歌とっても上手」

「綺麗な光が見えたから、ここに来たの」


妖精に気を使わせてしまったと思った私は、苦笑いをする。


「元気ない? 手だして!これ、あげる!」

妖精は小さい種を私の手のひらに置いた。


「え、ありが……あれ? 」

お礼を言おうとしたら消えてしまった。


何の種か分からないけど、後で植えてみようと思い

種をアイテムBOXへしまった。


「あらら……」

城へ戻ると影武者は、今日も盛大にイビキをかいて寝ている。

アイテムBOXにいつも通りしまった。


そして私は、もう一人の影武者を作る事にした。

細かく設定をイメージして創造スキルを発動する。


「初めましてマスター」

「これからよろしくね」

「仰せのままに」


―少し受け答えが固いけど、それは、おいおいで……―


時刻は3時を過ぎていた。


「明日はお茶会か……いい子が多いといいな」

ベッドに入った私は、期待と不安に胸を膨らませながら眠った。


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