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元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば
第一章

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EP10.  いざ、初お茶会で転生者探し 


―今日が、来てしまった―


私は午後からのお茶会を前に、リストを書き写したノートへと目を通していた。


「ルーカスはすごいな。短時間で、ここまでのリストを作れるなんて」


―気になっていた候補をおさらいしなきゃ―


【クリストファー】鍛冶屋職人の息子

好きなもの:たこ焼き・かわいいもの・ぬいぐるみ。

性格:温厚。


【デイジー】宝石商の一人娘

好きなもの:某赤リボンの猫、シュークリーム、アクセサリー

性格:お転婆。頑固


―『たこ焼き』と『某赤リボンの猫』この2人は転生者か、もしくは親が……。―

考えを巡らせていると、扉を叩く音が響いた。


コンコンッ


「皇女様、そろそろお時間です」


ノートを引き出しにしまった後、背筋を伸ばし廊下へ出る。


「その花瓶は広場じゃないわ! 来客の部屋よ! 」


会場に近づくにつれて、メイド達が慌ただしく動いている。


「上手くいくと良いな」

私が小さく呟くと、前を歩いていたメイドが振り返り微笑んだ。


「皇女様なら大丈夫ですよ!自信を持ってください」

「うん、頑張る!」


少し歩くと、初めて見る景色が広がっていた。

白い渡り廊下。小さい噴水。宝飾が殆どないドアが開いた部屋を通り過ぎていく。


―特定の場所しか行き来してないから、新鮮だな―

城の中央広場まで、近づくにつれて遠くから子供の声が聞こえてきた。


ガヤガヤ……


緊張した様子の子、おしゃべりに夢中な子、自慢げに何か話している子。


会場に到着すると


「その料理はこちらへ!」

聞いたことがある声の方へ、視線を向けた私は目を大きく見開いた。


―田島さんご夫婦だ! ー


今のこの姿では、変身していないから気軽に挨拶が出来ない。

駆け寄りたい気持ちを、グッとこらえてメイドに尋ねた。


「あちらの男性は?」

「お茶会の料理担当者です。

食堂の評判を聞きつけた執事が、呼び寄せたらしいですよ」


田島さんが作るなら、日本のお菓子があるのではないかと

私の心は期待に満ちていた。


―テーブルに乗せられている銀のトレーを覗きたい―


「皇女様……?」


―ハッ!無意識にニヤニヤしちゃってたわ!―


「た、楽しみね! 」


私は苦笑いをしながら、会場を見渡す。

食べ物の事を考えていたら、さっきの不安が少し消えていた。


暫くすると、ルーカスが会場の中心で手を叩く音が聞こえる。


パンパンッ!


「ご歓談中のところ申し訳ございません。

皇女様からご挨拶がありますので。静かにお願いいたします」


静まり返る会場。


「皇女様、ご挨拶を」


後ろに下がるルーカスとすれ違うように、私はゆっくり歩み

真ん中で足を止めた。


「本日は、お忙しい中参加して下さり誠にありがとうございます。

この場は、正式な社交場ではありません。

楽しい時間を一緒に過ごしましょう」


頭を下げると会場は拍手に包まれた。


「ご家族は、別室へご移動を願います」


ルーカスのアナウンスで、子供達の家族がぞろぞろと移動していく。

さっきまで、笑顔で話していた子供たちは

少し不安そうな表情をし始めていた。


―さて、気になっていた2人はどの子なんだろう?―


私は、ゆっくり周りを見渡す。


「うーん。分からないわ……」

外見の特徴が分からない状態で、どうやって探そうと悩み始めた。


「皇女様!お会いできて光栄です!」

声がした横を見ると、3人組の男の子達が恰好つけるような顔で立っていた。


「初めまして、来てくれてありがとう」

私は微笑むと、自己紹介が始まった。

―あれ、向こうから話しかけるのは……まぁいいか―


「僕は オリバーと申します。王家直属の薬事関係の息子です。」

「右はトーマス、左はルドルフ いずれも同じです

本日初めてお会いできて、皇女様の美しさに見惚れてしまいました~」


―……子供なのに、よく恥ずかしげもなく言えるわ。私の顔引きつってないかな? ―


「あら、お世辞だとしても嬉しいわ。本日は楽しんで下さいね」

「あ、皇女様……!お話を……」


私は頭を軽く下げ、歩き出した。

それからというもの、向こうから話しかけられては

いかに自分の階級や両親の職業が立派なのかを話される。


ギラギラした子供達との挨拶が続いて疲れてしまった私は、

会場から少し離れた場所に行き溜息をついた。


―あからさまな『ごますり』は、前世も今も嫌いよ―

会場を背にして目を閉じた。


緊張と、ずっと話していたから喉が渇いた私は

軽食があるテーブルへ移動した。


長いテーブルには、プチシュークリーム、プリン、エクレア、

鮮やかな色をしたフルーツ大福……。

どれも立食用に一口サイズで並んでいた。


―うわぁ!全部美味しそう~! 日本のデザート懐かしい! ―


飲み物は見本が並べられていた。

メロンソーダ、ジンジャエール、イチゴミルク、

オレンジジュース、紅茶……。


「どれになさいますか?」

私が目を輝かせ見ていると、田島さんが、笑顔で聞いてきた。


「ジンジャエールで! 」


シュワシュワ……


グラスに入った飲み物を貰い、一気に喉に流し込む。


「っぷはぁ~!!これよ!喉で味わうこの感じ。最高!!」

「ぷっ」

後ろを振り返ると、メイドが口に手を当てて肩を震わせている。


―ハッ! メイドに見られた―


「ふははは! 皇女様、良い飲みっぷりですな! 」

「えへへ。美味しくてつい……」


田島さんが笑っていると、横の奥さんの目が泳ぎ手を口に当てていた。


「夫の不敬をお許しください……」

「これも不敬なのか? 」

田島さんはキョトンとしている。


「いえ。お気になさらず! 次は、メロンソーダで」

「っ…ふっ、ふふ。はい」


メイドは肩を震わせながら、次の飲み物を注ぐ。


メロンソーダはゆっくり飲もう……コップを受け取った時

後ろから叫び声が聞こえた。


「キャァー!」

「あんた何てことすんのよ!! 」


グラスを置き声のする方へ向かうと、

目の前には、激怒している淡い桃色のドレスを着た令嬢と

地面にぺたんと座り、怯えている黄色いドレスを着た令嬢が居た。


激怒している令嬢と目が合うと、私に話しかけてきた。


「この者が、私のドレスに飲み物をわざとかけたんですの!」

「いえ、わざとではありません……転んでしまって」

「嘘よ! 見苦しいですわよ!! 」


―すごい怒ってる―

周りに他の子供たちが集まって来た。


「皇女様、信じてください……私は……」

泣き出してしまった座ったままの令嬢を見て、

桃色のドレスを着た令嬢は扇をバチンッと閉じ怒鳴った。


「おだまりなさい!」

「まぁまぁ、落ち着いてください。お二人は、怪我はない? 」

「えぇ」

「はい。ありません」


「このドレス、この日の為に仕立て直した特注品ですの

どうしてくれるよ!!」

「まぁまぁ……」

「皇女様だからって、口をだされるのはどうかと思いますわ!」


―どんどんヒートアップしてる―


「分かりました。そのまま動かないでください」

「なっ!私になさるつもりですの?!」


まだ、喋り続けそうな令嬢に私は溜息をつく。


「はぁ……チッ!」


この終わりそうもない押し問答の喧嘩と、茶会の疲れで

何かが『プツッ』と切れた気がした。

私は、令嬢の腕をグイッと自分に引き寄せると耳元で呟いた。


「うっせぇなぁ。いいから、だまれよお前」


低く小さい声を聞いた令嬢は、目を見開き青ざめると静かになった。

体勢を戻し、令嬢達の汚れ部分に向けて手をかざす。


ブクブクッ

サラサラ……


本で読んだ、水と風を合わせた洗浄魔法。

手を空へ向かって上げると、水雫の粒がキラキラと消えていった。


「わぁ、綺麗」

「キラキラだ~! 」

後ろから子供の声が聞こえた。


「これは、先ほど私が失言してしまったお詫びです」

淡いピンクの光が令嬢の肩下に集まり、バラのブローチが現れた。


「あ……ありがとうございます……か、家宝にいたしますわ」

「あなたの名前を教えて頂戴」


「私はアーディク・デイジーと申しますわ。

お騒がせしてしまい、大変申しわけございません。」


綺麗なお辞儀をしたまま、令嬢は頭を上げなかった。


「両親とは関係ありませんので、罰は私が受けますわ……」

令嬢の肩は震えている。


―えぇぇ!? 探してた一人だ―


私は驚きのあまり、目を大きく見開いて一瞬固まってしまった。


「頭を上げて頂戴。今度、お手紙を書いてもよいかしら?」

「はい……」

令嬢は先程の威勢は無くなり、目を合わせず地面を見つめている。


―どうしよう。怖がらせちゃったよね?―


それから、私は座っていた別の令嬢を起こすために歩み寄った。


「立てるかしら?」

今まで、へたり込んでいた令嬢に手を差し出す。


「はい……」

黄色いドレスを着た令嬢が、ゆっくり立ち上がる。

その手は少し震えていた。


「あなたの名前も聞いていいかしら?」

「はい、私はヴァン・ネリアです。」


すると野次馬の集団の中から、

ミルクティーのふわふわした髪をした男の子が

トコトコこちらにやって来た。


「はじゅめまして、皇女様」


―カミカミで可愛い~。天使かな?ん?天使だね? ―


「初めまして、どうしたの?」

「あの…みんな悪くないんです。」

「どういうこと?」


「僕、見たんです。他の令嬢達が黄色い女の子を囲んで、

飲み物のグラスを渡していたのを……」


下を向きながら話す男の子。


「よく話してくれたわ。安心して?

私は怒ってはいないし、罰を与える事もしないわ」


「よ、よかったです……!」


初めて私の目をしっかり見て微笑んだ。


「あなたお名前は?」

「ハーデン・クリストファーです」


―よっしゃ!気になっていた子は、これでコンプリート!―


「また今度お茶会に誘うから来てくれるかな?

そちらのデイジーさん、ネリアさんも一緒に」


三人はゆっくり頷いた。


―これで、やっと見つけたわ。―



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