表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/56

EP.53 禁断の魔法と、消えゆく少年の面影



「あと少しですね。」

「ああ。時間かかっちまったな」

クレール達は枯葉をサクサク踏みしめながら家路を急いでいた。

帰りは上り坂が多く、行くときよりも時間がかかる。


この旅の間、ラークと色んな話が出来たのは良かったと

クレールは歩きながら思っていた。

少しの間だけなのに、とても懐かしい気分になる。


家のドアを開けると、黒い球体がすごいスピードで飛んで来た。


ニ”ィッ!!


俺は両手でパンッ!と挟んで受け止める。


「毛玉かよ、ビビらせんな!」

「う”ぅぅ!! 我の可愛い顔を!」

リリーは頬を膨らませ、床へ降りた。


「2人とも、よう生きて帰って来た!」

「ああ。ただいま」

―やっぱ家は落ち着くな―


そしてキッチンの扉が開いた。


「クレール、ラークおかえり!」

サーシャの姿を見て、思わずクレールの顔が緩む。


「…お…おぉ。」

「大変だったよね…座って座って!」

―帰って来たんだな―

クレールが、そう思った瞬間。旅の疲れが一気に消えた気がした。


「おめでとう。クレール。」

食卓のテーブルには、鳥の丸焼きやケーキ。沢山のご馳走が並んでいる。

「いただきまーす!」

「うめぇ!!」

「沢山食べてね!」


「サーシャさんの料理はいつも美味しいですね」

「主!美味いぞ!」

皆で食べる久しぶりのご飯。この感じ、懐かしい。


食事が終わる間際、ケーキや果物を使ったデザートを出す。


「手作りだから、綺麗じゃないんだけど…。」

チョコレートで形を作ったクレールとリリー。


「これもお前が作ったのか?すげーじゃん!」

頬にクリームを付けながら、食べてるクレール。


「これ、私からのプレゼント。気に入ってくれたらいいんだけど…」

綺麗な包を開けると、紫色の石がはめ込まれているイヤーカフが入っていた。


「おお!かっけぇな!ありがとう」

目がキラキラしている。

「装着したら、周りからは見えないわ。防御と治癒を少し付与してみたの」

クレールがイヤーカフを付けたその時。


「私達からも贈り物よ」

上から声が聞こえてきた。


「久しぶりね、お嬢ちゃん。」

「お久しぶりです!遅くなってすみません。」

闇の女神と緑の女神が部屋に現れた。


「だ、誰だ!お前ら!!」

クレールは短剣を構え、サーシャの前に出る。

「女神様~!」

リリーは闇の女神へ駆け寄る。

「あらあら、血の気が多い坊やね。リリー、素敵な名前をもらって良かったわね」

闇の女神はリリーを抱え、撫でながら少年を見つめる。


「おい!弟子!その物騒な物を、今すぐ下げろ!!」

リリーはプンスカ怒り毛が逆立っている。


「私達は、怪しい者ではありませんよぉ」

緑の女神は頬を膨らませている。


「この二人は闇と緑の女神様なの。私を助けてくれた人達よ」

私はクレールの肩をポンと軽く叩く。

「味方…?なのか」

短剣を下すクレール。

「お嬢ちゃんがね、あなたを一生守るっていうから~。坊やに祝福をあげに来たのよ」


― え?一生は言っていませんよ!女神様! ―


「はい!私からは治癒力を」

「私からは、機能増強を」

キラキラと紫と緑の魔力が重なり、一つの光がクレールを包む


「……。あったけぇ」


「あとそこのあなた、死ぬときに居場所が分かる魔術かけられてたから……。

封印しといたわよ。」


闇の女神はラークを見つめる。

「……やはり何かかけられてたか……。ありがとうございます」

「私も、古傷で動きにくい箇所を修復しときました!」

緑の女神は手を腰に当て得意げに話す。


「お前…怪我で動きにくかったのか?」

クレールは驚いていた。

「はい……」


「お嬢ちゃん、私達は帰るけど上から見てるから頑張りなさいよ」

女神はサーシャの頭を優しく撫でて、微笑む。


「あと2ヵ所みんなで頑張りましょう!」

「あら、このカップケーキ美味しそうね。貰っていくわ」

そういい終わると闇と緑の女神はスゥーっと部屋から消えた。


「…。おい、あと2ヵ所ってなんだよ。」

クレールは私を睨みつけた。


「えーっと……」

―そうだった…。私は誰にも言ってなかった―


「言いたくなったら教えてくれ……」

「うん…。いつか、話せるときが来たらね…」

私は気まずさから目を逸らしてしまう。


「前に、姿をずっと変えられる方法の話を覚えている?」

「あぁ、覚えてる」

「改めて聞くけど、どうしたい?」

「変えてくれ。この姿に未練はない」

「…分かったわ。そしたら準備してくるから、なりたい姿をイメージして待っててね」

私は、キッチンへ行きアイテムBOXからあまゆいを取り出した。


―クレールは王子なのに、一生姿を固定してしまうのは大丈夫なのだろうか?―


自分が正しいことをしているのか…とても不安になってくる。

すると、ラークが私の側にやって来て小さく話しかけてきた。

「……。悩んでいらっしゃいますね……?」

「うん……」


「難しい問題に私が口を出すというのはおこがましいのですが……

クレール様が望んでいますし…。

必要になった時は模様が出ますので、大丈夫かと思いますよ…。」


さすが、鋭い。私が考えていた事を見抜いていたのか……。


「うん…。そうだよね…。ありがとう。」


私はラークと共に、部屋に戻った。


「クレール。いくよ……」


―警告!この魔法は二度と解除できません。実行しますか?―

システムの警告文を見て、少し決意が揺らぐ。


「頼む。」

クレールの声で、はっとした私は実行を選択した。

光に包まれ、彼の愛らしい柔らかい黒髪も、太陽のように綺麗な瞳も

少しずつ変わっていく。


―あぁ…私が知っている少年が消えていく……―

初めて会ったあの日の夜。

夢にうなされ、苦しそうに怯えて震えた手を握った夜。

名前を付けて嬉しさを照れ隠しした日。

料理を作ってくれた日。


路地裏で息絶えようとしていた小さな子供が

だんだん笑顔になっていった……。色んなクレールの思い出が駆け巡る。


光に包まれたクレールは笑顔になっていくのに、私は正反対の曇った表情になっていった。

目の前にいる少年は、完全に別人と化していた。


「鏡見てくる!」

「うん」

どうしてだろう、本当なら一緒に喜ぶべきなのに……。心から喜べない自分が居る。

次に、ラークも姿を変えた。


「ありがとうございます。なんだか、若返ったようです。」


30代くらいだったのが、20代の見た目になった。

これで、クレールの国に居る人達からも分からないだろう。

―本当にこれで良かったんだよね?―


「弟子よ!色男になったな!」

「まぁな!」

「はい、これ2人。」


手渡したのは、2枚の身分証明書

「…これ」

「今後必要になるから、前から用意していたの」


「お前……」


クレールは身分証明書を震えた手で受け取ったのを見て、一瞬不安になってしまった。


―あれ……?喜んでる感じじゃない……?―


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ