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元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば


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EP.51 雪が降る前の静かな宿


「はい、銅貨3枚のお釣りだよ」

「ありがとうございます」

毎日同じものをクレールに食べさせる訳にはいかないと、

色んな店で買っていたラークはいつの間にか街の外れまで来ていた。


「少し遠くまで歩いてしまったようだな」

ふと、通りから懐かしい匂いがして足が自然と向かっていた。


「いらっしゃいませ!」

明るい声と共に現れあた女性を見て目を丸くするラーク。

気づいたら、この店に入っていた。


「お客さん見かけない顔だね?田舎料理のお弁当だけど味は保証するよ!」


カウンターのメニュー表を見た。

どれも知っている。いや、全部食べたことがある料理名が並んでいた。


「この肉野菜の弁当と、鶏とコーンの弁当を1つずつ頼む」

「鶏はかなり辛いけど大丈夫?」

「ああ。大丈夫だ」

「少々お待ちくださいね!」

女性はカウンター奥へ消えていった。


「なんで……」

ラークは動揺しているのを隠すように店内を少し歩き回った。

ドライフラワーが飾らていてる木の家具。

そこに彫られている、ラークの故郷にしかない花模様。


「お待たせしました」

女性ではなく、男性がお弁当を持って出てきた。

「こちらでお間違いないでしょうか?」

「はい。」

その言葉を聞くと、男は蓋をして麻の紐で結んだ。


会計を済ませたとき、奥から女性が出てきた。


「あの、これ良かったら」

紙袋を渡してきた。

「作り過ぎちゃって。小腹が空いたときに食べてください」

「ありがとう。また来ます」


頭を下げ、店を後にした。

「まさか、この町で会えるとはな」

ラークは紙袋に入っていたクッキーを一口食べる。


「……あの頃と変わらない味だ」


それからもラークは、ぼーっとしながら屋台でいくつか食べ物を買って

宿に向かって歩き出した。

森から一番近い街。 一番大きい宿に二人は宿泊していた。

小さい宿よりも人が多い方が逆に安全だったりする。


「あの、宿でも食事はでるのですが……」

宿の店員が話しかけてきた。

「はい、ですが連れが偏食気味なもので……すみません」

「そうだったのですね。分かりました。何かありましたらお声かけ下さい。」


階段を上がり、扉を開く。


「戻りました。」

「ああ。」

簡易的なシンプルベッドが二つと窓の近くには机。一応風呂はついている。


「また沢山買ってきたな」

「はい、美味しそうだったので」

「さ!食事にしましょう」

ラークはテキパキと買ってきた食べ物を机に並べていく。


暫くして。

「お前…。菓子ばかり食ってないで、この肉も食え」

クレールはフォークで肉を差し出す。

「ふぁい……」

ラークは甘党だった。クリームたっぷりのパンや、

甘い果実が入った菓子を両手に幸せそうだったが。


しょんぼりしながら肉に手を伸ばす。


―この強靭な体は甘い物でできてたのか?―


俺達は宿で一切食事を取らず、ラークが買ってきた物を部屋で食べていた。


「悪いな。いつも買い出しに行ってくれて」

「いいえ!討伐でお疲れなのですから、これくらいさせてください。」


ラークは食事が終わると、俺の傷に薬を塗る。


「っく…。」

「申し訳ございません…。」

「いや、大丈夫だ。」


翌日もラークは、変化の飴を舐めてから早朝に宿を出て行った。


「あいつ…。まさか甘味処巡りしてるとか?」

窓からラークを見下ろす。

「あぁ……だりぃ」


魔力を多く使ったからなのか、体が鈍りのように重たい。

俺はラークが帰ってくるまで2度寝をする毎日だった。


「…なぁ、ラーク。朝から夜まで何処行ってるんだ?」

夕飯の時、クレールは切り出した。

「……妹の所へ行っていました」

「え?」

「飯を調達してる時、入った弁当屋で妹が働いてたんです。」

「妹さん、元気そうだったか?」

「はい。」

ラークは少しだけ目を細めた。


「小さい頃は、よく食べ物の取り合いとか些細なことで喧嘩してました」

「へぇ」

「おっちょこちょいの泣き虫で…。いつも騒がしい妹で…可愛いんですよ。」

そこまで話した所で、ラークは静かに口を閉じた。


「……今は、もう立派な大人になって…幸せそうに笑っていました」

ラークの声が、徐々に震えている。


「…正体を明かさないのか?」

「今後、追手が妹へ訪ねたら危険ですので。」

ラークは目を落とした。


「見れただけで、幸せなのです」

優しく微笑む姿は、兄の表情だった。

「……そうか」

クレールはそれ以上話すのをやめた。

見守るしか出来ない事が、どれほど苦しいのか伝わってきたからだ。

その日の夜は、部屋の隅からすすり泣く声が聞こえた。


翌朝。

「こっこれをどこで?!」

俺とラークは魔石鑑定と売買が出来る所に来ていた。


「旅の途中で、討伐した時のものです」

ラークが殆ど説明と交渉をしてくれている。

―この町の近くでと言ったら、大混乱になるだろう―


「この大きさは私の店で換金は無理です……」

「そうですか」

「大通りのフォンス商会なら、大丈夫かもしれません」

店主は紙に地図を書き、ラークに渡す。


「でけぇな」

「はい。かなり」

二人はフォンス商会前に着いた。白い壁に黄色い装飾がされている。


「こちらを換金したいのですが」

ラークが魔石だすと別室に通された。

「こちらの金額でいかがでしょうか?」

金貨が50枚程、目の前に積まれている。


「……少ないですね。残念です、別の所へ行きます」

ラークは立ち上がった。俺は意味が分からなくて混乱している。

「さ、行きましょう」

俺も立ち上がろうとしたその時、奥から長身の男がやって来た。


「うちの者が申し訳ありません」

男はトレーの金貨を見つめた


「5倍だ。」

「はい?5倍は厳しいのでは」

担当していた者が小声で伝えている。


「お前の鑑定眼は節穴か?すぐ持ってこい」

男はそういうとこちらに体を向き直した。

「5倍ならいかがでしょうか?」

「いいでしょう。それでお願いします」


結局、金貨300枚になった。

「なぁ、そんなにあの魔石は貴重だったのか?」

「どうでしょうね?分かりません」

キョトンとした表情のラークを見て余計に分からなくなった。


「一度、かっこよく言ってみたかったんです」

「え?お前あの価値を知ってたんじゃないのか?」

「はい。沢山増えてよかったですね」

「なんだよそれ」

俺はラークの脇腹を小突いた。


「明日、帰るか?」

「はい。その前に、あのパンケーキ屋さんに入ってもいいですか?」

「お前……分かったよ。付き合う」


俺とラークはパンケーキを一緒に食べて宿に帰っていった。


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