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元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば
第一章

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EP5. カレー最高!異世界で日本食を!


「のどかだな~」

目的地へ向かって歩いていると、レンガ調の街並みが目の前に広がって来ていた。


楽器を使い弾き語りをしている人、笑いながら走り回る子供達。

買い物かごを持ちながら、談笑している女性たち。


美味しそうな照り焼きのタレのような香りがして、

足を止めると何軒か屋台が並んでいる。


「あら!屋台もあるのね。また後日来た時に買ってみようかな」


「いらっしゃい! この時間から、串焼きをもう一本おまけするよ~」

「果実の冷たい飲み物はいかがですか~? 」


屋台から活気ある呼び込みが聞こえてくる。


―まるで商店街みたいね。懐かしいな― 

再び歩き始めると、すぐ先に古い木の看板が見えた。


「あ!見つけた! 」

目的地の看板を見つけた私は、店のドアノブに手をかけた。


カランカランッ

鈴の音が響き、扉を開けた店内には沢山のお客で溢れていた。


「いらっしゃい!お好きな席へどうぞ!」

明るい声で愛想がいい女性が、カウンターから出てきた。


私は、見渡した後で一番後ろの隅っこの席へ座った。

―やっぱり、隅っこが一番落ち着くんだよね―


「見ない顔だね? この町に来て日は浅いのかい? 」


メニューを差し出しながら、店員が話しかけてきた。


「最近この町に来たんです。お店のおススメメニューは何ですか?」


「ここは、この国の食べ物は殆どなくてね。珍しい異国のメニューが多いの。

そうだねぇ、生姜焼き定食とかカレーライスかね~」


「え?!カレーライス!? お米あるんですか!?」

「ああ、あるよ。うちの旦那がね、異国の食べ物を仕入れてるから。

あ、これも人気メニューだよ」


「じゃあ、カレーライスと生姜焼き定食ください!大盛で!!」

「量があるけど大丈夫かい?まぁ持ち帰り用に包めるから、

食べ残したら言うんだよ?」


―ここにしてラッキーだった!さすが私の直感は冴えてる―


私は、ここの世界に来て初めての日本食にワクワクしながら

タブレットでメニュー表の写真を撮った。

そう、家に帰った後でじっくり見返すためだ。


メニューの一部には、Oムライス・SOBA・Uどん・R-メン

飲み物にRッシー、レモンSワー。


―店主は、もしかしたら転生者なのかな……?―


目線をカウンターへ動かすと、男性がフライパンで調理している

50代くらいだろうか?少し白髪交じりだが黒髪でガタイの良い男性。


「おまちどうさん! カレーライスと生姜焼き定食。大盛だよ」

「ありがとうございます!わぁ~おいしそう。いただきまーす!」


私は手を合わせてから食べ始めた。


―美味しい……完全に日本の味だ!―


大人に変身したからなのか、ペロリとカレーライス食べ終わってしまった。

生姜焼き定食もあと半分で食べ終わりそうな時、またメニュー表に目を通した。


「すみませーん!唐揚げポテトセットとレモンSワーください!」


「姉ちゃん。美味しそうに沢山たべるね」

知らないギルド帰りだと思われる、おっちゃん達に話しかけられた。


「ここのお店は美味しいですよねー!ついつい色んなもの注文しちゃった」

「だろ? ここの味噌スープもうまいから、今度飲んでみな!」


「味噌汁!? ありがとー!飲んでみるー!」



暫くすると、唐揚げとポテトが机に並んだ。

レモンサワーの冷たいグラスの中は、パチパチッと音を立てている。

ゴクッゴクッゴク……


「ップハーッ! これよ! この爽やかな喉越し! 」

レモンの残り香りと、久しぶりの炭酸に笑顔になる。


「そして……この唐揚げとポテト! 輝いて見えるわ」

衣がサクッと揚がっているのが見ても分かる。

唐揚げをフォークで刺し、そのままかぶりつくと歯切れのよい音が静かに響いた。


――カリッ!

ゴクッゴクッ

―あー幸せだ~! 何杯でも飲めちゃうよ―


美味しさを嚙みしめるように、私は何回か頷く。


―♪

【ポイントを獲得しました】

その通知音は、夢中で食べていた私には届かなかった。


そのままお酒を飲んでいると

奥から先程まで調理していた男性がこちらへやってきた。


「美味しそうに食べてくれてありがとう。

さっき手を合わせてたけど、もしかしてあんた……」


「日本って所から来ました」

「やはり、あんた元日本人か。さっき手を合わせたの見て驚いたよ。

この国に来て、初めて見た光景だったからさ」


そういいながら、おじさんの目がうるうるし始めた。


「俺は、リモ。元の名前は田島 はじめ、関東でレストランをやってたんだ。

あんたと話がしたいんだが、この後時間はあるか?」


―今は夕方くらいか、影武者置いてきたし 大丈夫かな ―


「分かった。私は元の名前は記憶がなくてわからない。

この世界ではサーシャと呼んでおくれ」


「もうすぐ息子が帰ってくるから、別室で話しが出来ればありがたい」


「了解! あ、追加で餃子一皿お願いします! 」


「ふははは!沢山食べてくれ! あと今日のお代はいらないよ」

田島さんはウィンクをして、カウンターへ戻っていった。


暫く店内で待っていると……。


「じゃ、父さんの代わり頼んだぞ」

「はーい」

厨房から聞こえてきた声からすると、どうやら息子さんが帰って来たみたいだ。

田島さんと目が合うと、私の席にやってきた。


「こちらへどうぞ、妻も一緒に話すから安心してほしい」


―気を使ってくれたのかな?―


部屋に通され、静かに椅子へと腰をかけた。

窓際付近の家具には家族写真が飾られている。


「さっきも言ったけど、元日本人に会ったのが初めてでね。

俺は20代の時にこの世界へ転生したんだ。最近、転生してきたのか?」


「はい、そうです。1週間も経っていません」


「もし、働き口に困っているならここで働かないか?

狭いけど、部屋はあるし給与は多くはないが

家賃なしで人並の給与は支払える」


店主の横に座っていた奥さんは、穏やかな笑顔で頷いていた。


―なんて優しい人なんだ―

平民に転生した店主は、私よりも沢山大変な事があったのだろう。


「ありがとうございます。でも、大丈夫です。」

「そうか。サーシャが今、普通に生活が出来ていならいいんだ。安心したよ」


「可能なら、月に何日か働かせてもらえませんか?給与は要りません」

「好きな時に来てくれてかまわない。

賄いは好きなものを、いくらでも食べていいぞ! 」


「本当ですか!ありがとうございます!」


それから、リモさんと私は店に来る曜日を決めた。

私は月数回、ここで働く事になった。


「魔法が使えるので皿洗い。空間をきれいにすることは出来ます!

ではよろしくお願いします!」


私は、笑顔で頭を下げた。


―これで日本食を沢山食べれる! ―


「では、今日の支払いはこちらで」

小袋をカウンターに置いた。


「いいって!今日は! 」

「やっぱりちゃんと、お客として支払いたいんで」

「律儀だな~、わかったよ。受け取るよ。ありがとうな!」

「私がドアを閉めたら開けてくださいね? 」


店から出た私は、自分のお腹をさする。


「あー美味しかった!」


最初に転移した位置へ、走り出そうとした時

田島さんの声が後ろからし聞こえた。


「サーシャ!! 多すぎるってええ!!」


振り返らず、手をひらひらさせてから私は走りだした。

金貨を5枚置いてきたが、『多すぎ』と言われるほどなのか分からなかった。

―金貨しかなかったからね……後で、お金の価値を調べておかないと―


平民の一般家庭が3年暮らせる量だったのを知ったのは、しばらく先のお話。


そして、この時の私はこれから起こる事を想像していなかった。

これから見守る事になる、きっかけが迫っていることを……。




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