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元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば
第一章

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EP4. 壁の次は先生を飛ばしました


―うわぁ……。盛大に、やってしまった……。―


私は、自分の手と、壁が綺麗に無くなった場所を交互に見ていた。

手には、まだ微かにキラキラと光の粒が残っている。

先生へ視線を向けると、まっすぐ空を見つめていた。


「……先生、すみません。部屋を壊してしまって……」

「皇女様。こっ、これはどういうことですか!?いつから」


先生に両肩をつかまれ、私は大きく揺さぶられていた。

―私もその理由がしりたいよ―


先生は興奮した様子で、怒涛のマシンガントークをし始めた。


バン!!

勢いよく、ドアが開かれた音の方へ視線を向けると、一人の騎士が入ってきた。


「皇女様!!いかがなさいましたか?! 」

騎士は壁が無くなった空間を見て、その場で動きを止める。

「こ、これは一体、何が……? 」


先生は私の両肩に置いた手を、今度は騎士の両手に変えた。

「聞いてください!!皇女様のお力で、この壁を吹っ飛ばしたんです!!」

「こ、これを皇女様が……」

騎士は目を大きく見開き、私の方へ視線を向けた。

「これは素晴らしい!今まで、殆どできていなかったのに!」

先生のマシンガントークは、誰にも止められそうもない。


「それに、魔力の質も変わっています!

ここ最近で何か変わった事はありますでしょうか?!

気になって気になって……!」


―ええ。身に覚えが沢山……―


「とりあえず、このことは上へ説明しに行ってきます」

ゆっくりと手を振りほどいた騎士は、部屋から逃げるように駆け足で出て行った。


「さあ!皇女様! もう一回やってみま……!」

「いや、先生無理ですよ 」

振り返って前のめりになっている先生に、私は首を横に大きく振る。

―また違う壁を破壊したくない―


「もう一回見たかった……うぅ……」

「でも、おかしいな……。放った光は白に近かった。

光属性が使えないのに、いきなり出来るのは何故なんだ……」

先生がブツブツ何やら言っている。


―勘のいい先生は嫌いだよ……?―

私は話を切り替えようと口を開く。


「先生。とりあえず放つことは出来たみたいですね。

どうしましょうか?授業の続き――」


このボロボロになってしまった部屋では続行する訳にもいかない。

私達は、場所を野外へ移動した。

ブォンッ

大きな魔法陣を発動しながら広範囲の結界をかけていく先生。


「結界を張り終わりました!

さぁ!思う存分、次のステップへ行きましょう!

水を想像しながら小さい粒をだせますか?」


「やってみます」

―雫っぽいの想像すればいいかな?―

そっと瞼を閉じ、集中するように深く息を吸った。


シュゥウウーーー


青白い光が私の体を包み始めると、手を前にかざす。

空気中の水が、すごい勢いで手の前に集まっていく。


―こわい……さっきみたいになったら、どうしよう―

不安を反映するかのように、青色の光が急に弱まった。


「皇女様。上手く止めれないときは、一歩前へ出るように手を押し出して下さい」


―それ初めから知りたかったやつだよー!! ―

私は、心の中で叫びながらグッと手を前に押し出した。


シュッ…… 


パーンッ


「うわぁあああ!!」

「先生!!」

キートン先生は数m先の木へ飛ばされた。

木々が揺れ、葉がひらひらりと落ちていく。

慌てて私は倒れた先生の元へと走った。


「早すぎて、結界を張れなかった。またお師匠様に怒られちゃう……」

ずぶ濡れの先生は、小さく呟きながらぐったりしていた。


「申し訳ありません……お怪我は」


私が話しかけると、我に返った先生はすぐ起き上がった。

「大丈夫です! 野外にして良かったです!楽しい!」

さっきまでぐったりしていたのに、今はもうその場で飛び跳ねている。


―あんなに飛ばされたのに、先生ったら子供みたいだな―

私は苦笑いをした。


「では次に火に行きましょう。

手のひらではなく、指一本だけ使いましょうか。

くぅ……ここが森だったらよかったのに」


―森だったら、指一本じゃないってことね―


「あ、少々お待ちください。準備を――」


笑顔で先生は結界魔法を自身に重ねた。


「はい!これでいつでも大丈夫です!」

両手を広げ、目を輝かせている。


―よし、今度こそ小さく―


シーン――


「あれ……?」

「もう一度、やってみましょう」


―何で? 私は、全属性が出来るんじゃなかったの? ―

それから何度も先生の前で試したが、炎は出なかった。


「……ドカーンッがない――」

私よりも、キートン先生の方が肩を落としていた。


「コホンッ。皇女様は水魔法と相性がいいのかもしれませんね。

炎は少しずつ練習していきましょう。


「はい。頑張ります」

「次回の授業を楽しみにしていますよ!」

先生の背中を見送った後、私も自室へ足を向けた。


長く広がる廊下に、靴の音が小さく響く。


「部屋の壁を壊したの、パパに怒られちゃうよね」

私は魔法が使えなかったことよりも、あの壁を壊したことに落ち込んでいた。


「あーどうしよう……」

本をギュっと抱きしめながら、怯えているとお腹が鳴った。


グゥゥウ~~

「落ち込んでても、お腹は空いちゃうよね」

苦笑いをしてお腹をさする。


―そういえば、食事で身体強化や魔力回復があるんだよね? ―

「食べた分、回復する仕様だったっけ……」

タブレットのステータス画面を思い出す。


自分の部屋に戻った私は、タブレットを見つめていた。


「はぁ。米と味噌汁が恋しい……」

城にはもちろん日本食は一切出てこない。


―町の食堂に行けば、米が無くても違う料理が食べれるかも!―


そんな事を思いつきながら、画面をスクロールする手が早くなった。。


(創造スキル:Lv制限解除条件 スキル総合50以上)

―あったわ! さっき気になったスキル! ―


「スキルポイント貯めて、解放を色々して行かないと……」

視線を画面右下に落とすと、現在のポイント数は『80PT』

先程の授業の時にポイントが入ったのだろう。


「ふっ、ふふ……。足りているじゃないの」

ニヤリと笑みを浮かべ、タブレット画面を閉じる。


メイドを部屋に呼び、夕飯は要らないから誰にも部屋に入るなと伝えると


「はい、仰せのままに。陛下が来られましたらどうされますか?」

―確かにそれはありそう―

弱愛しているパパなら部屋に鍵をかけても、

ぶち破りそうだと思った私は

メイドを待たせ、急いで筆をとった。


『魔力を使いすぎて疲れたので眠ります。心配せず、

部屋には入らないでください』

メイドへ渡すと、私は部屋の扉に鍵をかけた。


「よぉーし!いっちょやりますかー! 」

タブレットを開き、早速スキル解放ボタンを押した。


【創造スキル解放―完了―】


「……これ、説明ないけど想像すればいいのかな?」

よく分からないまま、そっと目を閉じた。


―自分と全く同じの女の子を一人―


体から手へと魔力が流れていく、

気配がして、そっと目を開けると……。

自分と全く同じ少女が目の前に現れた。


「えーっと、初めまして」

「やほー、こんにちは~」

いくつか少女と話をやりとりした後、気だるそうに言われる。


「私が影武者?なんかカッコイイじゃん。

で、何すんの? 面倒くさいのは嫌なんだけどお」

髪を指で遊びながら、口調も少しギャルっぽい。


「いや、面倒なことは何もないよ。ただ寝てればいいだけ」

「マジ?ならいいよ! おやすみー!」


「マジって言えるんだ……それにしても、あっさりしすぎじゃない? 」

私は、もう寝息をたてている影武者を見つめながら首を傾げていた。


―これでアリバイは完了だから……。まぁいいか―


今度は自分自身に魔法をかけてみた。

―城下町へ行くなら平民で―――


目を開くと、鏡には別人の大人の姿が写った。


「おぉ。いい感じ! 」


鏡の前には、ふわふわの赤茶の髪にふっくらしたほっぺ。

30代くらいの、たれ目で優しい印象の女性になっていた。


一気に2人分の魔法を使ったせいか、足元が少しふらつく。

「とりあえず、成功してよかったわ」


その時タブレットが光り、電話マークが点滅した。

「もしもし」

「こんにちはアイビーさん!ログインボーナスの件で……」

緑の女神からの着信だった。


「あ、それ今日やりました!これ毎日あるんですか?」

「いえ、それが……最初だけで、レベルがある一定以上に上がると

不定期になります……」


申し訳なさそうな声で言う緑の女神。

―いつか毎日もらえなくなるのか……。―

少し残念に思いながらも、私は転移の質問を聞き、通話終了した。


地図を開き、城下町の食堂を探す。


「田島食堂って日本人っぽいよね? ここにしよう」

転移ボタンを押すと、画面から光が溢れ始めた。


「すごい。転移初めて!」

光に包まれた私は、部屋から静かに消えた。



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