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元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば


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EP.48  嫉妬

父が満面の笑みで宣言する。

「公爵家嫡男、ルイス。前へ!」

金髪の美少年が進み出る。


「皇女殿下、お会いできて光栄です」

ふわっと微笑む。バラが舞うような顔している…。

数年後にはきっともっとイケメンになるだろう…。

「ごきげんよう……」


私、笑顔引きつってないかしら?


「ねぇルーカス」

「はい」

私は耳打ちをした。 

「…話を聞いてなかったんだけど…。いつから決まっていたの?」

「1週間前からです。陛下直々に出向いて選びました。」

「え?」

「実際に会って、肝が据わっている者を選んだそうです…。」

「パパ……」


横を見ればパパが婚約者を見て、満足そうにうなずいている。


―他の人達、うちのパパがごめんなさいね。怖かったわよね―

私は天を仰ぎ、心の中で謝罪した。


「執務に支障はないの?」

「いえ…刺客の報告書を積んだまま」

「…。へぇ…。」


「アイビーどうした?少し別室で話してきなさい。」

パパの笑顔に私は苦笑いしながら従う。


会場の階段にドレスが引っ掛かった。

「わあぁ!」

「大丈夫ですか?」

すぐさま、皇女を支えるルイス。

それを見た周囲は、この二人が可愛らしくもお似合いだという空気に包まれた。

一部を除いては……。


「あいつ……!いつまでくっついてんだよ?!」

低く小さい声で吠え、握った拳に爪が食い込む。


「……落ち着け弟子よ」

2人が会場を出るまで、男を睨め付けながらクレールは目で追った。


どんどん婚約者が話しかけてくる。

「好きな本はありますか?」「好きな授業はありますか?」

「将来の夢は?」「甘い物は?」

質問責めに、疲れてきた…。


私は営業スマイルで答える。

「本は好きです」「魔術です。」

「夢は民と共に平穏に暮らしたい。」「甘い物は好きです」


―私が7歳の頃って、こんなしっかりしてなかったな―


別室の窓から一番近い木から2人を見ているリリーとクレール。


クレールの機嫌はどんどん悪化していったが、リリーは面白がっていた。

窓を通して見える2人は仲睦まじいように見える。

「……なんであいつ、あんな楽しそうに笑ってんだよ」

リリーがニヤつく。

「主は誰にでも優しいからのう」

「……」

「家柄も顔も良い。お前とは正反対だな~」

「仮面付けたみたいにヘラヘラ笑ってる…ナヨナヨ男と俺は違うんだ!」


「心配するな。今のおぬしは一番下じゃ」

「あ”?!風呂に沈めるぞ!」

毛が逆立つリリー。風呂のワードはもうトラウマらしい。


やがて会場に戻った後は宴も落ち着き、音楽の流れが変わり始めた。

父が私の元へ来る。

「どうだ!素晴らしい婚約者だろう!」

「パパ?」

「なんだ?」

「私、婚約者の事なにも聞いてないんだけど?」

「そうだな!」

「…話してほしかったな。」

父は数秒固まり、天を仰いだ。

「…あ…すまん……」

周囲の貴族が一斉に目を逸らした。


その夜。

客人が少しずつ帰り、城が静けさを取り戻す頃。

私は中庭で夜風に当たっていた。

「疲れた……」 

お行儀悪いけど、靴を脱いで噴水の所に腰かける。


「主!主!」 

リリーの声が聞こえて前を向くと

「よぉ。皇女様」知らない男の子が立っていた。

「誰?」

「俺だよ、クレールだ。毛玉に変えてもらった」

足元にリリーも居たし、声もクレールだった。


「久しぶり!」

「あぁ。久し振りだな。」

「これ、渡しに来た。」

リリーは何かを察したのか闇に消えてしまった。


差し出された切り傷がある少年の手のひらには

細かい細工をした木堀の花のペンダントトップに皮紐が通されていた。


「誕生日おめでとう」

「ありがとう!作ってくれたの?嬉しい」

私は月に掲げながら見る。形は少し個性的だけど

丁寧に削られている。 温かい贈り物だった。


「他の奴らからのプレゼントよりも…価値はないけどよ…。」

「ううん!何言ってるの?一番のプレゼントだよ」

「今、これつけたいから 着けて?」

後ろを向いて髪を上げる

「…。」


無言の時間が不思議になり、振り返る。

「どうしたの?寒い?耳が赤いよ?」

両肩を掴まれて、クルッと前に向けられてしまった。

「いや…。てか、お前!細いんだからもっと食え!」

ネックレスを着けてもらった後、背中を叩かれる

木々が風に揺れている音に包まれる。


その時、毛玉が飛んできた。

「我の主にぃぃい!何をぉぉお!するーー!」 

近くの木から降りてきたリリーは飛び蹴りをしてきた。

「痛って!」

よろけるクレール。

「主、我が少し離れてたせいで…すまんな」

足元で丸まったリリー


「……お前さ」

「うん?」

「婚約者とか、決めんのか」

少し低い声だった。

「とりあえず、決めないとかないといけないからね」

「……だよな」

「あの、俺…!お前に…」

ドーーーーン!

夜空に大きな花が咲く

「え?何?」

「なんでもない!」


転生前の花火とはまた違う輝きだった。

―魔法で花火を打ってるのかな?―


クレールはサーシャの横顔をずっと見ていた。


花火が終わった直後 リリーが私の肩にのった

「おい!弟子よ!明日から旅に出ろ!」

「は?」

「え?」

クレールと私はキョトンとして固まる。


「修行の卒業試験だと思え!実践がまだ足りないのは分かっておるだろ?」

「…ああ。」

毛玉は真面目な目になる。

「弟子よ。お前の力は強いが…」

「……」

「だが、まだ切り替えが甘い。強くなりたいのだろ?」


クレールはしばらく黙り、やがて舌打ちした。

「……チッ」

「クレール?」

私が言うと、彼は視線を逸らした。

「すぐ戻る。待ってろ」

「うん、待ってる」


翌朝。

いつもの森の家を背に、クレールとラークが居た。

「ほれ!これも持っていけ!我が主からだ!」

渡されたのは折り畳みのテントだった。


「何かあれば、通信用の指輪でな!」

「ああ。分かってる。」

「帰りたくなったらいつでも迎えに行くからな!」

目を細め、リリーはニヤニヤしていた。


「あ”?!迎えなんていらねぇ! 今のままじゃ…あいつらと並べねぇから」

握る指が白くなるほどリュックの紐を強く握りしめた。


「ぶっ潰して帰ってくるから、待ってろ!」

リリーはその言葉を聞いて満足気だった。

「うむ!行ってこい!」


朝日に背中が照らされながら、2人は結界から出て行った。


城では、ルーカスがやって来た。

「皇女様」

「なに?」

「本日より、婚約候補が数日滞在されます。」

「……え?」

「交流希望とのことです。」

「……」

私は天井を見上げる。

旅立つ少年。残された婚約候補。張り切る父。

平穏とは何だったのか……




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