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元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば


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EP.47 七歳の誕生日

季節は秋になった。

城の木々は茜色に染められ、少し冷たい風が吹く。


食堂へ息抜きという名の仕事。デイジーとお茶会や買い物。

授業をこなしていく毎日。


パパは通常業務に戻ったが、相変わらず夕飯か朝食どちらかは一緒に食事を取ってくれる。


「主!帰ったぞ!」

しっぽをフリフリしながら飛びついてくるリリー。

「おかえり~」

ゴロゴロ鳴いているリリーをゆっくり撫でる。


「また弟子が剣をボロボロにしたから、補充頼む!」

「分かった!」 

私は、食品を注文する時に剣も発注した。

剣の補充が段々早くなっていっている気がする。


「どう?クレールとラークは」

「元気にしとるぞ! …未熟なのは変わらずだがな!」

毎週リリーがクレール達の様子を話してくれるのが楽しみだった。


朝から城が騒がしかった。

廊下を侍女達が走り、料理人が怒鳴り、庭師が花を抱えて駆け回る。

普段は落ち着いた王城が、今日はまるで祭りのようだった。


理由は一つ。

今日は―皇女アイビー、七歳の誕生日である。


「その花は南ホールへ!」「ケーキはまだか!」

「陛下が飾りが足りないとお怒りです!増やさないと!!」

「おい!皿を割るな!何回目だ!!」

城中に怒号と走る音達が飛び交う。


私は窓からその様子を見ながら、ぽつりと呟いた。

「……七歳の誕生日って、ここまで大騒ぎするもの?」


足元で毛玉がふんぞり返る。

「普通はせぬ。だが主の父は普通ではない」

「だよね~……」


数時間前。

王は魔法を使える物を集め、真剣な眼差しで命じていた。


「知っての通り、本日は我が娘の誕生日だ! 

そこでだ、ぜひ魔法の花火をあげてもらいたい。」


「夜に数回程度なら大丈夫でございます。」

「ん?朝から夜までだぞ?」


「……はい?」

静まり返った広場の皆が、口を開け固まった。


「……。陛下?」

「なんだ?」

「恐れながら、朝昼は空が明るいので見えにくくなりますよ?」

「確かに……」


「陛下、盛大な花火は夜だけにしましょう。この者達は警備補助も行いますから」

なだめるようにルーカスが促す。


「分かった…。夜はよろしく頼んだぞ!」

しょんぼりした背中は心なしか小さく見えた。


この国は今日も平和だ。


皇女の部屋には新しいドレスが用意されていた。

淡い銀青色の生地に、パステルカラーの黄色いリボン。

裾には小さな宝石が散りばめられている。


「……生地が、やわらかい」

布や、細かい金色の刺繍に思わず触れてしまう。


「王命で数か月前から作成していたそうですよ」

「…皆あとでご褒美あげないとね……」

それから私は、メイド達に囲まれ、髪を整えられ、飾りを付けられる。


鏡に映った私は、少しだけ別人に見えた。

七歳の子供。中身は前世持ち。このギャップに未だ慣れない。


「とてもお似合いです」

「ありがとう」

そう答えながら、私は少しだけ緊張していた。


誕生日会に大勢の貴族達の前に出て、皇女として振る舞う。

お茶会の規模の数十倍もの数…。


そして何より…。今日は何かある。

父の様子が朝から妙に楽しそうだった。嫌な予感しかしない。


コンコンッ

「私だ。」

パパの声がドアの外から響いた。

私はすぐ、扉を開ける。

「パパ!!」

「アイビー、お誕生日おめでとう。」

私の目線に合わせしゃがみ込み、頭を優しく撫でてくれた。

「パパありがとう!」


「陛下、そろそろ会場へ…。」 

後ろにルーカスもいつの間にか居た。


「…緊張しているようだな?」

「大丈夫だ!私が隣に居る。」

「うん!」

手を優しく握りながら会場へ向かう。


「心無い言葉が聞こえてきたら、私かルーカスにすぐ言いなさい」

その笑顔が怖いよ?パパ…。

「う…うん。」


―これは絶対に言ってはいけないやつだ!―


大広間の扉が開かれた。

眩い光。音楽隊が奏でる音色に乗せて、豪華な雰囲気が会場を包む

シャンデリア。赤い絨毯。数えきれないほどの貴族達が会場に溢れていた。


「国王、皇女様のご入場です!」

私が父と共に姿を見せると、会場は一斉に頭を下げる。

階段を降りるとき、奥から視線を感じた。


―気のせいかな?―


その後、私とパパは玉座と隣に座る。その後、来賓の挨拶などが進められていた。 


「皇女殿下、お誕生日おめでとうございます!」

「ありがとうございます」

歴史や地理は授業で習っておいてよかった。

パパは、会場を見渡してから満足そうに微笑んでいた。


「アイビー、今日は好きなだけ食べろ!」

「まだ挨拶終わってないよ?」

「そうだったな!」


祝いの言葉が続き、贈り物が山のように積まれていく。

宝石箱。絵画。希少な魔道具。キラキラ輝く宝石やアクセサリー。

ぬいぐるみ。謎の巨大な魚の剥製。


「…すごい量ね…。」

後半になるにつれ、癖が強いものが多くなっていく。

私は笑顔を保ちながら受け取っていった。


すると、途中で父が突然立ち上がる。

とても嫌な予感がする。


「諸君!」

会場が静まる。

「今日は娘の七歳の誕生日!そして!婚約者候補を、この場で発表する!」


ざわっ――!


会場が揺れた。


「……え?」

私は、その言葉を聞いて固まった。口を半分開けたまま…。


その時、柱の陰では。

リリーに変身魔法をかけられたクレールがひっそり見ていた。

「今、なって言ったんだ……?」

クレールの顔が歪む。

「主も、そういう年頃なのじゃ。」



誕生日の前日。

リリーがいきなりやって来たかと思えば


「明日は主の誕生日だ!」

「聞いてねぇよ!早く言え!」

俺は剣の手入れをしていた時に突然言われた。


「なぁ…。一瞬だけでいいから、見たい。」

「ほぅ…?」

「何ニヤついてんだ!」

「いや?まぁ、短い時間なら問題なかろう」

ニヤニヤしながらしっぽをフリフリするリリー


翌日、クレールはグレーの正装に紙は暗いブラウン、目は黄緑色にしてもらい

会場へ紛れ込んでいた。


階段を下りてくる皇女に目が離せなかった。

「…綺麗だ……」

ポーッとしたまま、目で追う。

少しすると、周りの同年代だと思われる男達も同じ視線を送っているのに気づく。

心がモヤモヤした。


―なんか腹立つ―


この感情は今まで感じた事が無かった。

そして、国王の婚約者発表を聞いて更に苛々していく。


―ふざけんな!俺が一番サーシャを知っているのに―


「ぶっ!ぶははは!弟子よ、顔が死んでおる。殺気をなくせ!」


毛玉は俺の足元で腹を抱えて転がりながら笑っている。


「うるせぇ!」

「嫉妬とは見苦しいのう~」

「違ぇし!」


リリーは目を細め、俺の手元を見つめる。


「では何故、杯が少し握り潰れておる?」


クレールの手の中で銀杯が凹んでいた。

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