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元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば


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33/34

EP33. 正体のその先で

ゲホッゲホッ!


視界がまだ少しぼやけている。


「痛くない…。」

確認すると刺されたお腹は治っていた。

足元が重い。 

「クレール…側にいてくれたんだ。」


少年は泥だらけになって寝ている。

ベッドの横にある低めのテーブルには、薬草を煎じた後があった。


「あれ、私の手…。」

少年に手を伸ばそうとした自分の小さい手…。子供のような…。

!!  鏡を見なくては…!!


足元にある少年の手を、静かにどけようとすると

いきなり手をつかまれた。


「…!!」


「サーシャ…起きたか? 大丈夫か?!」


「大丈夫だよ。」


急いで鏡を見ようとベッドから降りようとするが、足にうまく力が入らずよろけてしまう。

「わぁっ 」

「おい!まだ危ねぇって!」クレールに抱えられた。


視界に自分の髪が入る。 銀髪で長い髪… 

それはもう私の本当の姿がバレたという事を示していた

   ―終わった。―


少年の目をまっすぐ見れない。


「…。ごめんね。正体を隠してて…。」


「…。」

「…。正直、ショックだった。だまされてたんだって。」


「…。ごめん…。」

「楽しかったか?貴族様のお遊びは。」


鋭い言葉が私の心に刺さった。


「…。」


「俺、魔法あんまし使えないから野草探してたんだ。」


「その時、お前が元の姿になるまで助けてくれた事

今までの事 頭の中駆け巡ってよ。何か事情があったんじゃないかって思って。」


「サーシャの事。治ってからでいいから聞かせてくれ。」


「ううん、今話すよ。 私はね、この国の第一皇女 アイビーというの。」

「…!!」


「魔力で姿を変えて城下町に降りて来た時、クレールと出会って…

元の姿や身分を知ったら対等に話せれないと思って…言うタイミングが…。」



「お前…皇女…だったのか…。 そしたら夜になんでここに来れるんだ?」


「それはね。 影武者が全部で2人いるの。一人は城で寝ているわ。

魔力が多いのと、色々なスキルを使って今まで私はここに来ていたのよ。」


「…。」 少年は固まったまま、静かに頷いている。


「正体を黙っていたことは謝るわ。本当にごめんなさい。」

「でも…私がクレールを想う気持ちは信じてほしい…。」声がどんどん震えてくる。


涙があふれてくるのを止められない。


「うあぁぁ!!もう! 泣くなよ!」少年がかなり慌てている。

「まだ、頭の中が混乱してるけど 事情は分かったから!泣くな!」


頭をポンポンしながら


「貴族の遊びとか嫌味言って…ごめんな‥。俺、言い過ぎた。」


「ううん、クレールは何も悪くないよ。」


「助けてくれてありがとうな。ゆっくり眠ってくれ。片付けてくる。」


少年は血の付いた布を集めてキッチンへ歩いていった。


私はベッドに横になる。

…!今何時?!


タブレットを確認すると、私は2日眠っていたようだ。

今回。防御結界を維持しながら戦っていたから消費が激しかったのだろう。

私のMPは2になっていた。 


影武者大丈夫かな…。


ゆっくり瞼が落ち、私は眠った。


朝の光を浴びて目が覚めた。

キッチンから鍋のコトコト煮込んでいる音が聞こえてくる。


「お、起きたか。」

「おはよう。」寝起きでふにゃふにゃな言葉になってしまう。


「…」プイッと横を向く少年。耳が少し赤い。


―あぁ。昨日もう正体分かったから…。怒ってるよねー

「あの…。ごめんねクレール…。その」


「昨日でその謝るのは終わりだ!もう謝るな、分かったか?」


ムスッとしたまま少年が水が入ったコップを置く。


「とりあえず口をすすげ。」 


「うん…。」


ベッドから降りようとした時、立ち眩みがしてふらっとしてしまい

また抱きかかえられてしまう。

「ごめん。ちょっとまだ…ふらついちゃって」

「歩けそうか?」


「うん」


支えられながらキッチンで口をゆすぎ、またベッドへ戻った。


コップの水を飲み、落ち着く。


少年は鍋から作った料理を持ってきてくれた。


スプーンを差し出す。


「自分で食べれるからいいよ…。」


「病人は黙って食え!」


うぐっ…。

スプーンを口に入れられる。


私は、少年が作ってくれたパン粥を食べさせてもらっている。


MPが底をついている状態の私は本来の姿のまま過ごしていた。


逆転している状態に慣れない。

「美味しい。ありがとうね」


「…! あぁ…。」


「俺、今日は狩りに行ってくる。お前は大人しく寝てろ!」

そう言い終わると、少年は家から出て行ってしまった。


少年は私の正体が分かった後も普段通りにしてくれているが

やはり、ぎこちなさを感じる。

だって目をあまり合わせてくれないから…。


「嫌われて当然よね…。ずっと騙してたんだもの。」布団を握りしめた両手が強くなる。


悲しい気持ちになりながらも、私は昨日の男の言葉が頭に過った。


―お前を狙っているやつは他にもいる―


「嫌われてもいいわ…。あの子をこれからも守る事には変わりないもの。」


「まずは、早く治さなくちゃ…。」



俺は森の狩場へ走っていた。

「調子狂うんだよ。クソが!!」走る速度を上げていく。

まともにあいつの目が見れなかったから、逃げるように出てきちまった。


「俺が出来る事といったら、狩りと少しの世話くらいだしな…。」


あの時、恐怖で動けなかった。母親を殺す時にはなかった感情だった。


―俺、もっと強くなりたい。大切な人を守れるくらいもっと…―


正直、サーシャが別人だったのは悲しかったし驚いた。

姿も、声も、好きだったあの手も小さくなって 


「あいつ俺と同じガキだったのかよ

なんだ、あの朝の可愛いおはようは。…!いや、可愛かねぇし!」


今まで大人だと思っていたのに、今の見慣れない姿にずっと動揺が隠し切れない。


狩りに集中できず的を外していく


「クソッ!! また外した! サーシャ治ったら覚えてろよ!!」


ガサッ!!


罠にかけた場所へ向かうと、鹿がもがいていた。

「良かった。罠を沢山作っといて。」 鹿を仕留め、近くの川辺まで担いでいく。


下処理をしてから家に持って帰る準備をしていた。


「あれ、この野草ここにも生えてるのか」

川辺の大きい石の下に隠れるように生えている水色の花。


この根っこと葉は、苦いが煎じれば気力回復や熱さましになる。

毒草の知識と、いざの時の為に薬になる野草の知識も取得していて良かった。

いくつか採って、家に向かった。


「そういえば、こんなに長い時間一緒にいるのは初めてだな…。」


いつも夜遅くの数時間だけだったからな。


「早く大人になりてぇ。守られるより、守ってやれる強い大人に…。」


家に近づいてくると、前にサーシャと一緒に食べた果物が落ちていた。


「お!これ美味かった実じゃん!やった!」

懐に入れてドアへ向かった。



「たでーま」


「…。」


―寝てるか。―


部屋を覗くと、ベッドの下に苦しそうにしているサーシャが居た。


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