EP22. 酒場で豪快すぎる父
ぐっぐぅぅうううう~
私のお腹の音が鳴る。
「もしかして夜ご飯食べてないまま…来ました?」
「はい…。私の影武者が今頃食べてるかと思います。」
「この街にも夜遅くまでやってる食堂がいくつかありますから行きますか?」
「ただ、私は報告しなければいけないので…ご一緒できないのですが…」
申し訳なさそうにモジモジする女神。女神もお腹空いてたのかな…?
「そうします!帰りは地図のワープポイントから帰れますし。」
「それではお気をつけて! 私はこれにて失礼します!」
「はい!また!」
スッと目の前から消え。私は地図から食堂を探して向かうことになった。
ー私の国の食堂数より少ないけど 違う料理食べてみたかったし嬉しいかも!―
私の国の建物とまた少し違う丸みを帯びた建物を見つけドアを開く、
カランカランッ
「いらっしゃいませー!お好きな席へどうぞ!」
ガヤガヤとしている店内。
私はいつもの癖で、入口付近の隅の席へ座る。
もう夜だから大半はお酒を飲み交わしている。
カウンター奥から店員さんがメニューを持ってきてくれた。
「ごめんなさいね。メニューの中の半分は品切れでね。ここから下は注文できるよ」
メニューを見ると、魚料理が多かった。魚介類は城であまり出ないから嬉しい!
「揚げ物のこれと、魚介トマトソース煮込みと、バケットと、・・・。」
お腹が空いていたのもあって、いつもと同じように沢山注文していく私
「あの…量が結構ありますが、大丈夫ですか?」不安そうな顔になっていく店員。
「大丈夫です!今日あまり食べれてなくてお腹ペコペコなんです~。」
「途中でお腹いっぱいになったら言ってくださいね!残りの注文キャンセルもできますので!」
「はい!後でまたデザート注文しようと思っています。」
「はい!では失礼します!」
沢山書き込んだ伝票を持って店員はカウンターへ戻っていった。
注文を待っている間、私はタブレットを確認する。
「皆無事でよかったああぁー!」
ふと、聞きなれた声がした気がした。気のせいか…。
討伐に参加した兵士とかなのかな? と思っていると
料理を持った店員がこちらにやって来た。
「お待たせしましたー!」
美味しそう…!!
一杯だけ頼んだお酒と一緒に食べていく。
「ん~~!最高!」目を閉じ うま味を噛みしめていた時
斜め前の席から
「飲み過ぎですよ! 」
「ん?なーに!祝い酒なんだからいいのだーーあぁぁ。ほれ!乾杯ーー!」
ー あ~あったな。何度でも乾杯するこの感じ ―
前の世界でも居酒屋でやってる人居たなぁ~
「へっ いや、ロッドさん!あと一杯飲んだら帰りましょう?」
「えーやだやだー!」
あー、連れの人可哀そう…。
「分かったよ。一杯な? すいませーーーん!注文いいですかー?」
大柄の男性が後ろの方に居た店員へ声を掛けるために後ろを向いた。
― パパ!! なんで?! ―
私は目を大きく見開き
咄嗟に、パパという言葉が出そうになるのを必死に飲み込んだ。
髪の色は変わっていたが 完全にパパじゃん!!
うおぉぉぉい!怪我してんのに酒飲むなてえ!!
店員に注文を言ってご機嫌のご様子。
元気そうだけど、酒飲んでる姿を見て少しムッとしてしまった。
城の皆も、私も心配してたのに…
突然、パパが立ち上がり
「皆の者ー!ここにいる全員の今日の酒代俺が払うぞー!」
「ありがとー!」「すげー!!」「あの人誰なんだ?」「本当なのか?!」
ざわざわしていく店内。
「魔物はいなくなった!これからは皆 楽しく生きてこうじゃないかー!」
「乾杯ーーーー!!」
「うぉぉぉぉ!!乾杯ーー!」
盛り上がる店内と注文を取りに店員が忙しそうに回っていた。
気持ちよくなっちゃったね…パパ
ルーカスを目の前に連れてきたいよ…。
大変そうだった分、私は目をつぶろう。
城に帰るまで数週間、お酒はほどほどにね…。
心の中でそう思いながら料理を食べ進めていた。
食事を終えた私は、足早にワープ場所へ向かおうとした。
後ろから声を掛けられる。
「そこのお姉さん!」
「…。」
ゆっくり振り向くとパパと連れの男(おそらく兵士)が居た。
心臓が止まるかと思った。
「忘れ物だよ!」ノートと小袋を差し出す。
「ありがとうございます。」
小銭袋と今後の事を書いたノートを差し出してきた。
「何やら異国の言語が書いてあったが、あんた別の国から来たのか?」
「旅をしていまして、最近この町に来たんです。」
「そうだったのか、タイミングがいい。前はこの辺り魔物が襲撃していたからな。
今はもういないから、安心して滞在するといい。」
「んー…?いや俺の勘違いか?」パパが私をまっすぐ見つめている。
「そなた、どこかで俺と会ったことはないか?」
ビクッ!! 心臓が跳ねる。
―!! あります!なんなら、パパの娘です!って言えないけどね ―
「いっいえっ!似た顔の人なんて、きっと沢山いますわ!!」
苦笑いをした私を見て、パパの近くに居た男が前へ出てきた。
「待ってください!大柄の男性からナンパされたと思って、怖がってるじゃないですか!」
―ナイス!勘違いフォローありがとう!―
「ああ、そんなつもりじゃ…気分を悪くしたら済まない。俺の勘違いだったようだ。」
そんなつもりはない!と言わんばかりの焦った声で言った。
「いえいえ!皆さんもお気をつけてお帰り下さい。」
もう一刻も早くここから立ち去りたい気持ちでいっぱいだった。
「あぁ。またどこかで!」
「だから、そういう所ですってば! うちの連れがすみませんでした!」
パパ。部下の人に言われちゃってるよ…。
互いに頭を下げ、それぞれ別の道へ歩き出した。
―姿を変えても、パパと直接話すとバレないと分かっていても緊張する。―
体がビクッてしたのを勘違いしてくれたから良かったけど。
心臓がずっとうるさいまま、全然収まらない。
走る速度を上げていった。




