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元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば
第一章

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20/61

EP20. ドタバタな授業と結界のカーテン

青空の下、私は芝生をサクサクッと音を立てながら歩いていた。


今日から私は、通常の授業に戻る。

私が壊した部屋の修繕はまだ続いていた。

魔道具と結界で強度を高めるらしい。


キートン先生が、大きな魔法陣の形を空に掲げて

結界魔法を張っているのが見えてきた。

内側から外側へ何重にも光の層が連なっていく。


「ふぅ――これなら大丈夫でしょう」

結界を張り終えた先生が振り返ると、私を見て微笑んだ。


「ごきげんよう皇女様。体調は大丈夫でしょうか?」

「ごきげんよう。はい、すっかり良くなりました」


「よかったです。今日は思う存分に魔法を放っても大丈夫です! 」


ウィンクをしながら、以前の規格外魔法をおかわり!と

いわんばかりの表情で言ってきた。


―楽しそうな顔してるわ―


「それでは、どうぞ!! 水・火と続けてやってみましょう!」


小さく深呼吸し、軽く目をつむる。

―大丈夫よ。何度も森で色んな練習をしてきたじゃない―


シュゥ――

体を金色の魔力が柔らかく包み始め、髪がゆらゆらと揺れた。

バッと両手を前に出すと、片手に水の雫、もう片方は火の灯が出来た。


「わぁ! 出来たー! 」


シュッン……

思わず言葉を発すると、片方の炎が消えた。


「あ……」

―持続できなかった……練習では出来たのに―


口を強くキュッと閉じ、肩を落とした。

先生へゆっくり視線を向けると真顔で動かない。


「キートン先生……その、一瞬でしたが両方出来ました」

「……」


―出来たとは言えないよね……持続してないんだから―

ゆっくり私の方へ近づく先生。


「皇女殿下……」

「はい」


「んまぁー!! 種類違いの魔法を無詠唱で!

これは、無限の可能性が秘めております! 」


―あ、良かった。いつもの先生だ―


「成人後は魔導師になりましょう! 

この私が、推薦状を何カ月も長文で書きます! 

あ、でも皇女様はなれないか……」


「でも、持続できませんでした」

うつむく私の肩を、先生は両手で力強くつかんだ。


「だから何だというのです? 出来るまで努力すればいいだけです! 」

キートン先生は、私の目線に合わせるように膝をついて微笑んだ。


「沢山練習したのでしょう? 」

私は静かに頷いた。


「天才は、もちろんいます。

でも私はこうして努力を重ね続ける人こそ、一番強いと思うのです」


―成長の過程を感じ取ってくれてたのは嬉しいな。いい先生じゃん―

心にジーンと温かさが広がっていた矢先、次の言葉で少し歪む。


「以前のような、もっとこう……ドカーン!も見たい……。

コホンッ 制御が上手に出来たので次へいきましょう 」


―先生……? さっきの感動を返して? ―

私の少し輝いた目は、影を宿し先生を見つめた。


「では、防御魔法も新たにお教えいたします」


「大きな結界が張れれば数十人、数百人の人間を守れます。

内側から外側に向かって広げるイメージで魔力を使ってみてください」


「はい」

自分の魔力を徐々に広げていく。


―どのくらい魔力を込めたらいいんだろう? -


パリッ、パリパリ……

遠くで卵の殻が、ひび割れるような音が聞こえる。


―この音は何? いやいや、集中よ―


「なぜ……わ、私の張った結界が……皇女様?」

「……」

「皇女殿下!! 」

先生の大声で、ハッ!と我に返り目を開けた瞬間。


バリンッ!!


サラサラ――


音がした先の空へ顔を上げると、先生が張った結界魔法がガラスのように砕け散っていた。


「え――」

それから、キートン先生は嬉しそうに結界を張り直した。

直している間、興奮した口調で独り言を大声で話している。


「では、私が今から初めて使う攻撃魔法を放ちますので。

弾くイメージで、結界の維持をお願いします! 」

先生は、持っていた本を勢いよくパラパラめくる。


―ん? 今、初めて使うって言った? ―


「大地の女神よ……万物の――」

何やら、ブツブツ小声で詠唱している。

シュルル――

徐々に大きくなっていく、緑と白い光が混ざり合う球体と

強風が吹き荒れ始める。


「先生! そんなの放たれても無理ですーー!! 」

「何ですかー? ダメそうなら、避けてくださーーい!」


―ギャァァア!! こっちに投げないでぇぇえ!! ―


ゴゴゴゴゴッ――


すごいスピードで迫ってくる。


「逃げれない! 無理! 無理だよぉお! パパー!! 」

ギュッと目を瞑り、魔力を外へ押し出す力を強めた。


パッパッパ……

結界の層が重ねられていく。


パァーン!! 

衝撃で飛ばされた私は、地面に尻もちをついた。

「痛っ……」

立ち上がると、自分の無事を確認するように体を触った。


「おい!!! あたしを殺す気かああぁぁぁ!!」

私の怒鳴り声が芝生の広場に響く。


「おおおお!! す、素晴らしい!!」


―聞いちゃいねぇわ、この先生。―


「上級を放っても無傷っと……」

サラサラと音を出しながら、紙に筆を走らせた先生は満面の笑みだった。


―物騒なことをサラッと呟くんじゃないよぉお! ―


「コホンッ、失礼」

嘘くさい咳き込みをした後、先生が真顔に戻る。


「結界を、自分に常時まとわせる練習をしてみてください。

続きはまた次の授業にしましょう! 」


スキップをして、楽しそうな先生の背中を見送り溜息をついた。


「はぁ……。朝から魔力じゃない方で疲れちゃった」

少しぐったりしながら、トボトボと私も帰道へ足を向ける。


途中、訓練している兵士達の訓練場所を通った。

討伐隊が居なくなった後の訓練が気になり、立ち止まって見ていると

模擬戦が始まろうとしていた。


「両者、始め! 」


ガッ!ガガッ―― 

ドサッ


「もう一度お願いします」

「もう一度――」

倒れた兵士が立ち上がり、何度も挑んでいる姿を見て

先生が言っていた言葉が頭をよぎる。


『努力を重ね続ける人が一番強い』

―私も、あの兵士のように頑張らなくちゃ―


本を持つ手に力が入り、再び歩き出すと後ろから声をかけられた。


「皇女様。本日の新聞です」

メイドが渡してくれた。

「ありがとう」


自分の部屋に戻り、椅子に腰かけ新聞を開いた。

―パパの容態は書いていないわね―


「パパ……」


~~♪

タブレットから着信の音が鳴る。


「こんにちは!今お時間大丈夫ですか?」

「はい。ごめんなさい。日程をお伝えするのを忘れていました」


「いえいえ!大丈夫です!

「さっそく本題ですが、3ヵ所の結界場所の浄化の件で――」


―メールが来ていたのをすっかり忘れていた―

数日前、来ていたメールにはこう書いてあった。

この世界の3ヵ所に壊れた結界場所がある。

そこを修復する(結界石を埋める)というのが、私の任務らしい。


「王が討伐した場所なんです。」

「え?」

「3ヵ所の1つがその場所なんです。

結界石を埋めないと、早くて数か月後

また魔物が発生してしまう可能性が――」


「結界石を作って頂きませんか?もちろん、私がサポートします」

「私の魔力でも作れますか?」

「はい!今からそちらへ行きますので!お待ちください!」


プツッ

ほどなくして女神が現れ、少し待つように言われ待っていると……。


「眠りなさい」

女神の手のひらに溢れてくる花びらに息を吹きかけると、

花びらは、緑と銀色の蝶の姿へ変わり

部屋を素通りして広がっていく。


扉の外で、ドサッドサと鈍い音が続くのが聞こえた。


「一体、何を……?」

「皆さんには、少しお休みしてもらいました。さ!始めましょう」

「手を出して、イメージは大きい宝石のような石を――」


シュゥウウウ―――


私の小さい手から光が少しずつ集まって球体になっていく


「クッ……ッ」

体がどんどん冷たくなっていき、手が揺れ始めた。

「もう少しです! 頑張ってください!」


―魔力が体から吸われていく……―

女神が私の手の甲の上に手を重ねた。

「私の魔力も混ぜます! 」


緑と黄金の光が絡み合い、球体は綺麗に輝きだした。


ゴトッ……ガランッ


「これで終わりです! 大丈夫ですか?」

息があがっている女神と私。

私はペタンと床に座り込み、暫く動けなかった。


それから女神と夜に埋めに行く約束をして解散した。


      ◇


「それじゃ、よろしくね」

「マスター行ってらっしゃいませ」


夜になると女神と一緒に森へと転移した。


シュンッ


三日月が、深い森を優しく照らしている。

歩いていると、大きな傷が刻まれている木を見つけ立ち止まった。


―パパと皆はここで戦ったのかもしれない―

そっと木の幹に触れ、再び歩き出す。


「ケホッケホッ……まだ瘴気が残ってますね」

顔を歪め咳き込んでいる女神を見て、私は首を傾げた。


―全然私は感じないけどな―

暫く歩いていると、女神の足が止まった。


「ここです」

目の前に、穏やかな湖が広がる。

女神は、作った結界石を取り出す。


「風魔法で、中心だと思う場所へ移動させてください」

いつも穏やかな表情の女神は、真剣な表情で言った。


「はい。分かりました」

私は、風魔法で移動させていく。


「そこに石を落としてください!」


ドボンッ!!

ブクブクッ……


パァアーー

落とした場所から、一気に広がる光のカーテン。

さっきは見えなかったが、光に包まれた紫色の粒が消えていく。


「これでいいんですか?」

「はい!これで暫くは大丈夫でしょう!お疲れ様でした!」




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