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元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば
第一章

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EP19. 光が残したものと新たな不安


「陛下がお目覚めになったぞ!!」


―この声は騎士団長だな―

視界が、ぼんやり広がる。


目が覚めたのは馬車の中だった。


―体が殆ど動かない。そうだ、他の兵は無事なのか―

そう思った瞬間から、意識がはっきりしてきた。


「皆は無事か?」

「全員無事です」

「そうか、よかった」


皮膚が焼けるように熱く、鋭い痛みが走っていたのに

今は何も感じない。

団長を見ると、腕にあった切り傷が綺麗に治っていた。


―どういう事だ……? ―

治癒出来る者はこんなに短時間で綺麗に治せない。

回復薬も底をついていた状態で――


頭の中で考えを巡らせていると、団長が口を開いた。


「今、一番近い街へ向かっております」

「あぁ」


「陛下。私のせいで怪我を負わせてしまい、

大変申し訳ございません……」

「気にするでない。よく一緒に戦ってくれた」

「はい……このご恩は必ず――」


―私が展開した結界は過去一度も破られたことが無い。

まさか、いとも簡単に壊されるとは……―


馬車に揺られながら、魔物と戦っていた光景を思い出していた。


街の入り口へ着くと、兵士達は絶句した。

ボロボロの木の門。崩れた石の壁。

進むにつれて、大通りから逸れた小道の路上には

やせ細った民が力なく座り込んでいる。


「団長、どうしましょう」

「心苦しいが‥‥‥今は治療が先だ」

悲惨な光景に顔を歪ませた騎士団長と兵士は、それ以上は口を開かなかった。


それから治療院を探し、事情を説明すると中へ通された。


「陛下。この度は、街を救ってくださり、本当にありがとうございます」

市長が頭を下げた。


「魔物被害が酷く、お食事など色々とご不便をかけるかもしれませんが、

精一杯のおもてなしを致します」


「気にするな。大変な時はお互い様だ」

「これから医者が、陛下の状態をお話するかと思います」

「ああ」


暫くすると、入れ違うように医者が入って来た。


「お初にお目にかかります。

この治療院で医院長をしております、ネイマと申します。」


「世話になる。して、我の怪我は? 」


「診断結果ですが、魔力枯渇です。

背中の傷は、かすり傷程度かと――」


「かすり傷……だと?」

目を見開きながら、発した大声が部屋に響く。

カランッと、鉄の容器を落とす音が遠くで聞こえた。


「大声をだして、すまない」

「ひっ! は、はい……」

ビクッと肩が跳ね、怯える医師。


「怒っているのではない。

魔物からブレスを背中で浴びたから……不思議に思ってな」

穏やかな声で医師に言った。


「恐れながら。魔力で内部も確認しましたが、

異常は見つかりませんでした」

医師は、他の兵士達を見渡す。

分厚いメモをペラペラめくりながら、首をかしげる医師。


「兵の方々も、軽傷や完全に治っている方も居まして……。

我々も、理由が分からず――」

「そうか……」


「陛下の治療は、魔力補給をして静養して頂きます」

「あぁ、よろしく頼む。城に戻ったら全員分の治療費を払おう」


「そんな! めっそうもございません! 

魔物から街を救って頂いたのです。費用などお気になさらず」


「復興にも金が要るだろう。まぁ、そこは市長と話をする」


医者は一礼して、違う兵士への治療へ向かっていった。


―あの攻撃を受けて軽傷とは―


「城に帰ったら一度、話し合わねば」

小さく呟くとベッドに入り、瞳を閉じた。


最後に戦った時、白い鳥がまとっていたのは光属性。

―娘は、覚醒しているのか? ―


もし、娘の力を周りの者に知られたら――

妻のように戦場に駆り出されるか、

利用しようと企む貴族も出てくるだろう。


―絶対に知られてはならぬ。娘の未来を守らねば―


     ◇


「号外でーす! 」

ルイーナ王国の街では、号外の新聞が飛び交う。


「まぁ!さすが国王ね! 」

「ドラゴンみたいな魔物って大きそう」

「死者を出さない討伐は初めて聞いたぞ! 」


魔物壊滅のニュースは、瞬く間に広がっていった。


コンコンッ


「皇女様!討伐隊が魔物を壊滅させたと報告がありました! 」

走って来てくれたのだろう。メイドは息が上がりながら部屋へ入って来た。


「パパは無事なの? 」

「はい、ご無事です。ただ、負傷し近くの街で治療しているそうです」


―あの強いパパが……。―


「え、傷の具合いは……? 」

「詳細は分かりませんが、ルーカスが調べるとは言ってました」

首を横に振るメイドを見て、不安が募っていき俯く。


「そう……教えてくれてありがとう。下がっていいわ」


ふと、メイドが持っている新聞が気になった。


「その新聞、見てもいい?」

「はい。大丈夫ですよ」

「読み終わったら、すぐ返すね」


メイドが出て行った後、新聞に目を通す。


表紙の見出しには

『国王が隣国の暗闇を打ち払う!』

と大きく書かれていた。


記事には魔物を倒し、兵士の死亡者が0人という偉業を成し遂げたこと。

討伐隊へ市長や、民が感謝の言葉が綴られている。

私は、新聞に記載しているパパの名をそっと触れた。


「パパ、すごいな。でも、怪我が心配よ……」

溜息をつくと、次のページを開いた。

『尋ね人』の欄が目に入った。

そこの描かれていた肖像画を見て、息が止まる。


―この姿……あの少年に似ているわ―


椅子に座り直した私は、新聞をじっくりと読み進めた。

隣国の第二王子という身分。髪や目の色。ほくろの位置の特徴……。

そして多額の懸賞金。


―王子が暗殺者……これは一体どういうことなの?! ―


「訳ありとは思っていたけど、かなり複雑ね」

新聞を静かに閉じると、指で机をトントン叩いた。


暗殺者ギルドはこの事を知らないとは思えない。

それに変化の魔法をかけた後、もし少年が国へ帰りたいと言われたら?


私は、頭を抱え小さく唸る。

「この先……どうしたらいいの」


―このままじゃ、きっと何かが起きる。―



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