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元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば
第一章

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EP.18 実の謎と光の正体


ガタガタッ……


「ふわぁ~……」

口に手を当て、欠伸をしていると


「皇女様。護衛を付けなくて、よろしかったのですか? 」

「うん。大通りしか通らないから大丈夫」


メイドを連れた私は、王都の一番大きい図書館へと馬車を走らせていた。

―馬車の揺れは苦手だ……腰が痛いよ―


「皇女様。着きました」

「ここから先は一人で行くから、また後でね! 」

「え、皇女様――?! 」


メイドを置き去りにして馬車から飛び降りると

目の前には、城のような巨大な建物がそびえ立っていた。

その手前には、長く白い石畳の階段が続いている。


「立派ね。さすが国一とされる図書館だわ」


あらゆる本があるこの場所には、貴族や王族じゃないと入れない。

長い階段を上ると、入口に5人くらいの警備が横並びに立って居た。


「通行証を」

「はい」

「こ、皇女殿下?! どうぞ、お入りください」

私の名を見て、慌てて頭を下げた警備兵の顔は青ざめていた。


―まさか護衛もつけずに、一人で入るとは思わなかったよね―


ドアが両側から開かれると、別世界が広がっていた。


「わぁ~」

両側に広がる本棚の森。中央の螺旋階段。


パンッ


係りが返却場所で手を叩くと、空中で一回転をした本が一斉に棚へと戻って行く。


―素敵な場所ね。木と本の匂いがする―

私は目を輝かせ、辺りを見渡しながら足を進めた。


「皇女殿下、お探しの物はありますか? 」

後ろを振り返ると、紺色の服に木の形の腕章を着けている係の人が微笑んでいた。


「珍しい植物が載っている図鑑はあるかしら? 」

「はい。いくつかありますゆえ、お席までお持ちしましょう」

「ありがとう。助かるわ」


私は二階へ上がり、椅子に深く腰を掛けた。


ドサドサッ

暫く待っていると、机の上に分厚い本が置かれる。


―わぁ、量が多いわ……! ―


「お待たせしました。また何かありましたらお呼び下さい」

「ありがとう」


積みあがった本を横目に、鞄からノートとペンを取り出す。


分厚い本のページを一枚ずつめくっていくと。

以前、城で出された毒草が見えて手が止まった。


―葉野菜と見分けつかないわ―


あのまま気づかなかったら出され続けていたのだろう。

次のページを開こうとした瞬間。


「皇女様、ここで何を読まれているんですか?」


私は手を止めて顔を上げると、毒草事件でお世話になったあの魔導師の老人が立って居た。


「ごきげんよう。珍しい植物が気になって、調べてるの」

「植物の名をお聞きしても? 」

「‥‥‥あまゆいっていうんだけど知ってる?」


少し驚いた表情をした老人は、すぐ元の穏やかな表情に戻る。

「恐れながら……その植物は、今から200年前に絶滅し

この世界には無いと言われています……」


「こちらの本に、載っておりますぞ」

魔導師は積まれた本の中から、一冊の赤い本をパラパラ目の前でめくり

開いたページを差し出した。


「ありがとう。もうこの世界にはないのね……」


部下と思われる若い男が、魔導師を呼ぶ声が聞こえた。


「私はこれで、失礼します」


老人が立ち去ると、私は再び本へ目線を戻した。


「何々? 実を付けるまでに2年――」


大きい実はオレンジ色。とてもみずみずしく甘い。

病人が食べれば、病はたちまち治り。別名、森の奇跡。

副作用:別人のような目の色・髪になる。

一時的な記憶障害になる場合がある。


他の説明を読み進め、最後のページにあった挿絵を見ると私の手は止まった。


―あれ? 昨日食べた果物に似てる……―


『本当にこれうまいな!』

少年と一緒に食べた記憶が頭に思い浮かんだ。


「……まさかね?」

昨日食べたあの実がもし『あまゆい』だとしたら……。

でも、アイテムBOXには種も実も少し残したのが幸いだと思った。


「全部食べなくて良かった……」

―またあの妖精に会ったら、聞いてみよう―

私はそっと本を閉じ、図書館を後にした。


     ◇


ザシュッ!

グァアアアァァーー!!

魔物の雄たけびと、剣が魔物を切り裂く音が響く。


「ハァハァ……。後、もう少しで中心部だ!」


魔法と剣を使いこなしながら、森を進んでいく。


―絶対に誰一人、死なせはしない ―

王の剣を握る手にグッと力が入る。


ブワッ――!

突然、頭上から強い風が吹き見上げる。


「あれが、主だな」


体長が20mくらいの巨大な赤黒いドラゴンのような魔物が地面に降り立った

黒いブレスをばらまき、ブレスにあてられた草木がパラパラと枯れていく。


「陛下!小物は私たちが!!」

魔物をなぎ払いながら、一人の兵士が叫ぶ。


「ああ!頼んだ!」

「団長!一緒に挑んでくれるか?」

「もちろんです! 」


スッ―――ブオォンッ


剣を握り直し、魔力をまとわせると青白い光が剣を包んだ。

騎士団長に目配せをして、二手に分かれた。


バチバチッ! グサッ!

グワァアーー


「外したか……」

雷魔法と短剣を投げたが額を外れ、片目を突き刺した。

暴れた魔物の尻尾が騎士団長へ向かった。


「団長!!」

「ガハッ……! 」


太い木の幹へと、投げ飛ばされる騎士団長。

魔物へ次々と魔法を放ったが、弾き返されてしまった。


「クソッ……」


グゥォォオオ―――!

竜の唸り声が鳴り響き、次のブレスが団長へ飛ぼうとしていた。


瞬時に結界を張り、団長を庇うように飛び出した。

パリンッ!

―――ッツ!! 


「陛下!!」

私が作った結界魔法がボロボロ崩れ落ちた。


―皮膚が焼けるように痛い―

そのまま団長の上に倒れ込んだ。


「無事か?」

「なぜ私を、庇ったのですか……」

騎士団長の目元が涙で光る。


―体が動かない。毒なのか痺れてるな―


「ハハッ、体がとっさにな。すまない。私はここまでのようだ」

「そんなこと言わないで下さい。私が仇を打ちますから! 」


騎士団長が魔物の主を見上げると、魔物の口から次の黒い球体が徐々に大きくなっている。


「誰か――」

団長はギュッと目を瞑り、呟く。

すると、陛下の体からまぶしい光が出てきた。


パァァア……


「なんだ……この光は? 」


陛下と団長を包んだ光は空高く舞い上がり、一羽の鳥の形になる。

大きく翼をバサッと広げた白い鳥がドラゴンの後ろに移動した。

魔物がギロリと鳥を睨みつけると、その黒い球体を鳥へと飛ばす。


ドゴォオオ――!!


爆発音と衝撃波で、あたりを揺らし土煙がたっていった。

煙が薄くなると、光の鳥から黄金の光を出し魔物の主の体を貫いていた。


「ケホッケホッ……なんと、美しい光」

「あぁ……」


ドォオオン……


主が倒れサラサラと黒いチリになって消えると、大きな音がした。


ゴドッ……ガランッ


巨大な魔石と、空からボロボロの紙で作られた鳥が落ちてきた。


「アイビー……守ってくれたんだな」


その形は、まぎれもなく出陣前に貰った愛する娘からのプレゼント。


「陛下、あの鳥は一体」

「……神が味方してくれたんだ」


―この光は……あの子の魔力だ―


そう言い終わると同時に、団長の腕の中で私は気絶した。




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