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元アラフォーが皇女に転生?!元暗殺者の少年を拾ったので育てます!  作者: 桜月ふたば
第一章

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17/61

EP17. 忍び寄る影


~♪

私は、鼻歌を歌いながら転移場所へ歩いていた。


ドンッ


「おっと、ごめんな」

「いえ、私もごめんなさいね」


肩がぶつかり、お互いに謝る。

よく見ると、上下黒い服を着た細見の男だった。


―あれ、血の匂いがする……―

嫌な予感がして、足早に立ち去ろうと一歩踏み出そうとすると。


「なぁ、黒髪で赤目のガキを見たことねえか?」


『黒髪で赤目』その言葉を聞いた私は、その場で足が止まった。

動揺しているのを悟られないように、笑顔で振り返ると男に伝える。


「いいや? 見かけたことないね」


鋭くまっすぐな目をした男は、一瞬黙ったままジッと私を見つめた。


「そっか。ここら辺は酔っ払い多いから、気を付けて帰れよ」

「ありがとうね。お兄さんも気を付けるんだよ」


「俺は、こう見えて強いから大丈夫だ。じゃあな」

男は手をひらひらさせて歩いていった。


―あの少年を探している―


バクバクと鼓動が早くなっていく。

この国に居る平民は、殆ど茶色や金髪が多い。

間違いであって欲しいと願いながらも、聞かれた特徴はあの少年の可能性が高い。


「このまま、あの場所に行くのは危険ね」

転移場所は、少年を助けた場所から近い。

もし、あの男が少年に怪我をさせた本人なら……。


―現場にもう一度足を向けるかもしれない。―


私は、ゴクリッと息を飲み背後を気にしながら足を別の方向へ進めた。

時間をずらすために、近くのパン屋に入った。


「いらっしゃい」

ショーケースには、生クリームやカスタードを使った菓子パンが並んでいる。


「ごめんなさいね。もうすぐ閉店だから、種類がもうないのよ」

「いえ! こちらこそギリギリに入ってすみません」


パン屋の窓から外を警戒するが、夜の暗さだとあまり分からない。


―そういえば少年は、どんなパンが好きなんだろう? ―

ふと、自分が食べたい物よりも

少年が好きな物を先に考えている事に気づいた。


「まるで、あの子の親みたいね」

小さく呟いた私は、フッと口元が緩んだ。


「まいどあり~おまけしといたよ」

「ありがとう! また来るわね」


ずっしりとした紙袋を片手に、転移場所へとゆっくり歩く。


「大丈夫よね? 」

私は辺りを見渡し、男が居ない事を確認してから少年の元へ行った。


シュッン


「あれ、この木…前に植えた場所だよね? 」

家の近くに植えた種の場所には大きい実をつけて、5m位の高さになっている。

私はゆっくり木に近づき、幹を撫でながら見上げた。


―数日で大きくなり過ぎじゃない? ―


「この実食べるかな?」


風魔法で刈り取った実のいくつかを、家に持って帰ることにした。


ガチャッ

「ただいま~」

部屋の奥からドドドッと走る音が聞こえた。


「おかえり」

「ごめんね。中々来れなかったの、寂しかったよね」

「別にさみしいとか思ったことねぇし! 」

顔を背けた少年だったが、口角は上がっていた。


「あ! 約束していた物を渡すね」

アイテムBOXから、木刀を取り出し少年に渡した。


「うわぁ! やったー! ありがとな」

無邪気な笑顔で、大切そうに木刀を触る少年。


グゥウウ~~~

少年のお腹の音が部屋に響いた。


「ふふ。何か作るね! そういえば、さっき町でパンを買ったの」

キッチンのテーブルにパンが入った紙袋を置き、並べ始める。


「それって田島食堂の近くか?」

「あら、知ってるの?そうそう。今日、初めて入ったのよ」

「……俺、部屋へ木刀しまってくる」


―あれ? 何かあった場所なのかな? ―

私は気になったが、とりあえず夕飯を作ることにした。


「いただきます」

手を合わせ、一緒にご飯を食べ始めた。

今日は、シチュー。パン。サラダ。


―この体になるといくらでも食べれちゃうのが怖い―


「うんめぇ!」

ガツガツと食べ始める少年。


―やっぱり手作りの方が美味しそうに食べてくれる―

私は、少年が美味しそうに食べている姿を見て

心が温かくなった。


食べ終わると、少年が皿を片付けながら話しかけてきた。


「家の横にある木は、一体何の種類なんだ? 」

「うーん、それが分からないんだよね。

道で拾った種を植えただけなの」


―妖精から貰ったなんて言えない―


「あ、さっきその実を取って来たから。食べてみる?」

アイテムBOXから、大きいオレンジ色の実を取り出した。


「毒とかないのか?」

「毒があれば直感でわかるから、大丈夫だと思う」


以前、毒殺されそうになった時は警報音と毒草が光った。

でもこの実は何も反応しない。

私は包丁で食べやすい大きさに切り分け皿に盛った。


「……」

手を付けない少年を見た私は、目の前でフォークで刺した果物を口に運ぶ。


「ん~っ。ん”?! 」

「ちょっ! 大丈夫か?! 」

椅子からガタッッと立ち上がる少年


「すごい美味しい……!」

「紛らわしいんだよ、クソがっ!! 」

頬を膨らませた少年は、椅子に座り直し果物を食べ始めた。


「本当だ、これうまいな!」

「でしょ? 」


みずみずしい果汁。桃とレモンを合わせたような果物の味だった。

私は、切った時に出た小さな種をアイテムBOXに入れておいた。

それから久々に少年と話し、一緒にパズルをして遊ぶ。


―いつもならこの時間は疲れてるのに、今日は私元気だな―


少年が眠った後、冷蔵庫に食材を補充して置手紙を書いていた。

―少年が、読み書きができるのは何故だろう? ―


「もしかして、どこかの貴族の子だったりする? 」

部屋の明かりを消して、城へ私は転移した。


シュンッ

目の前に両手を腰に当てた影武者が居た。


「おかえりなさいませ」

「た、ただいま……起きてたんだね」


気まずい気持ちになり、目を合わせられないでいると

溜息が聞こえた。


「マスター。あの苦い薬飲みました」

「あ……」

「とても、とっても苦かったです」

真顔で、ジリジリと一歩ずつ近づいてくる影武者。

私は後ろに後ずさりをしながら謝った。


「ご、ごめんなさい……」

「違います」

私が謝ると、影武者は首を横に振った。


「え? 違う? 」

パチパチと目を瞬きした私に、影武者が自分の頭に私の手を乗せた。


「これが正解です」

私は笑いながら、影武者の頭を撫で続けた。


「ありがとう。助かったよ」

「はい。でもあの薬はもう飲みたくありません……」


―なんだか、どんどん人間らしくなってきた気がするわ―

少し話した後、影武者をアイテムBOXに入れた。


「明日、図書館へ行って、あまゆいの実のことを調べないと」


眠る前、自分のステータスを確認した

魔力量が少なかった状態から、大分回復している。


―良かった。妖精王と食堂のおかげだね―




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