EP17. 風邪で寝込んでいたら、まさかの妖精バフ発動しました
熱が出て3日目。 熱はあまり下がらなかった。
「結局、少年の所へずっと行けてないな…」
どんなに悪態をつかれても、数時間遅くなっただけで涙を浮かべるような子だ
大人びた言葉や考えが見えても、相手は子供に違わないし…。
「心配だから、行こうかな。日付変わって明け方前なら少年も寝てると思うし。
冷蔵庫の食料も補充しないとだし…。」
この世界にはマスクがまだないから、大き目のハンカチで口を覆えばいいか…
そんな事を考えながら この何もない時間を過ごしていた。
コンコンッ
「皇女様。入ってもよろしいでしょうか?お着換えをお持ちしました。」
「ええ。」
喉はすっかり良くなった。後は熱だけ下がればいいんだけど。
体を拭いてもらい。新しいパジャマに着替える。
「ご気分はいかがですか?」
「喉は平気になってきたけど、体が重たくて熱いかな」
「中々熱が下がりませんね…また医者に診てもらいましょうか。」
「大丈夫だよ。いずれ治ると思うし。」
「ルーカスと相談してみます。 皇女様は休む事だけ考えてくださいね。」
メイドはそれを言うと一礼をして 部屋から去っていった。
「…はぁ~、暇だ。」
連日の魔力消費も続き、風邪をひいているからなのか
自分に治癒魔法をかけたけど、痛みしか緩和しなかった。
「それじゃあ、毎日のお楽しみをするとしますか!」
ログインガチャを回す
~~♪ また明日~♪
一瞬、画面が真っ暗になりギラギラの演出が表示され
∞ ??? カードが出た。
「???って何。」 詳細をタップしてみる。
カード一枚につき、一個だけあらゆる願いを叶えることが出来る。
世界を滅ぼすのもよし!ただし、継続するような願いは不可。利用期限2年
―何か途中で、ぶっそうな文章出てきたけど 良いカードじゃん
期限切れに気を付けようー
ボーっとした頭でBOXにしまう。
その瞬間。光が横切った。
「あ~熱で幻覚をとうとう見るようになったのね私…。」
光を目で追うと…目の前には、複数の妖精が飛び回っていた。
机に置いてあった、昨日の夜に残しておいた口直し用のクッキーにかぶりついているのが見える。
「クッキー美味しい?^^」可愛くてつい話しかけてしまった。
ビクッとして食べていた妖精は固まったあと 恐る恐るこちらに顔を向けた。
「…。」
「私もそのクッキー大好きなの!違う味もあるんだけど、それも美味しいのよ。」
「ゴクンッ… あなた。私達がみえるの?」
「うん。見えるよ。 」
私の発言を聞いた 他の妖精達が一斉にバーッと散らばった。
「ごめんなさい…捕まえないで…」「あの子見える子だったみたい」「見える人間めずらしー!」
「逃げよう! 妖精王様に怒られちゃう」
「怒られちゃう」「でも、まだあの子は子供だよ?」
すごいパニックに陥っている妖精達。
―話しかけちゃダメだったか…-
「私、今体調が悪くて寝てたの。捕まえるとか全然考えてないし、そんな元気もないから安心して?」
ふらふらとベッド戻る私。
「…。」羽がパタパタ鳴る音だけ聞こえてくる。
一人の妖精が枕横に近づいてきた。
「あなた、病気なの?」
「うん。熱が中々下がらなくて苦しいんだ。」
困った眉毛になっている妖精。仲間の妖精の元へ行き ひそひそ何かを話している。
「私、眠るから。 そこにあるクッキー全部持って行っていいからね。」
そう言って布団をかぶろうとした
「まっ待って!」 何人かの妖精に囲まれた
「あのね、私達たまにこの部屋とか食べ物が置いてある所に行って
内緒で食べてたの…ごめんなさい…。」
「いいよいいよ。また食べにおいで。今度来たら違うお菓子あげるよ」
「本当?ありがとう! あっ、小さい病気を消しちゃう子連れてきたの」
三人の妖精の真ん中に居る子が 腕を組み、フンス!とどや顔している。
「クッキーと仲間を見逃してくれたお礼だよ」そう言うと頬にキスをしてくれた
熱が一気に引いていく。呼吸も楽になっていった。
「すごい…。」
「ね!すごいでしょ?」どや顔の妖精がクルクル回っている。
「元気になった?」
「うん!体が本当に楽になったよ!皆、ありがとう!」
「元気になったって!」「よかったぁ」「ね!」
色々な妖精達がクルクル回り始めた。可愛い。
「また来てね!今度は色んなお菓子と飲み物を用意するから」
「うん!約束!」「約束!」「やくそく!」「わーい!」
「じゃあまたね!」
空いた窓から妖精たちは外へ飛んで行った。
「可愛かったな~、昼食前でよかった。他の人が見えるのかよく分からないけど」
ステータスを久々見る。異常状態から通常に戻った。
ただ、魔力が低いまま。 「これは沢山食べないとだね…」
「田島食堂へ行きますか!夜くらいに」
昼食を持ってきたメイドに熱が下がったようだと伝え
あの泥団子のような薬を飲み。夕飯は軽いものでいいと伝えた。
影武者を使い数日振りに 城下町へ来られた。
カランカラン
「いらっしゃい!あら!また来てくれたのね!少し瘦せたんじゃないの?」
メニューと水を持ってきた女将さんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「ちょっと、バタバタしてて忙しかったんです…。」
ガヤガヤとお客で賑わっている。この感じいいな~。
「お疲れさんだよ、でも無理はあんまりしないようにね? 今日は何にする?」
「うーん、唐揚げとオムライス! あの…」
「大盛で」
「大盛で」
声が重なる。 私と女将さんは目を合わせ ふふっと笑う。
働く日は来月からという事になっているから、今日はただの客だ。
「はいよ! お待ちどうさん!」
この昔ながらの食堂で出てくる素朴なオムライス 本当に美しい。
お皿に、ミートボールみたいな肉団子が添えられていた。
「これはサービス!今日も沢山食べて行ってね!^^」
オムライスを食べた後、しっかりプリンを食べ終わった食器の下にお金を隠し置いて店を出る。
絶対お金を受け取らないと思ったからだ。




