EP12. 氷魔法のおもてなし
斜め奥に居た4,5人の令嬢がこちらを睨んで罰が悪そうにしながら
違う方向へ歩いて行ったのが目に入った。
―多分、あいつらっぽいな…-
近くに待機していたルーカスにアイコンタクトをする。
「いかがなさいましたか?」
「さっきまであちらに居た4,5人の令嬢の名前を調べられるかしら?」
「かしこまりました。」 眼鏡をクイっとして立ち去った。
会場に向き直し大きい声で
「皆様、お騒がせしてしまい申し訳ございません。」
「お詫びといっては なんですが、珍しいデザートを今から作りますので
皆さま ご賞味ください」
片手に集中する シュゥゥゥゥーーーーー水がふよふよと集まり
パキパキッ! バキッ!! 自ら氷の塊が出来る
「皆様カップを片手に上へ上げてください」
一斉に空へカップをささげる形をした
氷の粒がカップへ降り注いでいく
そう、かき氷を作ろうとしているのだ
支給係にイチゴミルクやオレンジミルクに使用する ピューレをかけるように指示した
かき氷シロップは今から通販で買えないし、皆の前にその姿を見せる訳にもいかないから
とっさに考えた手法だ。
「では皆さん、ご歓談の続きを! 」
会場の子供たちは初めて氷を食べる子が多いのか
皆、笑顔で食べてくれている
少しふらきながら メイド達が待機している元へ行って座った
― 魔力結構使いすぎたかも…睡眠不足もあるし頭が少し痛くなってる ―
「皇女様、いつのまに魔法を取得されたのですか?!」
「なんかいつの間にかできたんだよね ははっ」 目を合わせられない
あの家で少し色んな属性の魔法で料理したのがよかったなんて言えない
「ルーカスは、とても嬉しいのです。
以前のお嬢様に戻られたようで、 こうやって皆の前に立ち目を見て話しをし
誰かのために動く姿勢。本当に今日という日にこの場に居られたこと嬉しく思います。
陛下にもお見せしたかったです…。」
近くに居たメイド達も 深く頷いていた。
「大げさだよ~、でも今まで心配してくれてありがとう。」
ちょっとくすぐったい気持ちになりながら メロンソーダをゴクゴク飲む
―何とかお茶会終わってよかったー
賑やかだった会場は 皆帰った為 いつもの平穏で静かな場所に変わり
オレンジ色の光が空を照らしていた。
それにしても、令嬢二人だけの問題かと思ったら他の関係者も絡んでいたとはね
ベッドに腰かけて ルーカスからもらった紙に目を通す。
奥にいた令嬢達の名前だけしか言っていないのに この紙の束…
人数は3人 。もっと居たような気がしたけど、気のせいだったのかな?
主犯と思われる令嬢とデイジーの親は同じ宝石商。
デイジーの家が王家直属に選ばれたことで亀裂が生じた為と思われると書いてあった
エリーナ… 宝石商人の末っ子。デイジーとは同い年という事もあり一時期は仲が良かった。
基本的に格下の人物には強気の態度。屋敷の中でも我儘放題らしい。
ユウリ…城下町で一番大きいドレスショップの娘。エリーナ嬢のドレスを仕立ててから交流が開始
性格は温厚。だが控えめな性格のせいで、友達が殆どいない。
シェリー…穀物の貿易会社の一人娘。性格は明るいが毒舌で友人が殆どいない。
「ふむふむっ…。」
眠気と闘いながら読み進めていく。
リストには他にも関連する人物の令嬢がいたが、あの時のお茶会には居なかった為
今回はこの3人の内、主犯格そうなエリーナに今後コンタクトか何か取ろうと思っていた。
前回だけではない、私が転生する前も別のお茶会で色々あった事も合わせて書かれている。
あの短時間で調べる情報量がすごくて、ルーカスが少し怖くなった。
「何者なんだ…ただの執事だと思ってたけど、ルーカスの情報網がこわいよ…」
なるほど、デイジーに嫌がらせをやってもいまいちだったから
王城で騒ぐように仕向けたって所か…?
「ん~…何にせよ、周りを巻き込んで一人に嫌がらせは悪質よね。」
「先入観は、判断する時に鈍ってしまうから…慎重に中立的な立場で考えないと。」
次は、気になっている人のみ小規模でお茶会をしようと思っているから
その時、さりげなく聞くとしますか
「そしたら、招待状を書かなくちゃ…。」
うとうとしていたのが限界を迎えたようだ。
瞼がゆっくり落ちていく 紙を握り締めながら夢の中に入った




