第10話 名前は?
すっかり忘れていた。初めて会った時から爺さん、兄ちゃんって呼び合ってたから違和感なかったし、
向こうからも名前を聞かれなかった。......あんまりわるくないよね?
「......爺さん!」
「なんじゃい?そんなに慌てて」
「そういえばさ、爺さんの名前聞くの忘れててさ、名前を教えてほしい!」
「......が~はは!!そんなことを聞くために走ってきたのか!やっぱり兄ちゃんは面白いのぅ!
わしの名は、ガルド!ドワーフのガルドじゃ!」
「ガルドの爺さんか」
よかった~無事に名前を聞けて!少し拗ねてたりしたらどうしようかと思ったよ。
「...それで、わしの名前を聞いたんじゃ。兄ちゃんの名前も教えてもらおうかのぅ」
......俺の名前!?まずい!考えてなかった!前世の名前を使うのはなんかいやだし、今ここで適当に決めるのはだめだ!......仕方がない
「...悪いな爺さん!実はいろいろあって名前はないんだ!」
「......なんじゃそんなこと。別に良い!名前がわからなくったって兄ちゃんは兄ちゃんだしのぅ!
それじゃあ、名前が決まったら報告に来てもらうとするかのぅ!」
「爺さん...」
爺さん男前すぎるだろ!惚れるわ普通に!
あら?爺さんが急にイケメンに見えてきたわ!
まさか、これが恋!!......いや何考えてんだ俺は。
まあ、本当ありがたいな。
「わかった!絶対報告に来てやるから、それまでくたばるんじゃないぞ爺さん!」
「が~はは!!まだそんな年じゃないと前も言ったじゃろ!じゃがまあ、楽しみができたわい!」
「......それで兄ちゃん。今後はどうするんじゃ?」
今後か、正直この街は結構いいんだよな。このまま住んでもいいんだけど一つだけ違和感があるんだよな。
「なあ爺さん、この街でトイレを見てないんだけど、いったいどこにある?」
「トイレなどそこらへんにあるぞ。街の住民が同じところを使うというのがこの街の伝統でのぅ、風呂も公衆浴場しかない。あの道中にある同じような建物がトイレじゃ。」
「......は?」
つまり、この街は公衆便所しかないということ!?......別の街に行くか。
「次の街に行こうと思うんだけどおすすめとかあるかい?」
どこに行ってもいいけど何かの縁だ。こういうのもいいだろ。
「そうじゃなぁ。......前に杖が欲しいと言っておったろ。わしの知り合いに杖づくりがうまい奴がおる。
そいつのいる街に行ってみるといい。紹介状は書いてやる!」
......なるほど杖か。たしかに欲しいと思ってたからちょうどいいかもな!
「じゃあそこに行ってみるとするよ!」




