11話 出会い
白磁器のような肌に、少し癖のあるプラチナブロンドの髪、そしてアイスブルーのぱっちりとした瞳。
優しく微笑むその顔を、私は生涯忘れない。
忘れてはいけない。
「お前が殺したんだ、お前が」
暗闇の中、耳をふさいでも聞こえてくる怒号が、容赦なく心に突き刺さる。
私は必死に謝った。
奪ってごめんなさい、と。
殺してごめんなさい、と。
『リリーのせいじゃないわ。シルビアが自分で決めたのよ』
何も見えない中、そう答えてくれた声が、あまりにも似ていた。
会いたくて、謝りたくて仕方がなかった、あの人の声に。
『私がシルビアになるわ』
「ありがとう、お母さん」
これが、私とクローゼットとの出会い。
◇
目が覚めると部屋はまだ薄暗かった。
額と背中には汗が浮かんでいる。
『リリー、最近うなされてばかりだわ。心配よ』
その声が優しくて、泣きそうになった。
「シルビア、私」
生きていてもいいのかな
そう聞こうとして、言葉に詰まった。
彼女に『死んだほうがいいわ』と言われてしまったら。そう考えたら怖くて怖くてたまらない。
『リリーはリリーよ。私のかわいい娘で、大切な友達よ』
シルビアはいつも、欲しい言葉をくれる。
それにいつまでも甘えてしまう自分がいた。
「ごめん、シルビア」
『あの日、殿下に何か言われたの?』
「違うの。あのね」
私は数日前のことを話した。
アイシャとの会話の中で、自分が魔力持ちということがわかってしまったこと。それからというもの過去の記憶がチラつくこと。そして、しばらく見ていなかった"夢"を見ることを。
『そうだったのね。魔力のことは、そろそろ話さなくちゃいけないわね』
「やっぱりシルビアは知ってたの?」
『私も全部を知ってるわけじゃないわ。私に時間を頂戴、お願い』
「わかった」
話したら少し落ち着いたようで、私はまたうとうとと眠りについた。
『嫌わないでね、リリー』
そんな声が、聞こえたような気がした。




