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浦上四番崩れ

明治政府はキリスト教信者に対する迫害をやめなかった。明治政府は宗教政策について誤った判断を下した。キリスト教を宗教として認めることは、天皇を中心とした国体を脅かすと考えた。そして、キリスト教を「邪教」として排斥する宗教政策を実施した。


長崎裁判所は浦上切支丹問題を優先課題とし、切支丹を呼び出し、棄教を強要した。

「日本人は神の国の民である。日本国民は、いかなる宗教を信じようと自由であるが、唯一絶対の神のみを信じる邪教を信じることは許されない」

「天皇の支配を否定する教えは、断じて認めることはできない」

切支丹達は棄教を拒否した。


明治政府は江戸幕府以上に酷かった。浦上四番崩れと呼ばれる弾圧が起きた。明治政府はキリスト教を信じる日本人を捕縛し、牢に放り込んだ。

「おい! あの家を調べろ!」

「はい」

「こいつ、切支丹じゃないか」

「捕まえろ!」

「待ってくれ! 私は切支丹ではない!」

「黙れ! 怪しい奴め」

「違うんだ! 話を聞け!」

「問答無用」

「ぎゃあああっ」


明治政府の態度に対し、浦上村では激しい怒りの声が上がった。

「こんな馬鹿な話があるか!?」

「切支丹狩りなんて許せない!」

「断固反対するべきよ!」

「絶対に許さないわ!」

「私たちは、政府に屈しない!」

「そうだ! そうだ!」

「政府の横暴を許すな!」

「そうね。政府に逆らいましょう」

「え? 逆らうってどういうこと?」

「政府に反抗してやるのよ」

「まさか……それはまずいわ」

「いいじゃない。やろうよ」

「う~ん……。まあいいか。やりますか」


「皆の者、よく聞くのじゃ!」

「はい」

「今から我々は立ち上がる」

「おおっ」

「我々の敵は政府である」

「おおおっ」

「我々は政府の横暴を許すわけにはいかない」

「そうだ! そうだ!」

「えい! えい! おー!!」


「私は神に祈って生きてきた。ただ、それだけだ。私の人生は、私だけのものだ。誰にも邪魔はさせない。たとえ、それが、どんな結末になろうともだ!」

明治政府に弾圧された切支丹は、このように言って、死んだ。信徒達は信仰を守り抜くことを誓った。それは、決してあきらめないという強い決意でもあった。明治政府の下で信仰を貫き通すということは、命を懸けて戦うということであった。

切支丹達による抵抗運動が始まった。彼らは官憲と戦いながら、布教活動を続けた。切支丹達が戦い続ける限り、その抵抗は続いた。

浦上村は戦いの舞台となった。その舞台で戦っていたのは、切支丹だけではなかった。この村には、多くの農民がいたのだ。彼らは、田畑を捨てて逃げ出さなかった。彼らは、自分たちが耕した畑を守るために戦った。彼らも必死だった。


浦上地区の切支丹は過酷な拷問を受け、三千人以上が流罪になった。流刑先で数多くの拷問・私刑を加えられ続けた。萩に流された信徒らは拷問石の上に正座させられ、棄教を迫られた。牢の中や流刑先で亡くなる信徒が多数出た。


欧米諸国は明治政府のキリスト教弾圧を非難した。

「日本政府はキリスト教を迫害している。これは許されないことだ」

「信教の自由を認めないのは野蛮国であり、文明国とはいえない」

「キリスト教弾圧を止めなければ条約改正に応じない」

欧米の圧力によって明治政府は一八七三年(明治六年)二月二四日に五榜の掲示を撤去した。しかし、これを禁教の解除とすることは正しくない。海外向けのダブルスタンダードであった。

「高札の文面は人民があまねく熟知したため、取り除いたもので、キリスト教を認める意図はない」

これが国内向けの説明だった。

「切支丹禁制の高札は下ろされたが、それは文明国家をよそおった表面的なものにすぎなかった。その後の明治政府は日清・日露という戦争への道をひたすら突き進み、国家主義が優先され、「信仰の自由」などあり得なった」(松尾龍之介『絹と十字架 長崎開港から鎖国まで』弦書房、2021年、311頁)


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