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転生したらΩだってそんなの知らんがな ~ユニコーンΩのミリしら転生記オスカー編  作者: 井氷鹿
第1章 ユニコーンΩのミリしら転生記オスカー編

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ボクの方が年上で先輩なんですよ~だ

「今年の茶葉は最高だと叔父上が仰ってたけど、その通りだ。香りも味も最高だ、そう思わない、ね、ギュンター」

 この分だと、ファーストフラッシュは申し分ないな。

 先輩も美味しそうに飲んでるし。

 さぁて、続きと行きますか。

「またここで暮らすことになったんだから、そんなに緊張しないで。ね」

「ここで、暮らすんですか俺」 

 おっと、おうむ返しで聞き返してきたよ。

「ねぇ、本当は君誰なの。見た目はギュンターそのままなのに」

 あらら、今完全に紅茶を吹きそうになったよね。

 そんなに必死に隠さなくてもいいのに。

「でも、この世界に今、ユニコーンは一人しかいないはずなんだ」

「ユニコーン? って、額に角の生えたあの馬?」

「そうだよ。ユニコーンは滅多に見つからない、希少種の中でも特に貴重な馬だよ。Ωμ(ミュー)種の前髪メッシュをユニコーンの角に喩えられてそう呼ばれてるの。君が誕生以来、誰でも知ってるよ」

 今度は目を白黒させてるよ。あの先輩を困らせてると思うと、何だか楽しいなぁ。

「君の髪の毛、前髪の一部がプラチナブロンドなのも忘れたっていうのかい」

 今度は驚いたような顔で、自分の髪の毛をつまんで見てる。

 先輩ったら今の自分の姿も分かってないのか、もしかして。

 しょうがないなぁ、じゃぁ全身を見せてあげるよ。

「いいから、こっちに来て」

 先輩の手を握り、姿見のある隣の部屋へ連れて行く。

「ほら、これがユニコーン、君だよ」

 自分の姿を見た先輩は予想以上に驚いた顔で、自分とボクの顔とを見比べている。

 まぁ、いきなりこんな容姿になったら驚くよね。だからって昔の自分の姿は、何故かぼんやりで思い出せないんだよな。

 ボクは生まれた時からだから、新しい外見に自然と慣れちゃったけど。

 先輩は突然入れ替わったようなものだからな。

 すぐに自分の姿だとは、納得できないよな。

 だからか、何とも嫌そうな顔で髪を摘まんで見ている。困ったような顔で、口をへの字にして。

 それじゃ、次のアトラクションへと行きますか。これは気に入ると思うんだ。

「そんなに、嫌な顔しないでギュンター。ボクたちの部屋に案内するから。そこでゆっくり話そう」

 また先輩の手を握り、寝室を抜けた次の部屋へと連れて行く。

 ここでは、ボク以外先輩が頼れる相手は居ないんだから。

「寝室の隣。ここがボクらの勉強部屋、いわば秘密基地だよ」

「ああ、いい部屋だね」

 そう言いながら部屋を見渡し、一点でその視線が動かなくなる。

 案の定、ラックに納められたサーバに先輩は釘付けになった。

「これも忘れたの?」

 ボクは先輩の為に用意した最新式のセル・コンを装備した、三十インチ液晶ワイドディスプレイの前に立った。

「思い出した? これでゲームしたら最高だよね」

 高校時代、部活の後、一度だけボクの部屋で一緒にゲームしたよね。

 ああぁ、先輩ったらそんな大口開けて。

 じゃぁ、これ見たら腰抜かすのかな。

 あの日ギュンターから託された、セル・パッドを取り出し先輩に渡してみた。

「はい、これは君の携帯ノート型端末(セル・パッド)」 

 あっは、驚いてる驚いてる。

「スイッチ入れたら、上の丸い所を見て」

 その後は驚きながらも、慣れた手つきで先輩はセル・パッドを使い始めた。

 アイコンの中から一つ選び、開こうとする。

 あ、ギュンターの日記だ。

「……ギュンターの日記が出て来た」

「見覚え、ない?」

 先輩は首を横に振る。あるわけないのは知った上でだが。

「読んだら思い出すかもしれない、ちょっと読んでみるよ」 

「うん。じゃ、ボクはこっちで調べものしてるね」 

 ギュンターの日記にどこまで書かれてるのかは、ボクは知らないが、もしかしたら先輩も何か思い出すかもしれないしね。

 ボクは自分のデスクに座りセル・コンを立ち上げ、きっと先輩が一番知りたがっているΩについてのサイトを探すことにした。できれば解剖学的な説明があると、伝えやすいんだよなぁ。

 前を見たら、先輩がセル・パッドを片手にゲーミングチェアの座り心地を確かめてるようだ。気に入ってくれたかな。

「新調したんだよ、その椅子もディスプレイも。気に入ってくれたかい」 

 とディスプレイから顔を出しウインクしたら、先輩と目が合った。

 と思ったらすかさずとびっきりの笑顔を向けられた。

 え、ウインクしただけなのに。

 ギュンターの顔は見慣れてるはずなのに、先輩だと思うと心臓が爆発しそうになる。

 やっば。

 こんなことでドキドキしてたら、これから一緒になんか暮らせないぞ。しっかりしろ、オスカー。


 気を取り直し、クロイツカレッジのサイトにログインして、と。

 Ωの体質と出産についての解説があるはずなんだ。

 どこだっけか。

「殿下、俺の生まれた年は一八八二年ですよね」

「うん。ボクが一八八〇年だから」

 突然どうした。

 あ、ボクの方が年上って知らなかったのか。

「どうかした?」

 へへっ。

 ここじゃ、ボクの方が年上で先輩なんですよ~だ。

 ディスプレイから覗くと、先輩ったら不満そうな顔してこっちを睨んでるよ。

「い、いえ。別に確認しただけです」

 ははっ。かしこまっちゃって。

 年下の先輩って、イイ!

 どうせボクが一ノ瀬だってばれたら、いつもの先輩に戻るんだろうし。それまでの間、ボクが先輩としてふるまってもイイよね。       

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