↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらΩだってそんなの知らんがな ~ユニコーンΩのミリしら転生記オスカー編  作者: 井氷鹿
第1章 ユニコーンΩのミリしら転生記オスカー編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/25

ボクもその覚悟に応えないとね

 先輩がギュンターの日記を読んだら、驚くより強い憤りを感じるだろうなぁ。

 気分悪くするだろうか。

 ちょうど先輩に呼ばれ、ついでにカレッジサイトのΩの研究記事のリンクを先輩のセル・コンへ送る。

 画面に、サイトを呼び出して渡すと、やっぱり先輩はサクサクっと、セル・コンを使いこなし読み始めた。

 Ωには死を意味する出産、それを分かった上で産ませる貴族社会とか、この世界の理不尽さはね。

「Alphaを妊娠した母親は、魔力が無いから子供に命取られて衰弱死、するって事かよ……」

 どうしようもないんだよ、今は。

「ボクの母上は幸いAlphaだったから、お産で亡くなることは無かったけど、事故で亡くなったからね」

 おっと。その話をした途端先輩が驚いたのか急に立ち上がり、デスクに座ってるボクを避けようとして椅子を倒してしまった。同じ境遇だと、伝えたかったんだけど、湿っぽくなっちゃったな。

「ほら、大丈夫かい。ケガしてないよね」

 椅子を起こし、先輩を座らせる。

 先輩、母親の死に同情してくれたのか。特に母親らしいことも、愛情もかけてもらってないから、ボクは平気なんだよ。それより、だ。

「覚えてないとか言ってたけど、セル・パッドは使いこなすし」

 先輩の動きが止まっちゃったよ。   

「この、セル・コンもボクは何も言ってないのに、マウス使って画面をスクロールして」

 慌ててマウスから手を放すが、もう遅いよね。 

「君を責める気は全くないし、怒っても居ないけどさ」

 あはは、見る見るうちに先輩の顔が。

 先輩はどんな姿になっても、先輩なんだな。

「何より、君は本当に貴重な存在なんだって事は、分かって欲しいんだけどなぁ」

 先輩なら、例えユニコーンじゃなくても特別だけどね。

 あらら、すっかりむくれちゃって。

 見た目はまだ十歳のガキだからなぁ、むくれた顔も可愛いんだよねぇ。

「そんなにむくれないで」

 思わず笑みが浮かぶよ。

「だから、ボクを信じて話してくれないかな」

「分かった。先に言っとくが、荒唐無稽すぎてまず信じられないと思うよ」

 そう断って、先輩は自分の身に起こったことを話してくれた。

 何かにぶつかって、死んだ?

 ボクの場合は女性を庇って、車に撥ねられたんだけどさ。

 その女性は妊娠してて、同時に二人の命を救ったわけだ。

 その功績でカリエルが転生先を用意したはずなのになぁ。

 まぁ、それはいいか。

 カリエルによると、先輩はビルから落ちて来た人の下敷きになったって話だ。

 そのお陰で、落ちる前に頭殴られてたのが分かって事件が解決したとか。


 その後はボクと同じだ。目が覚めたらこの世界に来てた。

 違うのは、ボクは誕生して先輩はギュンターになったって事か。

 なるほどなぁ。

 その瞬間、先輩はギュンターの気持ちが分かったんだ。

 毒と知って焼き菓子を口にした彼の決心が。

「動けるようになってからは、この通り。あっという間に回復したよ」 

 そのようだね。

「うん。王室からは治癒魔法の賢者を派遣してたからね。倒れた直後は、本当に危なかったんだ」

「だけど、ギュンターは」

 先輩もギュンターも、辛かっただろうに。

 そう思ったら、先輩を力いっぱい抱きしめてしまった。

「心配無いよ。ギュンターは君と同じで、別の体で生きてるはずだから」

「え? 彼の魂は生きてるってことか」

 うん。だから先輩はもう何も心配しなくて良いんだよ。

「それより、ここに来る前の名前って憶えてる?」

「ああ、日本って国に住んでたんだ。俺の名前は宇條だ。宇條努(うじょうつとむ)」

 宇條先輩、また名前を呼ぶ事が出来るなんて。

「うじょうつとむ」

 口に出して、何度も何度も頭の中で繰り返す。

「今はギュンター・アルフォンソ・フォン・OMEGA・ローゼンベルク。しっかり覚えておいて」

 そして、ボクの婚約者。

「分かったよ。俺の名前は、ギュンター・アルフォンソ・フォン・OMEGA・ローゼンベルク。オーケーだ」 

「ボクはオスカー・フォン・ヴァルハイト。正式名はオスカー・アレクサンダー・フリードリヒ・Alpha・フォン・ヴァルハイト。ヴァルハイト王家の嫡男だ」

 王家の特権で、体現前からAlphaを名乗ってるけどね。

 どうぞ宜しく、ボクの愛しい婚約者さま。

「オスカー殿下。ギュンター・アルフォンソ・フォン・OMEGA・ローゼンベルクです、宜しく」

 そう言って差し出したボクの手を先輩が握ってくれた。


 それから、開き直った先輩は思いついた疑問をどんどんボクに聞いてきた。

「この記事なんだけど、Ωって性別ないのか?」

「性差はあるよ。現に君は男性で、君の母親は女性だったでしょ」

 って言われても、なぁ。Ωの生態なんてわかんないよね。

 まぁ、怒る前提で出すけどさ。ボクのせいじゃないからね、先輩。

 先輩からマウスを受け取り、Ωの生態。肝心な生殖機能図を呼び出した。

「うそ」

「嘘じゃないよ。たまたま君の父上が女性Ωを選んだだけで、男性のΩと子を成した夫婦だって居るよ」

 そこで先輩は予想通り、噛みつきそうな顔でボクを見る。

 ふふっ、だって先輩がバリタチなの、ずっと見てたから知ってるもん。

「ボクとギュンターの子って、絶対可愛いよね」

 うわぁ、真っ赤になっちゃって。頭が大人でも反応は子供なんだね。

「くくっ、ギュンターって困るとそんな顔するんだ」

「アホな事言わないで下さいっ」

 キッとボクを一睨みして、先輩は解剖図に視線を戻す。

 あ~あ~、可愛い顔なのに、眉間にしわ寄せちゃって。

 まぁ、そりゃね、前立腺の裏に子宮とか、そりゃ異次元の話だよね。

 あぁ、おかしいっ。先輩の困った顔と言ったら。

「いきなり……ぶぶっ。こんな解剖図見せられても、納得できないよね」

 笑いが抑えられないよ。

 先輩はまだ機嫌が直らないみたいだ。ふくれっ面も、それはそれで可愛いなぁ。

 ギュンターは自分が嫌すぎて、表情が乏しかったからなぁ。いつもさみし気に笑ってた。

 次は心から笑える人生だといいね。

「で、何かボクに聞く事があるんじゃないの?」

 そう言うと、今思い出したかのように自分のセル・パッドをボクに向ける。

「俺が読むより、殿下が読んだ方がギュンターは喜ぶよ」

 それもそうだよね。覚悟してこれをボクに渡したんだから。ボクもその覚悟に応えないと、ね。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。