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転生したらΩだってそんなの知らんがな ~ユニコーンΩのミリしら転生記オスカー編  作者: 井氷鹿
第1章 ユニコーンΩのミリしら転生記編

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ホーシャムタウンへようこそ

 王子の治める領地の中で一番大きな町、それがこのホーシャムタウンだそうだ。

 ここから町が一望できるんだと、王子に誘われ、二階のテラスへと行ってみる。

 宿屋の前には馬車がすれ違えるほどの大きな街道が走り、入り口正面からTの字に街のメインストリートが伸びていた。

「人口は三千人くらいかな。町には全体の一割くらいが住んでる。田舎町にしては品物も揃ってていい町だよ」

「へぇ~」

 下を歩く町の人が王子に気が付き、手を振っている。

「殿下が来ても、みんな騒がないんだね」

「いい人たちだよ。たまに来る親戚の子供みたいに扱ってくれる」

 話をしながら、王子は手を振り返している。

「親戚の子かぁ」

「でさぁ、いい加減その殿下っていうの、止めてくれない」

 手すりに肘をつき、俺をじっと見つめてきた。

 不味かったか?

「へ?」

「ボクの事、名前で呼んでくれた方が嬉しいんだけど」

 そう言って恥ずかしそうに笑う。

 なんだ。

 はぁ~っ。良かった、怒ってるのかと思った。

 しかし、照れてんじゃねーよ。おまえが顔赤くすると、こっちも照れるじゃん。

「わ、分かったよ。えっと、オスカー」

「何だい、ギュンター」

 あははは……、そんなに見つめられても。

「ま、町を案内してくれるか」

「よし! じゃ、行くか」

 はい、と手を差し出される。

 毎度のことだけど、手を繋ぎますか。

       

 ブルックスさんが営む宿屋『ライオン亭』の正面ゲート間に立つ。

 街道が横に走っていて、正面にホーシャムタウンのメインストリートが伸びていた。

 その道を挟んで、商店街よろしく店舗が並んでいる。

「さて、どこから見て回る?」

「どこからでも、任せるよ」

 街道を横切り、メインストリートへと歩を進める。

 人口三千人の田舎町にしては、店並も品ぞろえも凄いな。

 メインストリートに面した店舗は買い物客で賑わい、店先に商品が並べられた様は差し詰め家屋付きのフリーマーケットとでも呼べそうだ。


挿絵(By みてみん)


 八百屋に魚屋がある。あれ、肉屋が魚も扱ってるのか。同じ狩猟ものって枠か? 面白いな。

「まだ案内してないけどさ、馬で走ってきた街道をずっと行くと港町に出るんだ」

 何だって。

「海があるのか?」

 じゃ、当然貿易も行ってるんだよな。

「船も持ってるとか」 

「じゃないかな。船に関する事はあまり知らない。ハル叔父が把握してるから任せてる。ボクの領地内の一部何だけどさ、貿易が絡むと管理がややこしいから国の直轄になってる。あそこはここよりずっと都会だよ」

「へ~。そこから諸外国へ行けるのか」

「漁船も客船も商船も停泊できるデカい港だからね。メインは貿易港だけど」

 スゲーな、王族。貿易都市を直轄で治めてるんだ。

「海外への渡航ならギュンターのお姉さん、カリーナの嫁いだ先にある港の方が便数が多いぞ。ノーフォーク港は我が国の玄関口だから」

 わぁ、ローゼンベルク家も布陣に隙がないなぁ。貴族社会って、こえ~わ。

 姉ちゃんが凄いのか、ローゼンベルク家が強いのか分からんが。

「そこは直轄じゃないのか」

「いろいろあってね。ノーフォーク家の港だよ。直轄で言えば、王家は国際港は他に数か所、あとは鉱山や……」

「分かった、分かったって」

 そりゃそうだろ、国の長である王家が儲かるようにできてんだから。

「あ、パンの良い匂いがする」

「入ってみる? ティムの実家だよ」

 ああ! パン屋って言ってたな。

 店先に行くと急に焼きたての香ばしいパンの香が強くなる。

 ドアを開けると、期待通り焼きたてのパンが所狭しと並べられていた。

 カウンターで女性客が、ちょうど会計をしていた。

 大きめの紙袋いっぱいに、若い男の店員がパンを詰めているよ。

 バゲットに、カンパーニュっぽい奴に丸い白いパンが三つと。  

「いらっしゃいませ! おや、殿下じゃないですか」

 店の奥から、いかにもな、ビール腹のパン屋の親父って格好のおっさんが出てきたよ。あ、コック帽は被ってないや。

「こんにちは。小父さん、見てっていい」

「どうぞどうぞ、狭い店ですが。お好きなの持ってっておくんなさい」

「こんにちは」

「はい、いらっしゃいませ。ギュンター坊ちゃん。お元気になられてよかったです」

 え? 知ってんだ俺の事。

「あ、ありがとう」

 パンを買った客が王子に笑いかけ、軽く頭を下げ店を後にする。

「ごきげんよう、殿下」

「ごきげんよう」 

 すかさず、接客していた若い店員が声をかけてきた。

「オスカー王子!」

「やぁ、トビー。今年も帰ってきてたんだ」

「ギュンターも、元気になって良かったね」

 と、俺の頭をポンポンする。誰だ?

「ど、どうもありがとう」

「今日のお勧めは?」

 王子に聞かれ、トビーがしばし考える。

「ドライフルーツとクリームチーズを混ぜ込んだ、セーグルはいかがです?」

 と棚の上にある大きめのパンを取って見せてくれた。こりゃ、旨そうだ。

「じゃ、それを三つ。お昼をジム・ミラーの家でよばれるから持って行くことにするよ」

「それはいい、これはずっしりと食べがいのあるパンだから喜ばれますよ」 

 だろうなぁ、ドライフルーツがたんまりと練り込まれてる上にクリームチーズまで入ってるんだ。

 トビーがササっと包み、袋に入れて持たせてくれた。

「ありがとう、トビー。じゃ、また連絡するね」

「はい、オスカー王子。帰りはお供させてもらいますね」

「道中が賑やかになって良いよ」 

 トビーが、ドアを開け店の外まで見送ってくれた。

「トビアス・Alpha・ベイカー。セカンダリのYr8(イヤーエイト)。ティムの一人息子だよ、彼」

 え? 振り返るとまだ手を振ってくれている。慌てて手を振り返す。

「彼、Alphaなんだ」

「ああ。母親はβだったけど子供がAlphaじゃね、助からなかった」

 もう一度振り返ると、ちょうどお店に戻るところだった。

「次はどこに行こう。何か欲しいものとか無い? リボンタイでも探してみる?」

「……」

 彼もそうなんだ。

「ギュンターが気に病むことじゃないよ。平民にAlphaが出るのは喜ばしい事なんだから」

 はぁ? 何だよその思想は。

「体格も容姿も、別格だからねボクらAlphaは」

 王子を見る限り、他と違うのは何となく分かる気がするが。一般人でもAlphaは特別なのか。

「同じくΩも特別なんだよ」

 子供産む道具みたいに、俺には思えるけどな。何が生まれても安パイなのはAlphaの女性だけだろ。だったらそいつらに子供を産ませればいいのに。

「そんなにむくれないで、ギュンター」

 王子が俺の肩を抱き寄せいつになく真剣な顔で俺を見る。

「いつか、誰もが安心して子供を産める世界にするから」

 うん? お前医者にでもなる気かよ。

「こっちの通りにも行ってみる? 家具や馬具の工房などがあるんだよ」

 また笑顔に戻り、俺の手を引いて歩きだす。

「あ、ビートの腹巻。もう擦れてきてたから新しいのに変えたいって思ってたんだ」

「なんだ、じゃぁ一式新しいので揃えるか。学校が始まれば馬も連れて行くから、お揃いで買っちゃう?」

 え? 馬も一緒に学校へ行くのか。

 っていうか、馬具一式買い換えるって、やっぱ王子は王子だな。ブルジョア過ぎるぞ、まったく。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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イラストの二人みたいに、まだ仲良くはなってないね。

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