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転生したらΩだってそんなの知らんがな ~ユニコーンΩのミリしら転生記オスカー編  作者: 井氷鹿
第1章 ユニコーンΩのミリしら転生記編

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12/25

やったろうじゃねぇか

 翌朝は体中の痛みで目が覚めた。

 隣を見たら、少し離れたベッドで寝ていた王子も目を覚ましたみたいだ。

「おはよう、ギュンター。体のあちこち、痛くない?」

 うへぇ~っ。痛いよ、バカみたいに痛い。

 情けない顔をしてたのか、王子がベッドから飛び降り枕元にやって来た。

「どれどれ」

 と俺のおでこに手をやり、髪をかき上げる。

「尻がダントツで痛いだろ。それから脚、特に腿は効いてるね、昨日の乗馬が」

「どうすれば良いんだ? 背中も痛ぇし」

「向こう向いて、痛い所をボクがさするから」

 寝返り打つのも、痛ぇんだよな。

「ここ痛い?」

 と王子が触る。

「痛い」

「じゃぁ、ここ動かして痛みが無い、いつもの状態を想像してみて」

 ん? 何だかめんどうだなぁ。力入れたら、めっちゃ痛いんだよ。

 痛く無い所ってあったっけ、俺の体。

 あれ? 痛みがない場所を探して指とかに意識を持っていったら、なんか楽になった気がする。

「次は、肩と腕だね」

 順番に王子が体を触ってくれて、どうすれば良いかを指示してくれる。

 俺も徐々に痛みを取るコツを覚えてきた。

 自分の体ながら、触ってもらわないと分からないもんだなぁ痛みの場所って。

「どう? 楽になった」

「ありがとう。殿下が触ってくれたおかげで、痛みの箇所に集中できたよ」 

 完全じゃないが、動ける程度には回復したぞ。何かすげぇ、王子の能力。

 やった。ベッドに起き上がれたぞ。体に響くほどの激痛は無くなったな。

 王子が俺に手を貸して、ベッドから降ろしてくれた。

 何せこのベッド、高さが一メートルくらいあるんだよな。

「よしよし、これなら午後の乗馬は行けるね」 

「げっ」

 馬は可愛いが、もうレースはしねぇぞ。

「大丈夫。もう駆けっこはしないよ。今日からは本格的な馬術だから、むしろもっとキツイけどね」

 ははは、可愛い顔で言ってくれるなこのクソ王子。

「やったろうじゃねぇか」


 午前の授業が終わり、乗馬服へ着替えて厩舎へ向かう。

 何と、自転車があったよこの世界。大人サイズだが、立ち漕ぎすりゃ訳ないな。

 昨日と同じ、ティムが先生で今日は馬具の装着を教えてもらっている。

 ティムが自分の馬にやる通り、俺もやってみる。

 う~ん。一回で覚えられるかなぁ。

 足場を使って、鞍を持ち上げ馬の背に載せる。ベルトを締めていると準備が整った王子が、馬を連れてやって来たよ。

「上手にできてるじゃないか」

「そうか?」

「ええ、殿下のおっしゃる通り。坊ちゃんは理解が早いから、あっという間でっさぁ」

 そんなこと言われたら、照れるなぁ。

「じゃぁ、乗り方はボクを見て真似てやってみて」

 王子は馬の左に立つと、手綱を握ったまま鞍に手をかけ、鐙に左足を乗せ、勢いを付けて右足で地面を蹴り、その勢いで体を持ち上げると右脚を回して綺麗に馬に跨った。

 簡単に乗るなぁ。

「さぁ、坊ちゃんの番ですぜ」

 鐙の位置が高いから、こりゃ勢い付けて飛び乗らないと無理か。

 王子との差、わずか二、三センチの身長差がこういう時に出るんだよなぁ。

 よし、行くか。

 馬の左に立って、手綱を掴んで勢いを付け左足を鐙にかけ飛び上がった。

 うまく乗れたぞ。ほっとしてティムを見たら、 

「その調子でっさ、坊ちゃん」

 笑顔で頷いている。

「じゃぁ、パドックまで連れて行きやすんで、坊ちゃんはそのまま乗ってて下せ」

 そう言うと昨日のように俺の後ろに飛び乗り、俺の馬に自分の馬を従えて外に出る。

 横に王子が付いて来ていた。

 厩舎前のパドックのゲートが開いていて、そのまま入って行く。中に入るとティムは俺に声をかけ、下馬して自分の馬に乗り換えた。

「じゃ、練習頑張ってね。ティムはいい先生だから。練習はきついけど、楽しんで」

 王子はそう言うと、颯爽とパドックの先へ走っていく。その先では丸太を積んだ障害物が何箇所か作られて、コースが作られてるみたいだ。

「坊ちゃんも、すぐに殿下と一緒にジャンピングのコースを回れるようになれますよ」

「あ」

 羨ましそうに見てると思われたのかな。まぁ、その通りだけど。

「じゃぁ、始めますか」

 ティムは手綱の握り方、使い方を横に並んでやって見せてくれた。

 両手で手綱を引くと止まる。

 右に引くと、右に行く。左なら左を引く。

 腹を軽く蹴ると歩き出す。

 素直に従う馬が、なんだか面白い。褒めてやる時は首を撫でてやると良いらしい。

 なるほど。

 操作を確認しがてら馬を歩かせ、右、左、歩く、止まる。

 その都度、何度も首を軽くタップし撫でて褒めてやった。

「その調子で、馬と仲良くなってやっておくんなさい」

「うん。この馬、ライトニング・ビート。賢くて良い馬だね」

 ティムはそうですよ、良い子ですと言って傍に寄ってビートの頬を撫でてくれた。

 そうだ。ティムの馬は真っ黒だ。

 ティムの馬が傍に寄ると、ビートが嬉しそうに顔を近づけた。

「もしかして、ティムの馬がこの子のお母さん?」

「そうですよ。よく分かりましたね」

 だって、お互い鼻先寄せ合ってるじゃん。ビートが甘えてるんだ。

「あはは、この親子は特に仲良しだから」

 ティムが愛おしそうに、母馬の首を撫でてやる。

「じゃぁ。あっしに倣ってこのパドックを一周しましょう。横を付いて来ておくなせぇ」

「分かった」

「じゃぁ、両足のふくらはぎで腹を締めて」

 おおっと。歩き出した。うわっ、ケツが。

「腿で鞍を挟んで馬の動きに合わせて尻を上下させて」

 ううっ、これがきついんだよ。

「その調子、腿が自然に挟むようになるまで、体で覚えてくんなさいよ。坊ちゃんは姿勢が良いから、イケるはずでっさぁ」

 言ってくれるなぁ。明日の朝が思い浮かぶよ。

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