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7 [調理開始・異世界の生活水準は?]


茹で上がるのに時間のかかる馬鈴薯を、綺麗に洗い皮を剥かずに、皮に浅く切り口を入れ、寸胴鍋に入れて先に茹でておく事にした


コンロは三つあるが、馬鈴薯と、ケチャップを煮込むのに一つ使い続けてしまう為、結局俺の使えるコンロは一つに限られる

から揚げ、ハンバーグ、ポテトサラダと、順に上手い事作らなければならない


「フォール、この肉はなんの肉だ?」


「それは(ボア)だよ

ここに書いてあるんだけど、カザミには読めないんだよね」


薄茶色をした大きな植物の葉に包まれていた肉には、それぞれ違う文字が書き込まれていたが、俺には読めないのでフォールが説明をしてくれた


「こっちが鹿(エルク)だね」


「牛や豚はないのか?」


「僕の知識とカザミの知識では、呼び名が違うからわからないんだよ

それに同じかわからないけど、あまり食用にはされていないけど、(オーロ)というのと、家畜用の(ピグ)に、鳥かな」


「鳥は鳥なんだな

ピグはピッグっぽいから豚だろうな

オーロはよくわからないが、牛は食用のはずだから、どうだろうか」


「ゆっくり覚えていけばいいじゃないかな」


「それもそうだな

この肉はどれでも使っていいのか?」


「いいよ

どれもラックが朝の散歩のついでに狩ってきてくれたものだからね」


「やるなラック」


「当然!」


犬にもドヤ顔ってあるんだな・・・

ラックが狩って、トトとフォールが解体していたんだろうな


「おゆわいたよ」


「ここに切れ目を入れたトマトを入れて少し湯がくと、皮が剥けるみたいだね」


包丁はまだ危ないからフォールが切り込みを入れてやってくれと伝えておいたが、あのベアをばらした(解体)包丁捌きが、ふと脳裏に浮かんでいた


「卵を黄身と白身に分けたよ」


トトがボールに白身と黄身を分けおわり、黄身の入ったボールをフォールに見せた


「それじゃあ、ここにオリーブオイルを少しずつ入れて混ぜていこうか」


トトは言われた通りに、オリーブオイルを数滴、黄身の方に入れてホイッパーを使って混ぜていく


「なんだか、しわしわになってきた」


「頃合だね、冷水に浸して皮を剥くよ」


フォールは少し急がしそうだが、楽しそうに二人の助手に回ってくれている


俺は取り出したボア肉とエルク肉を、ボア七、エルク三の割合で、ひたすらトントントンと包丁で叩きながらミンチにして、ボールに移した


キッチンに吊るされていたフライパンをコンロの火にかけて、弱火に調節してボアの脂身をフライパンに馴染ませ、玉葱を素早く微塵切りにしていき、温めたフライパンでキツネ色になるまで熱していく


玉葱が透き通る様な黄金色(こがねいろ)になったところで、ミンチの入ったボールに加え、いつもの固いパンを荒削りにしてパン粉を作り、溶いておいた卵と一緒に投入してこねていく


ミンチに粘り気がでたところで、空気を抜くようにパチパチと掌に軽く投げ当てながら、ハンバーグの形に形成して真ん中を指で押して、焼いた時に型崩れしないように一手間加えたハンバーグの種を五つ作り、一度冷蔵庫で休ませる


「白ワインビネガーって何かな?」


冷蔵庫を開いて、ハンバーグの種を入れようとしたところで、白ワインビネガーについてフォールが聞いてきた


「あっ、ないな・・・かわりに酢を使ってくれ」


「酢の買い置きはしていないんだよ」


「酢は町で見かけたが、俺も購入していない・・・そうだ、レモンを絞って代用してくれ」


「わかったよ」


テーブルを見ると、トトはマヨネーズ作りの最後の仕上げに入っていた

塩を指先で少量摘み入れ、レモンを全体に絞りかけながら味を確かめているようだ


フォールが包丁を使いヘタの部分を切り取り、ロロアがそのヘタを取り除いたトマトの皮を剥いて、細かい網で裏ごしをしてから、細かく微塵切りされた玉葱と一緒に鍋に入れて、塩を一摘まみ振り掛け火にかけた


銀のお玉を使い、鍋の中身が焦げないように、慎重に水気を飛ばしていく


裏ごしするのに大変そうだったので、今度ムーラン(裏ごしする調理器具)でも作ってみるかと考えながら、ラックのリクエストを作るため、冷蔵庫から取り出しておいた鶏肉を一口大に切っていく


「から揚げって普段から食べているのか?」


「そうだよ、でもカザミが書置きしていた本にあるような液体は作れなかったから、バジリスクのお肉に小麦粉を振り掛けて揚げただけなんだよ」


「なるほど・・・それよりこの肉、鳥じゃなく魔物だったのか」


「美味しいんだよ」


「そうか、ならその作り方でいいんだな」


俺は醤油がなくて、鶏肉をもみ込み下味をつけれないと思ったが、ラックはサクサクとした衣の歯応えが気に入っているようで、味は二の次のようだ


一口大に切った鶏肉に塩、胡椒をふりかけ、片栗粉や中力粉などはないため、小麦粉をまぶして熱した油に投入していく


たまに裏返したりしながら、しっかりと火を通し、キツネ色に揚がった鶏肉を油から取り出して油きりの上に並べいく


「マヨネーズ完成したよ」


トトがマヨネーズの入ったボールごと持ってきたので、小指の先にマヨネーズをつけて味見をしてみる


「上出来だ」


「へへっ」


綺麗な空き瓶を用意して、その中にマヨネーズを詰めるように頼んでおいた


ロロアの方も、鍋の中にお酢のかわりにレモン汁を絞り入れて、お玉で掬って、ふー、ふー、と冷ましてから味を確かめていた


「なんかすっぱいよ」


「ん?」


お玉に掬ってある冷めたトマトケチャップを少し口に含んでみると、確かに少し酸味が強い


トマトの種に酸味が含まれているが、種は火を通すと酸味が飛ぶ、だが酸味は残ったままだった


「大丈夫だ」


俺は水に砂糖を入れて、少量の砂糖水を作り、鍋の中に入れた


「これで少し水気を飛ばしてくれ」


「わかった、もっとまぜまぜする」


ロロアがトマトケチャップの仕上げに入っている間に、ハンバーグの焼きに入る


マヨネーズを瓶に詰めた終わったトトは、ラックと一緒に揚げたてのから揚げをつまみ食いしていた


ハンバーグの両面をしっかりと焼き色がつくまで焼いて、火を弱めて蓋をし、蒸し焼きにして中まで火を通す


「けちゃっぷ、おいしくできたよ」


ロロアもトマトケチャップを作り終えたようで、味見をしてみると、食べなれたケチャップの風味が口の中に広がった


「うまいな」


「えへ、でしょー」


渾身の出来に、ロロアも満足している様子だ


ハンバーグが蒸し上がる前に、薄くスライスした玉葱と人参を茹でて、水気を切っておく


茹でておいた馬鈴薯に竹串を通して、茹で上がったか確認した


竹串はスッと馬鈴薯に刺さり、茹で上がった馬鈴薯を寸胴鍋から水の入ったボールに移して切り口から皮を剥いていく


水に浸すことで、皮と実が乖離(かいり)し剥きやすくなる、皮を剥いて水気を拭き取った馬鈴薯をマッシャー(食材を潰す調理器具)で潰していく


この時、全ての馬鈴薯がペースト状にならないように、荒く潰して固体を多少残して置くと、食べ応えのあるポテトサラダができる


スライスし、茹でておいた玉葱と人参を潰しておいた馬鈴薯のボールに加え、さらにきゅうりを生のまま輪切りにして加える


ハムが無かったので、かわりにベーコンに軽く火を通してから細かく短冊切りにして、これもボールの中に加えてから、トトの作ったマヨネーズを入れて混ぜ合わせる


最後に塩、胡椒で味を調(ととの)えれば出来上がり


ポテトサラダが出来あった頃、ハンバーグのフライパンの蓋を取ると、肉の焼けた良い香りがキッチンに漂った


「おなかすいた」


「早く食べたい」


ロロアとトトが、香りにつられて俺の背後から声をかけてくる


「皿を出しておいてくれ」


「もうならべてあるの」


キッチンの丸い円盤状の食卓用のテーブルを見ると、すでに皆の分の皿とコップが並べられている


「さすがだな」


「えへ」


俺はテーブルに並べられた皿の上にフライパンから直接、皆の分のハンバーグをのせていき、同じ皿の上に、から揚げも一緒に盛り付け、皿の隅に彩りをよくするために、ポテトサラダをスプーンで丸く掬い、形を調え添え置いた


作り置きされていたレタスのサラダを大きな木製の器に盛り付けて、テーブルの中央に置き、俺には食べらなれない固いパンを用意すれば出来上がりだ


皆、すでに席についていたが、俺が座るのを待っていてくれた


もちろんラックにも椅子が用意されているが、ラック専用に、食器を置けるように長方形の形をした椅子だ


俺は朝食の時も、床でいいのでは・・・と考えはしたが、これがフォールとトト、それにラックには、いつもの食事の仕方らしいので、何も言わずにいた


そして、これは俺の作法なのだが、朝食の時に俺とロロアがしていたのを真似るように、俺たちは皆で「いただきます」と両手を合わせてから食事を始めた




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