はい。コレ ~ライドの番外編~
「なぁ、ライド。
この空洞を抜けると、地竜がいるのか」
「そうだ、この先にやつがいる
気を引き締めていこう」
カザミたちは、広大の空間が広がる入り口の前へとやってきていた。
覗き見える天井は高く、聳え立つ壁が、半球状の空間を造りだしている。
その中央には、冒険者を待ち構えるように、蛇のような大きな体躯を後方へ伸ばし、頭部を高く上げ、入り口へと視線を向ける地竜は、警戒を怠ってはいない。
「あれが地竜か」
カザミが地竜の姿を捉えた。
「あいつだ、なぁカザミ
俺、この戦いが終わったら、A級冒険者に昇格して、彼女にプロポーズするんだ」
「そうか、結婚じゃなくてよかった
危うくフラグが立つとこだった」
「フラグ? なにをいっている
俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」
「なぜ言い直した!
まだプロポーズの段階なんだろ」
「すでに婚約を済ませてある
あとは、ヤツを倒して一流冒険者として彼女に」
カザミは、ライドの台詞がいい終える前に、割って入った。
「上書きしろ、このままじゃ、お前は間違いなくここで散るぞ」
「上書き? なにをわけのわからないことを」
「いいからするんだ、最後の台詞がそれでいいのか!」
「あ、あぁ。そうだな、ここは、この台詞のほうがふさわしいだろ
俺たちで、地竜を倒して英雄になろうぜ」
カザミは、壁際に身を寄せるライドに、壁ドンをかまし言い放った
「なぜお前の立てたフラグに俺を巻き込んだ――そこは」
カザミが言葉を口に出そうとしたが、入り口の先から、地竜が地を這うように向かってきた。
「まずい、ライド下がるぞ」
カザミの視線の先にライドの姿はなかった。
地竜の動きと同じくして、盾を構えたライドは、地竜に突撃していた。
「下がれライド!
体制を立て直すんだ」
「俺、この戦いが終わったら結婚するんだー!」
「くそー!」
ライドとカザミの叫びが、ダンジョンに響き渡った




