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クラスから追放された最弱の俺。最強スキル【コピペ】で成り上がる。  作者: あーる


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3

 城門を背に、異世界の城下町へと足を踏み入れた。


 石畳の道には、様々な格好をした人々が行き交っている。


 屈強な鎧姿の戦士、ローブを纏った魔術師風の人物、荷物を運ぶ商人、そして俺と同じような、どこか頼りなげな服装の者もちらほらいる。


 行き交う人々の話し声や、店の看板らしきものに書かれた文字に意識を向ける。


 読めない文字もあるが、なぜか一部の言葉は頭の中で自然と意味が理解できた。


 これも召喚の影響だろうか。


「おい、聞いたか? 西の森のゴブリンが増えてるらしいぜ」

「まじかよ。ギルドで討伐依頼出てないか?」

「銅貨10枚ぽっちじゃ割に合わねえよ」


 断片的な会話から、「ギルド」という存在、そして「銅貨」という貨幣単位があることを知る。


 ゴブリンという単語には少し緊張したが、同時に、この世界にも依頼や報酬といったシステムがあることにわずかな希望を見出した。


 しばらく歩き回り、人通りの少ない路地裏を見つける。


 よし、ここで試してみよう。


 例のスキル、【コピーアンドペースト】を。


 俺はまず、足元に転がっていた手頃な大きさの石ころに意識を集中した。


(コピー!)


 すると、脳内にふわりとイメージが浮かんだ。


《[石ころ]をコピーしました。クリップボード容量:1 / 10》


 メッセージと共に、コピーした石ころの質感や重さといった情報が、頭の中の仮想的な「クリップボード」に保存されたような感覚がある。


 容量に上限があるということは、無限に何でもコピーできるわけではないらしい。


 次に、少し離れた地面に向けて念じる。


(ペースト!)


 瞬間、MPゲージがほんのわずかに減少するのを感じた。


 視界の端に表示されているステータスウィンドウのMPが、50/50から49/50になっている。


 そして、目の前の空間に、コピー元の石ころと寸分違わぬ石ころがポトリと現れた。


「……おおっ!」


 思わず声が出た。


 本当にできた。物質の複製だ。


 しかも、ほとんどMPを消費していない。


 次に試したのは、自分自身のステータスだ。


 ステータスプレートを思い浮かべ、「筋力:12」の部分をコピーしようと念じてみる。


《対象をコピーできません》


 ダメか。


 やはり、自分の能力値を直接いじるような、そんな単純なチートではないらしい。


 気を取り直して、近くの壁に貼られていた古びた張り紙へ目を向ける。


 「迷い猫探してます」といった内容だろうか。


 その文字に意識を集中した。


《[張り紙のテキスト情報]をコピーしました。クリップボード容量:2 / 10》


 今度は成功した。


 試しに頭の中で「ペースト」と念じる。


 すると、さっき読んだ張り紙の内容が、そのまま脳裏に浮かんできた。


「……情報もいけるのか」


 物を増やすだけじゃない。


 これは覚えておこう。


 そして、最後に試すのは……これだ。


 俺は懐から、餞別として渡された銅貨を一枚取り出した。


 これをコピーできれば、当面の生活費くらいは稼げるかもしれない。


(コピー!)


《[銅貨]をコピーしました。クリップボード容量:3 / 10》


 成功。


 続けて、手のひらに向けて念じる。


(ペースト!)


 今度は、石ころの時よりも明確にMPが減る感覚があった。


 MPが49/50から44/50になっている。


 そして、手のひらにもう一枚の銅貨が現れた。


 見た目も重さも、本物と区別がつかない。


「やった……!」


 思わず声が漏れる。


 だが、二枚を並べて眺めているうちに、妙なことに気づいた。


 表面についた細かな傷まで、まったく同じなのだ。


 当然といえば当然だ。


 これは「似た銅貨」を作ったのではなく、目の前の一枚をそのままコピーしたものなのだから。


 同じ傷、同じ擦れ方をした硬貨が何枚も出回れば、さすがに不自然だ。


 それに、石ころの時よりMP消費も明らかに大きい。


 生活費を無限に生み出せる、なんて都合のいい話ではなさそうだ。


 少額を非常時に使うくらいならともかく、金策として多用するのは危険だろう。


 それでも、スキルの可能性は十分に感じられた。


「よし……!」


 俺は銅貨を握りしめた。


 まずは、情報収集と当面の目標設定だ。


 さっき聞いた「ギルド」という場所へ行ってみよう。


 冒険者登録ができれば、依頼を受けて金を稼いだり、この世界のことをもっと知ったりできるかもしれない。


 俺は路地裏を出て、人に尋ねながら、やがて一つの大きな建物にたどり着いた。


 木製の重厚な扉の上に、「冒険者ギルド」と書かれた看板が掲げられている。


 ここが目的地に違いない。


 少しだけ深呼吸をして、扉を押し開ける。


 中は酒場のような喧騒に満ちていた。


 むっとするような汗と酒の匂い。


 屈強そうな冒険者たちが、大きなジョッキを片手に談笑したり、依頼の張り紙が貼られた掲示板を眺めたりしている。


 場違いな感じは否めないが、ここで引き返すわけにはいかない。


 俺は意を決して、奥にある受付カウンターへと向かった。


 カウンターの中には、栗色の髪をポニーテールにした、快活そうな女性が座っている。


「あの、すみません。冒険者登録をしたいんですが……」


 俺が声をかけると、受付嬢はにこやかな笑顔を向けた。


「はい、冒険者登録ですね! ようこそ、冒険者ギルドへ! では、こちらの用紙にご記入いただけますか? お名前と、それから……スキルなどもお伺いしてよろしいでしょうか?」


 来たか、スキルの質問。


 さて、どう答えるべきか。


 【コピーアンドペースト】と正直に言うべきか?


 それとも、何か適当なことを言って誤魔化すか?


 あの城での扱いを考えれば、正直に話すのは得策ではないかもしれない。


 俺は一瞬、言葉に詰まった。

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