第159話 この人は誰?
視界は度々見えなくなったりしたけど、どうやらその間時間経過しているみたいで段々視界の人物は少しづつ回復しているのか、たまに包帯だらけの手が視界に入ったりしているし、少しなら会話も出来るようになったようで、自分よりも他の住人の治療を優先してほしいとロンダンさんに伝えていたのでこの人物の治療は最後の方になりそうな事はわかった。
視界の人の心の声では、初めは怪我のせいか混乱していた思考も今はマシになってきているのがわかるんだけど、看護してくれてる天族との会話が噛み合ってないというのか、何か様子がおかしいんだよね。
例えば、
「髪も傷が治ったら綺麗に整えましょうね。」
‘元から短い方だから気にしなくてもいいんじゃないか?’
とか
「肌も綺麗に治るといいのですが。」
‘騎士団に傷は日常茶飯時だから気にしてない’
この人物が騎士団の誰かって事が分かった瞬間に、これは師匠なんだと思ったんだけど、さっきの会話の例を考えるとおかしいんだよ。
だって師匠の髪って私みたいに後ろに三つ編みをした髪型だったから、元から短い方って答えが可笑しいし、看護している人のセリフが外見を気にした内容が多いのは女性だから気遣ったと思うんだけど、傷は日常茶飯時って言ってるし。
この人物はもしかして男性?女性に間違われてるとか?
いや、それっぽい人は見なかったと思うんだけどな。
この人物が男性なら生きてる筈の師匠はどこに?
それが判明したのは身体をやっと動かせるようになってロンダンさんがやってきた時だった。
「随分待たせてしもうたな、これで直すのはお主で最後じゃ。」
そう言って回復ポーションを振りかけた。
身体の痛みが無くなったのか腕の包帯を外していく、そして出てきたのは少し筋力は落ちてしまってはいるようだが傷一つない女性の腕女性の腕だった。
「は?」
疑問符を上げたのは視界の人物。
慌てて身体中に巻かれていた包帯などを乱暴に剥がし始める人物にロンダンさんと看護していた人が驚いていることも気にせず、段々あらわになる姿に混乱している。
「だっ、誰かっ鏡か何かはないかっ!」
「えっ!あっ、ありますよちょっと待って下さいっ。」
看護の人が慌てて近くの家から手鏡を持ってきて人物に手渡す。
鏡を覗き込むとそこに映っていたのは、戦闘の後遺症か髪はボロボロになっているし多少窶れてはいるが師匠の顔だった。
ただ一つの事実は除いて。
「レベッカ?」




