9 エリートのご訪問
泥棒騒ぎの後は何事もなく穏やかに過ごしていた。それでも、やっぱり気持ちのいいものではない。毎日、倉庫や、道具置き場の鍵の確認を怠らない。
伯父さんが、泥棒を聞きつけ、報告するより早く様子を見に来てくれた。
「やっぱり、物騒だよな。」
「はい、だから門扉でもつけようかと。」
「そうだな。今回は泥棒だったし、慣れてない奴らだったんだろう。」
「はい。」
「今、流行りの奴でなくて良かったよ。」
「本当に。ケンタが襲い掛かりそうでしたから、気がきじゃあ、ありませんでしたよ。」
「ケンタ、お前は強いだろうが、気を付けるんだぞ。」
「ワン。」
伯父さんは、一人でブツブツ言いながら帰って行った。
すぐに、おふくろから連絡があった。
「リンゴ泥棒だって。ダブル太は大丈夫なの。」
「ダブル太ってなんだよ。」
「勘太とケンタよ。いいコンビ名でしょ。」
「母さん、冗談を言うために電話してきのかよ。」
「あんたたちが心配だったからでしょ。それでね、兄さんたちと相談して三人で門扉を造ることにしたから。勘太は、兄さんに従ってね。後、送った荷物の中に住民票の異動届とか入ってるからね。49日までに印鑑登録しておきなさいよ。じゃあね、気を付けるのよ。あと、そんなに美味しいリンゴなら、こっちにも送って頂戴。」
言いたいこと言って、さっさと電話は切れた。
おふくろたちで門扉を造るって、造ってくれるってことか。
リンゴを送れってことだよな。
住民票と印鑑登録か。
どれが、メインだ。
明日は木曜日で農協の日だし、ついでに送ってやるか。実印も三文判はなア。明日、一気に回ろう。門扉も確認しないとだよな。伯父さん明日は家にいるかなあ。
「あっ、まだ仏壇のこと聞いてないや。」
明日のことを考えていたら、チャイムがなった。ソーと陰から覗いた。かなり、泥棒のことが堪えているらしい。やっぱり、門扉は必要だ。
ケンタが、唸らない。、危険ではないようだ。ケンタを伴って来訪者の元へ。
「こんにちは。」
「突然で申し訳ございません。」
来訪者は、スーツ姿の二人の男性だ。名刺を差し出され、いただいた。いただいた名刺には、
「林野庁?」
「はい。」
じいちゃんの山の件らしい。取り合えず、上がってもらう。危機感0じゃあないぞ。ケンタが、警戒してないのが分かったからな。
お茶をだそうとしたら、辞退された。じいちゃんに線香を立ててから、話始めた。
地図を取り出し、説明される。
俺んちの両隣が国有地で国有林らしい。それは看板に書いてあったから知ってる。でも、手前もだったとは。国有林は、お隣までだそうだ。
裏山の向こうは川で崖らしい。どこにも隣接していない。
俺の山は、家も含めると気球のような形らしい。山がまあるい気球の部分だ。その下のかごの部分が、宅地になっているらしい。その境目に小さいが小川があるらしい。そこには、湧水があり水源らしい。初めて聞く話ばっかりだ。
それで、国有地との境には左右ともフェンスで囲ってある。と言うことは、国有地から俺んちに誰かさんが入ってくることはないらしい。それは安心だ。
一つだけ疑問がある。
「どうして国有地の真ん中が個人の名義になっていつのですか?」
これは、調べても分からないらしい。ただ、じいちゃんの名義は、合法でありなんの問題もない。良かったよ。
長々と話されたが、要は、
「ぜひ、国に売ってください。」
じいちゃんにも、何回か話はしたらしい。でも、いつも断られていた。
「まだ、祖父が亡くなって、49日もたっていません。相続も終わっていません。これは、私一人では決定できないことです。」
「相続の条件も把握させていただいております。もし、売っていただけるのなら、皆さんのお気持ちに沿えるよう考えさせていただきます。」
なんか、じいちゃんが、ないがしろにされた気がして良い気持ちではない。
「お話は、分かりました。49日に集まりますから、その時に相談しますのでで、今日の所はおかえりください。」
大分、粘られたが、帰ってもらえた。
持ってた資料は貰った。まだ山を探索していないけど、なんだかなあ。でも、国としては、続き地の方が、管理しやすいよな。でも……。
伯父さんに電話した。明日、相談することになった。
「やっぱり、門扉は必要だな。なあ、ケンタ。」
「ワン。」




