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じいちゃんの飼っていた犬が新種だった。でも、なんだか、おかしい????????  作者: 田舎娘


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45/46

 45 時は来た。扉は開く。

【時は来た。扉は開く。】


「ケン太、聞こえたか。」

「ワン。」



「妻の伝言、しかと受け取った。礼を言う。」

 初代様の台座がほのかに光っている。ヒカリ苔の灯かりではない。

「警戒しなくてもいいぞ。我が子孫よ。」

「はじめまして。日吉勘太です。あと、ケン太です。」

「ワンワン。」

「疑問がが山ほどありそうだな。全て答えよう。」


 勘太は、何から聞いて良いのかわからなかった。ただ一つ、どうしても聞いておかなければならないことがあった。

「ケン太は、こもまま俺といられるのですか。」

「ケン太が望むにであればな。」

 ホッとする。

「ケン太は、お前といることを望んでおる。そうだな。」

「ワンワン。」


「未だ、混乱しているようだな。」

「はい。」

「ならば、我が勝手に話そう。」



 我の名はカイジン。名前のみだ姓はない。我は、ある日鍵を手の入れた。そして、ある扉を通ってこの地に来た。共は、ケン太の祖だ。我の故郷は、社の神の言う見えざる地だ。この地は、魑魅魍魎と戦っていた。我は、その戦いに加わった。そして、この山の頂上から魑魅魍魎が現れるのを知った。山には社があり、一柱の神が宿っていた。神に問うた。

「神よ、なぜ神ならね所業を致すのだ。」

 神は一言、寂しそうに言ったのだ。

「疲れた。」

 それからは、我は、神と共に有った。


 我が死んだ時、我が通ってきた扉に鍵をかけ、我の亡骸はここに安置された。神も、社に帰り、社に鍵をかけた。二つの鍵は、我らの子供たちに託された。

 神は、この地の永続を、子供たちに願った。神も誓った。この地に我らの子孫がいる限り、山の恩恵と平和を。


「まあ、こんなところかな。して、質問はあるか?」



「伊勢の苗字はどこから。それに台座は異世になってます。」

「この地に来た時、魑魅魍魎と戦っていたのは伊勢の大社の人達で、一緒に戦った。着ていて服が似ていたので仲間だと思われたようだ。そして、時の権力者からこの山を仲間と共に賜った。しかし、我以外の者は伊勢に帰ってしまった。我は、「伊勢様」と呼ばれ山に住み着いた。それ以来、伊勢となった。しかし、妻の神や子供達と

『伊勢ではなく、異なる世界から来たのだから、本来は異世かもな。』

 たわいもない会話だったが、台座に「異世 界人(イセ カイジン)」と刻まれた。

 今ならわかる。我は、望郷の念があったのだろう。」


「いらっしゃらない方は、どこに埋葬されたのですか。」

「あれらは、妻や家族と共にいる。」


「ここに埋葬されなくてもいいのですか。」

「もちろん。愛する者と共に有ることは自然だ。我は、敵わなかったがな。」


「貴方は、異世界人ですか。なら、ケン太は?」

「神の言う、見えざる地から来たものだ。それを現代は異世界と呼ぶのだろう。ケン太の祖先もそうだ。お前とケン太は同じ境遇と言うことだ。見えざる地の人の子孫と見えざる地の魔物の子孫だな。ただ、ケン太には少しの前世の記憶がある。」


「魔物の子孫?」

「この地では使えないが、見えざる地は魔法が使える。我もあれも魔法が使えた。優秀な魔物で相棒であった。記憶も子孫に引き継がれていた。しかし、この地で、段々と血も薄れていき、記憶も少なくなっていった。

 妻は、ここへの心情が強かった。そして、神だ。妻はほんの少しの神力を山に与えた。それ故、山は意思を持ってしまった。我は、その山に条件を付けた。我が一族が住まうまでと。我も優秀な魔法使いだっだのだ。

 我が相棒は、我と共にこの地で過ごしてくれた。そして、今がある。」


「この鍵は?」

「見えざる地に通じる扉の鍵だ。今も使える。イヤ、使えるようになった。我は扉を封印した。扉は、鍵が無くても開くのだ。だが、見えざる地からは開かない。鍵を持っているもののみ、行き来ができる。鍵を持たぬまま扉をくぐる者がいた。己の意思でならいい。しかし、そうでない者もいた。助けを求める者に、こちらから扉を開けても、その者は帰ってこれなかったのだ。故に封印した。ただ、封印は、封印を解く条件が必要だった。条件は社の鍵が開くことだ。そして、社の鍵は開いた。」


「鍵を持たない者は、この地にもやってきたのですか。」

「来た。だが、不思議なことに、湧水までしか行けなかった。神のこの地の平和を守る誓いだろう。見えざる地は、そうではない。一度、向こうへ行った者から手紙が投げ込まれたことがあった。そこに、「見えざる地で元気にしている。」とあった。


「伊勢家の者が、この地を去るとただの山になると聞きました。」

「そうだ。山はただの山になる。当然、扉もなくなる。永遠にな。」


「貴方方は、それでいいのですか。」

「良い。我々も社も山も足かせになってはならない。」


「その他に、扉を閉める方法は?」

「ある。扉を開け鍵を投げ込み閉めればいい。簡単なことだ。」


「見えざる地への扉は、ここだけですか。」

「そうだ。我の生きた時代にはいくつもの扉があった。しかし、今はここだけだ。見えざる地に行って帰ってこれる者も、鍵を持つ者だけだ。」


「鍵は、二本だけですか。」

「ワレの知る鍵は二本だけだ。だが、鍵は他にもある。今は失われた扉の鍵だ。我は、それらの所在は知らぬ。」


「ケン太も持っている?ブラウニーは?」

「ケンタも鍵を持っているだろう。二つの鍵は生きている限りお前たちの物だ。他の者が手に取ろうと、我らに認められた者以外は無用の鍵になる。ブラウニーも見えざる地の妖精だ。しかし、いつ、この地に来たのわからない。突然来て、あの家を気に入って住み着いた。妖精は寿命が無い。我の時代よりあの家を守ってくれた。ただ、ブラウニーには鍵は無い。」


「扉は?」

「すぐそこにある。決めるのは勘太、お前ぞ。」


「・・・。」

「では、達者でな。我らは見守っている。」


 初代様は、静に消えていった。

 霊廟にはヒカリ苔が光を放っているだけだ。


「ワンワン。」

「そうだな。帰ろう。」





読んでいただいて、ありがとうございます。

次回が、最終話になります。勘太の決断は・・・。

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