46 勘太の決断
とうとう最終話になりました。勘太は、どんな決断をしたのでしょうか。
初代カイジンは、消えていった。
勘太とケン太は霊廟に立ち尽くす。しかし、時間が過ぎていくだけだった。初代様の気配も、もうない。
「ワンワン。」
「帰るか。」
「ワン。」
家では、ブラウニーがお掃除ロボと一緒に待っていてくれた。お掃除ロボは玄関の近くを回りながら働いている。
「ブラウニー、ロボ。ただいま。」
「ワンワン。」
じいちゃんとばあちゃんに報告をする。
「誡さんと海人さんを霊廟に納めてきました。色々なことを初代様に聞きました。驚きですが、心ん中で感じていたことと思っていたことと同じでした。でも、歴代の当主は必ず霊廟にいるのではなく、家族と共にいていいそうです。」
じいちゃんとばあちゃんを同じお墓に納められる。なんだか嬉しい。離婚しても、思いは通じていたと思うから。
「ケン太、母さんたちになんて話そうか。」
「ワンワン。」
俺の説明は簡単にした。伊勢家の墓が見つかって、歴代のご先祖様がいたこと。誡さんと海人さんは、無事霊廟で眠りについたこと。でも、中には、家族と眠ることを選択して、そこにはいないご先祖様がいること。
伯父さん達も、あっさりしたものだった。
「なら、母さんを父さんと埋葬してもよさそうだな。家は、墓が無いから作ろう。それまで、勘太にお願いだな。」
「これで、一連の騒動は決着したな。良かった。良かった。」
伯父さん達は、伊勢家の霊廟に行かないのか?
「勘太、俺たちだって伊勢家の末裔だ。何となくわかる。むやみに山に入ってはならない気がする。」
「そうそう、勘太が伊勢家の当主だ。俺たちは、ここから、ご先祖様の冥福を祈る。それでいいんだ。」
おふくろでさえ、
「あんたが納得したらそれでいいのよ。ご苦労様。それより、野菜や果物を送ってよ。ちびっ子たちが、勘叔父ちゃんのが食べたいって、騒いでるわよ。お願いね。」
いっぱい送ってやったさ。
ここ最近、畑を放り出していたせいか、収穫が大変だった。でも、これもご先祖様たちの賜物なんだ。大事にしようと思う。ケン太も、手伝ってくれた。ブラウニーまで、果物の汚れを取ってくれている。
朝起きて、美味しい珈琲を飲んで、ケン太とチーンして、お山にも挨拶する。
そして、考えること数日。勘太は決めた。
「ケン太、明日山に行こう。」
「ワンワン。」
「ブラウニー、留守をよろしく。」
「パタパタ。」
ケンタはいつものルーティンだ。
それが済んだら、お社だ。ケン太の鍵で扉を開ける。
「俺は、決めました。見守ってください。」
「ワン。」
もう、何も起こらない。
手水舎の間でお清めして、霊廟に入る。もちろん足元も清めた。
相変わらず、ヒカリ苔の灯かりが優しい。
初代様のカイジンに挨拶した。だが、初代カイジンは現れない。
扉を探す。すぐ見つかった。
勘太は、鍵を取りだし、鍵穴に入れる。すんなり入った。
「ケン太、これが異世界の鍵か。」
「ワンワン。」
ゆっくり、慎重に回す。
扉は開いた。
勘太が決断したのは……。
それを知っているのは、勘太、ケン太、ブラウニーしかいない。
一応、これで完結となります。
ですが、いつかお会いできればと思っております。
つたない物語を最後までお付き合いいただきありがとうございました。




