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じいちゃんの飼っていた犬が新種だった。でも、なんだか、おかしい????????  作者: 田舎娘


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39/46

 39 鍵が開いた

 天気は良好。


 これから伊勢家のお墓探しだ。

 一番疑わしい洞窟に行くことにした。今日も奥に行けないかもしれないが、【時は来た】を聞いたのは洞窟を出た時だ。奥に行けなかったら、お社に行ってみようと思う。今のところ、鍵穴があるのはお社だけだ。


 留守番をブラウニーに頼み、ケン太と山に入る。湧水でケン太の水飲みだ。お花畑では、果物のつまみ食いだ。山に入るルーティンを済ませる。

 一度来ているので、少し歩きやすくなっている。ただ、今回の荷物に梯子があるんだ。洞窟は、登りは良いんだ。降りるのに苦労したんだ。運動神経が平凡な俺では、怖かったんだ。


考えてみてくれ、いくら短いとはいえ、ボルタリング見たいなところを降りるんだ。前は、必死だった。だから、今回は用意した。もちろん置いてくる予定だ。お花畑を出てから狭い山道を梯子を背負っての登りは大変だった。でも、何とか着いた。

 ケン太は、登りも降りも一飛だ。かっこいい雄姿だった。


残念ながら、洞窟の奥は行けなかった。ここではないのか。

この後は、お社だ。



お社まではすんなりと着いた。驚いたことに、お社がきれいになっている。

「ケン太、もしかしてブラウニーか?」

「ワン。」

家の住民は、オレ以外有能だ。


お花畑のお花と果物を供える。手を合わせて、

「おはようございます。今日は、鍵を合わせていただきます。」

ケン太の鍵を外そうとしたら、嫌がった。なので、先に俺の持つ鍵を試してみた。やっぱり、回らない。

ケン太の鍵はバネになっていてのびるフォルダーがついている。ケン太は、首についていれば嫌がらないようだ。

首につながったまま、鍵を回す。

回った。


俺は、ゆっくりお社の扉を開ける。其処には、一体の女性の姿があった。岩に直接彫られているようで、動かすことはできない。でも、汚れている。俺とケン太は蜘蛛の巣を払ったり、断りを入れて、全体をお掃除した。

「苔を取らせていただきます。」

失礼ではあるが、新品のタワシで全体をゴシゴシさせてもらった。

汚れを落とし、仕上げは湧水を含んだ布で拭いた。途端・・・。


「我が子孫よ。礼を言います。」


驚いて、返事もできない。

「フフフ。驚いていますね。」

「ハイ。」

やっと、声が出た。


「童は、結界を司る神。そして忘れられた神である。」

「は、初めまして。日吉勘太と申します。こ、この犬はケン太です。」

「ワンワン。」

やっとこさ挨拶した。


俺は聞きたいことはいっぱいあったはずだ。でも。ただただ驚くだけで、何もできない。俺とは反対に

ケン太は、臆することもなく吠えている。

「ワン。」「ワンワン。」

「ケン太。良い名を貰いましたね。お前には長く苦労を掛けました。まもなくお前の故郷の扉も開くでしょう。帰りますか?帰るのなら、元の姿に戻しましょうか。」

「ワンワンワン。」

「そうですか。お前は既に決心しているのですね。」

神とケン太が話をしている。俺は、ハッとした。


「待ってください。ケン太は、ケン太は………。連れて行ってしまうのですか。」

「いいえ、ケン太はあなたと共にいることを望みました。」

良かった。ケン太は、いてくれる。でも、

「ケン太は?あなたは?」

「先に言いました。童は、結界を司る神。そして忘れられた神である。そして、日吉勘太よ。そなたは童の子孫ぞ。」

「では、むかし話は事実なんですか。」

「概ねは事実である。しかし、童の言葉がこれほどに重い言葉になるとは思わなんだ。伊勢家の子供達には、苦労を掛けてしまった。童は、子供たちの幸せを望んでいたのにな。」

「では、この山は?」

「確かに、山は童の結界で守られておる。よそ者は受け入れぬ。故に山は豊かなり。」

「でも、じいちゃんは山に入ってました。」

「お前の言う、お花畑までだ。それは、童の意思ではない。山の意思だ。」

「山にも意思がある?」

「そうだ。お前のじいちゃんは、違うの。七海の夫は、七海の為に山に願うた。妻の心を無駄にしないでくれと。山は受け入れただけだ。そして、お前が来た。山は喜んでおる。」

「山はこれからも意思を持ち続けるのか。」

「山に我が子孫のいる限り。」

「子孫が居なければ、どうなる。」

「どうにもならない。ただの山になるだけだ。気にすることは無い。山は、童の心情とちょっとの神力、それと、童の夫の生命力で意思を持ったのだ。深く考えるな。深く考えるほど呪いの物語になるようだからな。」

「それは………。」

「あの者は、山に受け入れられなかった。どうしてかわからぬ。だが、あの者は山を一番理解していたのかもしれん。今は、どうでもいいことだ。山は許したのだからな。」

「貴方は、全てご存じなのですね。」

「童は忘れられた神ではあるが、この地のことは見えている。山がこの山である限りな。」

「山がただの山になったら、どうなるのですか。」

「先にも言った。どうにもならない。」

「でも、山が魑魅魍魎を抑えていると、聞きました。」

「むかし話だな。魑魅魍魎は、既にお前たちの住む世界に蔓延しておる。今更、結界で抑えることなど必要ない。」

「どういうことですか。」

「魑魅魍魎は、人を惑わすことを知ったのだ。現代は、魑魅魍魎と人の一対一の戦いをしているのだ。さて、どちらが勝利するのか、興味深いのう。」

「魑魅魍魎は人の心に入り込んでいる?」

「そういうことだ。そろそろ童は行くとしよう。もう良いか?」

「伊勢家の墓標はどこにあるのですか?」

「もうそこにある。夫にあったら伝えて欲しい『今も、変わらぬ愛を』とな。」

「わかりました。」

「勘太よ。好きに生きよ。山に家に人に縛られるな。童はここに子孫がいる限り見守り続けよう。子孫の幸を願って。」

「はい。お願いします。」

「勘太、ケン太、ブラウニー。童を思い出し、むかしの在りし姿を取り戻してくれたこと感謝する。湧水やお供え物、花は何よりの供物になった。達者でな。」


神は岩に吸い込まれるように消えていった。

「ワンワン。」

ケン太の呼ぶ声に我に返る。俺は、ケン太と山を下りた。


家について、じいちゃんとばあちゃんに報告する。誡さんと海人さんにもだ。心なしか、家の空気が優しくなった気がする。


お掃除ロボが動き出す。その上にブラウニーが乗っている。

いつもと変わらない日常があった。






読んでいただいて、ありがとうございます。


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