33 勘太の疑惑と洞窟の発見
お花畑は、相変わらず、見事にきれいに咲き誇っている。
「ケン太、ここはいつ来ても見事だな。」
「ワンワン。」
蜂の巣を迂回して、お花畑の上の方に行く。お花畑の切れ目になっている果物が、見たことのない物だった。
「ケン太、この果物知ってるか?俺は、見たことも食べたこともないぞ。」
ケン太が木に向かって吠え、昇る。
「ワンワン。」
ケン太が実が二つ落とした。ケン太は、その一つをおいしそうにかじっている。
「ケン太、美味しいな。でも、やっぱり、初めての果物だ。なんて言うんだ。」
「クォ~ン。」
「お前…。ご馳走様。」
木に手を置き、お礼を言う勘太だ。
勘太は、先生の話を聞いた後、じいちゃんちで暮らした時間を思い起こしていた。先生は、持ってきた資料を置いていったんだ。それとおやじが弁護士さんに頼んだ謄本等に嘘はないはず。読めば読むほど、先生の話が本当に思えてしまった。でも、そうなると、俺は、神の子孫か?あまりにも現実離れしている。先生とのつながりは本当だか、むかしむかしの話は、造り話だと思っていた、イヤ、思いたかった。
勘太は、これまでのことを事実として思い出す。
●先生を拒むお山。
●ばあちゃんの出現のこと。
●ご先祖様のこと。
●はちみつや湧水のこと。
●碌な掃除をしてないのに、綺麗な家。
●伊勢家の名前
●先生の昔話にも山にもある社。
●ケンタのこと。
これまでにチョットの不思議は結構あった。
「ケン太、この山もばあちゃんも不思議だよな。でもなあ、末っ子の言う異世界なんてあるわけないよな。」
「・・・。」
「ケン太、こっちに小道があるぞ。行ってみよう。」
「ワン。」
小道は、これまでとは違い、草や枝が邪魔をしている。かろうじて、道だったとわかる。
「けんた、この道は最近人が通った形跡がないよな。じいちゃんは来なかったのかなあ。」
「ワン。」
「どうしてだろうな。」
「・・・。」
「ケン太、お前は何かを知っているんだろうな。」
俺とケン太は、見つめ合った。ジーと見つめ合って。
「俺たち、何をやってるんだろうな。ケン太、お前が居たからの今の俺だ。ケン太が、知っていようと知っていまいと関係ないか。」
「ワンワン。」
ケン太と話しながら山を昇る。頂上までもうすぐのところで、絶壁の岩に阻まれた。これ以上は、進めない。しかし、
「これ以上、道もないし進めないな。でも、なんかありそうだよな。」
「ワン。」
ケン太もそう思うらしい。この岩を登った所に道が通じているのか?岩には、草や蔦がはびこっている。岩もどこまでの高さかわからない。
「ケン太、今日はあきらめて帰るか。」
ケン太は、蔦を口に咥え引っ張っている。
「ワンワンワン。」
ケン太は、あきらめるなといっているみたいだ。俺は、ケン太に励まされて草や蔦を切っていく。
「そうだよな。今日、出来ることをしておこう。」
「ワン。」
ケン太が、崖の穴を見つけた。ケン太は、既に穴に飛び込んでいた。その穴は、蔦に覆われていて、見えなかったようだ。穴まで高さは、勘太でも何とか届く高さだ。それに、よく見ると、岩に足場がある。階段のように昇りやすくはないが、きちんと一定の間隔で昇れるようになったいる。
「ケン太、そこは穴か?洞窟か?中は。危険か?」
勘太は、答えられないケン太に聞いている。
「ワンワン。」
流石に、ケン太が何を言っているのかわからない。
勘太は、足場に足や手を掛けて、昇ろうかやめようか、迷っていたら雨が降り出した。それも、すぐに本格的に降り出した。ここから帰ったとしてもかなりの距離がある。
「ケン太、俺も昇るから、そこにいてくれよ。」
勘太は、合羽を着てから岩を昇って行った。用心すぎる勘太だ。
ケン太に、ハラハラされながら、何とか登り切った。
そこで見たものは何にもない空洞だ。ただ、奥に続いている。空間も広い。自然にできた洞窟ではない。人口的な洞窟だった。そして、空気がとがっている。歓迎もされないが、拒否もされていない感じだ。勘太は、奥に行こうとしても足が前に進まない。
「ここは、誰がなんのために作ったんだろう。ケン太、分かるか?」
「・・・。」
「ケン太は知っているんだな。でも、今日はここまでだ。今は奥には行けないらしい。ケン太は残念だろうが、いろいろ準備をして、またここに来よう。次は奥に招いてくれるかも。」
「ワンワン。」
「明日は、町に買い物だな。」
「ワン。」
雨はすぐに止んだ。さっきに大雨が嘘のようだ。
「ケン太、帰ろうか。」
「ワン。」
その前に、洞窟に向かってご挨拶だ。
「七海ばあちゃんとじいちゃんから、山を相続しました勘太です。よろしくお願いします。この犬はケン太です。また来ます。」
「ワンワン。」
洞窟を出た時、
【時は来た。】
どこからか聞こえてきた。
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