32 ブラウニー姿を現す
早速、叔父さんと末っ子がやってきた。叔父さんは引きずられてきた模様だ。
「勘太さん。なぜ、黙ってたのよ。」
お怒りの模様だ。
「勘太、突然悪いね。こいつが、伊勢家にかかわる重大なことだって、騒ぐんだよ。兄さんと一緒にと思ったんだが、娘がどうしても聞きたいって、うるさいんだ。」
二度手間になるが、大まかなことを説明する。
「そうか。そんな伝承があるのか。」
「叔父さん達は、知らなかったんですか。」
「ああ、伊勢家については何も教えられていないな。」
「じいちゃんは、知っていたんでしょうか。」
「多分な。知っていたからの、あの遺言だろう。ただ、全部知ってたのかなあ?兄さんには、説明しとくよ。しかし、なんだかんだ言っても、ここは勘太の家だ。伊勢家のことは気にするな。」
「勘太さん。ミステリーよ。謎解きよ。名探偵になれるよ。」
「何言ってるんだ、このバカ娘が。もう、気が済んだだろう。帰るぞ。」
「エー。果物もらっていこうよー。」
「卒業おめでとう。卒業祝いだ。存分に持っていけ。」
「ヤッター!」
食い気が勝ったようだ。旬は過ぎたが、蜜柑を抱えて喜んで帰って行った。
「嵐のようだったな。でも、おめでとうが言えた。」
「ワン。」
でも、ミステリーで、謎解きか。確かに気になるが、今は山の探検だな。それに、お社のお掃除も中々進んでいない。畑って、すごく忙しいんだ。
それでも、毎日山に入るようにした。暖かくなったのもあるが、やっぱりお社の汚れが気になる。それに、体力が少しついたみたいで、頂上まで早く着くようになったんだ。
お社には、湧水とちょっとのお供えを持っていくんだ。湧水もお供えも次にいく時は失くなっている。きっと、この辺の動物が食べているんだろう。それでも、山の恵みをお社にお供えしたい。
ある日、ご先祖様も誘ったんだ。
「山のお社に行きます。一緒にどうですか。」
「ワン。」
ケン太も誘っている。来るかなあ?
今日のお供え物は、湧水と畑でとれたものだ。それからお花畑の花一輪だ。
何回かお社にいって、周りも捜索したんだ。そしたら、半畳ぐらいの掘っ立て小屋を発見した。周りは蔓の植物で覆いつくされていた。どうにか入り口を探して中に入ってら、草狩り鎌やバケツや雑巾などがあった。雑巾はボロボロだったけど他は使えそうだった。
ひとまず、お社の周りの草をきれいに刈ったら、お社の全貌が分かった。お社は岩に組み込まれていた。観音開きのドアは、木製なんだが、壊すのはどうかと思うんだ。ドアに鍵穴があり、試しにダブル太の鍵を合わせてみたんだ。鍵は、二つとも入るんだけど、回らない。鍵が違うのか、何かが足りないのか?
「ケン太、絶対ここの鍵だと思うんだ。先生の言う、その時ではないのかなあ。」
「ワン。」
ケン太も、そう思うらしい。何で、開かないのかなあ。その時って?
疑問に思いつつ。お供えも供えて、
「お社様、また来ます。」
「ワン。」
今日は、時間もあるしお花畑の上に行ってみようか。あっちは上まで行ったことが無いんだ。
「そういえば。ご先祖様は、来たのかなあ?」
「ワンワン。」
来たらしい。
その頃、お社では、可愛らしい蝶々のような姿をしたブラウニーが、せっせとお社をきれいにしていた。
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