26 ケンタの盗み食い「ワンワンワン」
本日、雨だ。雨の日は休みにしている。家でまったりだ。ケンタは、美味しそうに水を飲んでいる。もちろん湧水だ。湧水を飲んでから、ケンタは水道水を飲まなくなった。
飲料可能かの結果はまだ届かない。あれからすぐにキットを買って調べてもらうため送ったんだよ。水はあいつとは違う部署だから、保健所でもと思ったが絶対声をかけてくるだろうから、煩わしい。だから、保健所はやめた。
俺も早く飲みたい。湧水で入れたコーヒーの美味しいこと。東京でカフェを開いたら爆売れだろう。湧水を飲んだとき、これを商売になんてバカなことが頭に浮かんだ。でも大量に湧いている訳ではないし、山の資源は大事にしないとと思ったんだ。蜂の巣だって一年に一度しか取れないらしい。考えなしに金儲けに使ったらバチが当たる。
湧水を飲んでもケンタに影響はない。イヤ、あるな。ケンタの毛並みがすごいんだ。ふさふさでシャンプーした後なんて輝いているんだ。だから俺も湧水で髪を洗ってみた。もったいないけど、飲めないなら試してみないと。なんか、ふさふさしてやばいんだ。俺が女だったら髪を長くして自慢してたね。でもやめた。理由?湧水を使ったシャンプーは数日経ってもかゆくもベタベタもしないんだ。湧水を使っていたら無精になってシャンプーをしなくなる。いくら綺麗に見えたって、ダメだろう。
蜂の巣の賄賂でもらった蜂蜜も美味しかった。コムハニーなんて巣が全然違和感ないんだ。それどころか、巣がいい味出していて、パンのお供になっている。
もちろん蜂蜜もじいちゃんとばあちゃんにお供えしたよ。そしたら綺麗に亡くなってるんだ。まるでペロペロしたようにベタベタもなかった。
「ケンタ、美味しいのは分かる。でもここに置くのは仏様のお供え物だ。勝手に食べたらダメだ。」
「ワンワンワン。」
ケンタは否定しているが、俺じゃなかったらケンタしかいない。
「ケンタ、嘘付きは泥棒の始まりだぞ。」
「ワンワンワン。」
再度の否定のワン×3だ
「ケンタじゃないのか。まさか家のブラウニーか?」
我が家のブラウニーは、ちょうどお仕事中だ。縁側を回りながら働いている。働いているブラウニーをケンタが吠えている
「ワンワン。」
嘘をつくケンタを諫めようとしたら、スマホが鳴った。宅配会社のドライバーさんだ。
「荷物が届いています。どうされますか。」
どこからか聞いたら、キットを送った会社からだった。本日、雨。
「すぐ向かいます。」
ケンタと一緒に行こうとしたら、珍しくケンタは留守番するという。一人寂しくジープに乗って街に出かけよう。一人で行くのは初めてだ。出かける前にケンタを見たら、まだケンタはお掃除ロボに向かって吠えている
「ワン。」「ワンワン。」
何をしているんだとっジーと見ていると、お掃除ロボの上にポワンと何かが乗っているように見える。二度見してしまったがもう見えない。
「視力が落ちたかな。しばらくは測ってないからな。」
目をこすり、再度ケンタを見れば、ケンタは前足で何かを抑えているようだ。ケンタの抑えた足の隙間から光の影のようなものが見える。
「俺、メガネが必要かも。運転には気をつけよう。」
玄関を開けて出かけようとしたらケンタがついてきた。
「ケンタ、一緒に来てくれるのか。ありがとう。やっぱりケンタがいないと心細いんだ。」
「ワンワン。」
その頃、勘太の家では、お掃除ロボの音とともに、どこからかシクシク泣く声がしていた。まるでお掃除ロボが慰めているようだ。
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