20 ブラウニーの正体
ばあちゃんの供養の日だ。朝から、続々と伯父さん達がやってきた。その度に、ケンタは声を掛けられていた。
「ケンタ、首輪、良く似合ってる。」
「かっこいい~。」
ケンタは、ご機嫌だ。鍵が首にあるのも自慢のようで、わざわざ見せに行っている。
「ケンタ、よろしく頼むぞ。」
そう言われ、さらに気分は上向きだ。
俺の家族は全員欠席だ。おやじも兄貴もそう度々有給休暇を取れないらしい。おふくろも、
「文句も愚痴も全部言い切ったわ。後は、ダブル太に任せたから。」
日帰りができないから、仕方ないね。兄貴は、
「年末年始に家族で行くわ。」
勝手に予定を立てていた。俺は、もてなされる立場だったのがもてなす立場になっていた。
予定の顔がそろったところで、伯父さんが今回の経由を説明する。まあ、来る前に親から説明を受けているので、
「おやじ、話は短めに。」
なんて、言われている。
「そうだな。勘太とケンタのダブル太のおかげの今日だ。感謝している。そして、母さん、お帰り。」
「「「「「おかえりなさいー。」」」」」
後は、二つのテーブルに分かれてご馳走を食べるだけだ。伯父さん達といとこ達に分かれている。
「勘太さ~ん。こっち。こっち。」
俺を呼ぶのは、叔父さんの末っ子の女子高生だ。全いとこの末っ子で、前にブラウニーだと騒いだ子だ。今日も、
「あれから、不思議現象は?」
「ばあちゃんが現れた。」
「アハハ。驚いたよな。」
「そうじゃあない。」
「黒電話を初めて見た。」
「俺も初めて見た。」
「そうじゃあない。」
「ブラウニーなら、家族の一員になったぞ。」
「ホント⁉」
「紹介しよう……。」
・・・・。
「そうじゃあない。」
我が家のブラウニーは、廊下をクルクル回りながら居間にやってきた。
「確かに、これなら床に落ちてる物を食べるな。」
「お掃除ロボって良いよな。二台買うと安くなってたから買ったんだ。もう一台は、俺とケンタの寝るとこにいるよ。」
「現代のブラウニーだな。」
「そうじゃあない。」
末っ子は、両親のとこに行ってしまった。叔父さん達は例の謄本等を見ている。面白くないだろうにと思っていたら、
「なにこれー。おもしろーい。」
叫んでいた。
「おーい。何がおもしろいんだ。」
末っ子は、一枚の書類を持って興奮している。
「これ、これ、見て。」
差し出したのは、ばあちゃんの家系図だ。きちんとしたものではないけど、何とか台帳に乗っていたのを分かり易くメモしたものだ。さらに、いとこが付け加えていた。
「これが、どうした?」
「あのね……。」
末っ子の言うには、伊勢家の初代(台帳に乗っている一番昔の人)の名前が
伊勢 凱人。
「伊勢凱人。ひらがなに直すと、【いせかいじん】。異世界人だよ。ほら、次の人も、伊勢快だよ。【イセカイ】三代目だって……。」
ここで、他のいとこが、
「お母さん、おばあちゃんの名前は?」
「七海よ。」
「いせななかいだな。違うだろう。」
「お前の理論だと、伊勢さんは、みんな異世界人になるぞ。」
「アハハハ。」
「なんで、みんな発想力が無いの。いいじゃん、夢みたって~。」
「お前、異世界小説読みすぎ。」
「叔母さんの苦労が偲ばれる。」
「俺の苦労も偲んでくれよ~。」
横から、叔父さんが口をはさんで、娘ににらまれている。へこんでいる末っ子になぜかケンタが寄り添っている。ケンタを撫でて、癒されているようだ。
「ケ…タ。……よね。………ニー。」
「ワンワン。」
なんか、ケンタと話をしていた。
皆が帰った後、そのメモがテーブルに置かれていた。他の書類と一緒にしまおうとした。しかし、まじまじと見ると、確かにばあちゃん以外、【イセカイ】と読める。偶然にしては出来過ぎだ。
初代= 伊勢 凱人 = イセ カイト = イセカイジン
二代= 伊勢 快 = イセ カイ = イセカイ
三代= 伊勢 櫂 = イセ ヨウ = イセカイ
四代= 伊勢 快 = イセ ココロ = イセカイ
五代= 伊勢 誡 = イセ カイ = イセカイ
六代= 伊勢 海人 = イセ カイト = イセカイジン
七代= 伊勢 七海 = イセ ナナミ = イセ(ナナ)カイ
八代= 日吉 勘太 = ヒヨシ カンタ= ?
「ばあちゃんちの血筋って、おちゃめな人が多かったんだな。ケンタもそう思うだろ。ばあちゃんだけ違うよな。女性だからかな」
「ワンワンワン。」
返事が3回?ケンタは思わないのか。
「ケンタ、そう思うよな?」
「ワーン。」
駄目だ。酒を飲み過ぎた。
「ワンワン。」
読んでいただいて、ありがとうございます。
次は、やっと山に入ります。




