11 ブラウニー出現?
49日の法要が終わった。
あとは精進落としの食事会だ。
でも、ケンタが居るので、俺んちでご馳走を食べることになっっている。
ケータリングの料理が持ち込まれ、また各家庭の得意料理が並んだ。俺は料理なんて出来ないから、庭にあった果物や野菜を並べた。野菜はもちろんサラダにした。なんか、一番喜ばれた。
「倉庫に収穫してあるから、好きなだけ持って行っていいぞ。」
歓声が上がった。そこまでか?
「もう少しで弁護士さんが来るからな。もっと食べたい食いしん坊は、あっちで食べろよー。」
料理は片付けられた。この食事会にはお酒は出さなかった。後に大切な話があるからね。
弁護士さんを待つ間に、泥棒事件とか、林野庁の話をする。いとこ達は、100万円を貰えるなら何でも良さそうだ。ただ、数人に聞かれた。
「勘太は本当に良いのか?」
「もちろん。」
「ワン。」
ケンタと答えた。その様子に安心したようだ。
弁護士さんが来るまで、雑談をしていると、あるいとこが
「ここってさあ。よく見ると不思議だよね。庭から先は、良く見えないし、美味しい作物が育つし、この家は不思議なことは、無いの?」
「不思議な事かあ。」
「あるんだ。」
物好きが数人食いついた。
「なんかさあ。掃除しなくてもきれいなまんまなんだ。」
「もっと、詳しく。」
「たとえば、…。」
「うんうん。」
「落としたお菓子が、綺麗に無くなってるんだ。」
「ケンタ、拾い食いはダメだぞ。」
ケンタが、しつけられている。
「隅に埃もたまらないんだ。」
「ケンタ、お前のシッポは箒にもなるのか。便利だな。」
爆笑してると、チャイムが鳴った。
弁護士さんに各自書類を差し出す。いとこ達は、問題なし。兄貴は、欠席だ。おふくろが書類と委任状をだし、兄貴の代わりに署名していた。
残りは、俺とじいちゃんの子供三人だ。こっちも、問題は無かった。後は、相続税を払うだけだが、これも委任状で弁護士さんに一任した。俺たち孫の相続税は、おふくろ達が払うことになっているらしい。
「子供たちの為だもの、相続税くらい払ってやるわよ。」
でも、俺は?
「勘太。この相続は、お前の犠牲の上に成り立ったようなもんだ。だから、気にすんな。誰も文句は言わない。」
「そうよ。文句なんて言うせこい奴は、二次相続で馬鹿を見るのよ。」
なんか、怖いこと言っているが、
「二次相続なんて、いつだよ。」
「その頃は、おやじ達は耄碌して、今日のことは覚えてねえぞ。」
和やかの中、俺にだけ弁護士さんが声を掛けてきた。
「不定期にお尋ねすることになります。ご了承ください。」
「わかりました。あのー。林野庁の件で、注意とかありますか。」
「不安なのはわかります。でも、何もありませんから安心してください。お爺様のことで、一応声を掛けただけでしょう。彼の生前も、何にもありませんでしたから。」
「でも、破格の条件って?」
「すぐ、売っても3の項目は該当しないことにするってことです。3の相続人は自治体も入ってきますから。これは、表立っていないのですが、山のフェンスが取り換え時期に入っているようなのです。こちらが、国有地に成れば、ここの出入りを囲うだけで良いんですよ。」
なるほど。
「神経質になる必要はありません。それに、連絡いただければ対応させていただきますよ。」
おふくろ達と弁護士さんを送った。あっ、ケンタも一緒にだ。
「勘太。門扉の件だが。任せてくれるな。」
「はい。よろしくお願いします。」
「さあ、これで、酒が飲めるぞ。」
「本番は、これからだ。」
女性陣が、忙しそうだ。
一角で、
「ねえ、さっきの不思議現象。」
「ケンタだろう。」
「そうだろうけど、異世界小説なら、ブラウニーよね。」
「ブラウニー?妖精の?」
「そうそう、おもしろいわよね。」
「お前、頭は大丈夫か?」
「大丈夫よ。失礼ね。」
「勘太が、ヒーローか?」
「そのヒーローは長靴を自慢してたぞ。」
「「「「「アハハハ。」」」」」
笑い溢れる49日になった。
「じいちゃんも、お酒をどうぞ。」
「ワン。」




